参加者の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 14:26 UTC 版)
「ティーパーティー運動」の記事における「参加者の特徴」の解説
当初、ティーバッグを手紙で送るという手法で活動していた背景から、この運動の参加者は、ティーバッガーと呼ばれたことがあるが、卑猥な意味もあるため、最近では集団としてティーパーティーという呼び方、呼ばれ方が一般的である。運動の参加者は無知な連中だと切り捨てる、リベラル系雑誌「ザ・ネーション」の発行人カトリーナ・バンデンヒューベルは、ABCテレビの政治討論番組「ジス・ウィーク」に出演した際、ティーバッガーという呼び方を続けて、対談相手にたしなめられたことがある。現在ではティーバッガーには侮蔑的意味があると見なされている。 2010年2月に開催された全国大会の参加者はほぼ全てが白人であったと、日本でも報道された。3月にアメリカで実施された世論調査では、回答者の37%が「ティーパーティーを支持する」と答えており、これは、少なくとも1億1500万のアメリカ国民が、この時点でティーパーティー運動になんらかの共感を示していたことを意味する。CBSニュースの調査によると、参加者における白人の比率は89%と圧倒的で、黒人は1%、アジア系1%、ヒスパニックを含むその他は6%に過ぎなかった。中西部22%や南部36%の出身者、銃保持68%、プロテスタント(主にバプティスト派)61%、など、共和党のなかでも特に保守派傾向の強い地域、大卒以上(70%)の高所得者層(76%)で、45歳以上(75%)の中高年が多いという特徴があった。 アメリカでは常に最大の政治課題とされる経済について、参加者は、2010年4月時点で今の経済状態はとても悪い(54%)と答え、さらに悪化する(42%)と考えていたが、そうなった原因は議会にあると考えていた人が28%と一番多かった。これはアメリカの平均的な認識とは顕著に異なり、原因について全米調査の意見として一番多いのは、ブッシュ政権の失政の32%であった。一方、所得税については、参加者の52%が適正と答え、不適正と答えたのは42%と少なく、これは全米意見の適正(62%)と不適正(30%)の割合よりも多いものの、ティーパーティー運動が課税反対運動であると単純に言えない理由がここにある。減税については賛成も反対も拮抗しており、これは全米意見とほとんど大差なかった。ティーパーティーは後述のようにオバマ政権にも満足していないが、政策上の不満と怒りの矛先は議会に向けられていて、別の2010年9月の調査でも、議会不支持率(73%)はオバマ不支持率(49%)よりも格段に高かった。世論調査から見えてきた真の姿は、ボストン茶会事件の時と違って、増税というよりも税の無駄遣いを問題にして、議会を槍玉に挙げていた。そして歳出削減が雇用創出につながると考えて、小さな政府を求めるというものであった。(関連話) 参加者は不法移民問題では強硬派であり、82%が不法移民流入に断固とした措置を講じるべきだと考えている。これはメキシコ国境の州では激しい争点だが、増加するラテン人口の支持を取り込むのは望み薄で、ティーパーティーの選挙での弱点の一つである。また2010年4月12日のオハイオ州スプリングボロでのティーパーティー集会ではTwitterで、ラテン系アメリカ人を侮辱する「スピック」という表現で不法移民の多さに怒りを表したメッセージが流れて問題になった。さらに参加者の82%は同性婚を深刻な問題ととらえており、40%はゲイ・レズビアンのカップルには一切の法的権利を認めるべきではないと答える宗教保守派の立場であるが、ほぼ同数の41%はシビル・ユニオンは容認するという妥協派に分かれる。家族の価値については大半が重視しているものの、それを”政府”が推進する必要性については賛成が45.7%、反対が51%と意見が分かれる。このようにティーパーティーは社会争点を持つが、経済争点以外において意見は見事に分裂しており、後述のようにイデオロギーは固まっていない。 一方、ティーパーティーの集会では、アメリカでは由緒のあるガズデン旗がシンボルの一つとして好んで用いられている。この旗のモットーは「俺を踏みつけるな」であり、これには貧富の差の拡大(または価値観の溝)を背景にした、オバマ支持層のニューリッチやインテリ、エリート階層への反発が込められていて、反エスタブリッシュメント、つまり既存政治への不信感が運動の原動力の一つとなっているとされる。保守、アメリカ人の中核的価値への回帰も一貫した基調であり、憲法保守派(後述)を自認してポケットサイズの憲法を持ち運ぶ参加者も見られ、集会で独立戦争当時の扮装が見られるのもこのためで、ティーパーティーというノスタルジックな名前にも彼らの志向は現れている。
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