人種差別に対する批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 14:26 UTC 版)
「ティーパーティー運動」の記事における「人種差別に対する批判」の解説
2009年頃の抗議集会では、オバマ大統領の顔を映画「ダークナイト」のジョーカーに模して描いた人種差別的なプラカードがしばしば見られて、物議をかもした。肌を白塗りにしたこの姿は、ハリウッドが黒人役を黒塗りにした白人俳優が演じた過去にあてこすったもので、オバマ大統領が白人を演じる黒人であるとの誹謗の意味が込められている。またこれらのプラカードには、人種差別的内容以外に、大統領を社会主義者と罵る文面やムスリムとしてレッテル貼りするなど、過度に扇動的で、個人批判に近い文章が書かれていることが多く、ティーパーティー運動に、ただ大きな政府や増税批判に留まらない、アメリカの分裂を象徴する側面があることがうかがえる。 ティーパーティー運動が人種差別を内在するのかはアメリカでも議論が続いている。少なくとも一部の集会や参加者のなかには弁護のしようのない人種差別が見られ、活動家のデイル・ロバートソンは「議会=奴隷主、納税者=ニガー」と書いた看板をもっていて批判を浴びた。扇動者としての役割を果たしているリンボーやベック、マーク・ウィリアムスの過激な言葉には、愉快犯的で意図的な差別表現があり、聴衆への悪影響も懸念される。プラカードにたまに見られる「ナチ」や「ファシズム」、「ヒトラー」といった表現は、彼らの言葉そのままの受け売りである。ヘルスケア反対派のティーパーティー支持者が、オバマ支持者や民主党員に対して、かなり酷い言葉や罵声を浴びせたと主張されたことがあり、反論もあったが、ティーパーティー各団体は、Nワードなどは使わないように参加者に注意していた。 ティーパーティー運動に反対するリベラリストの61%は、彼らの反オバマの姿勢の根底には人種差別的敵意があると見る一方で、ティーパーティー運動を支持する保守派の7%しかその意見に賛同しない。しかし参加者の52%は最近黒人との人種的軋轢が高まったと答えており、25%はオバマ政権では白人よりも黒人が優遇されると答えている。参加者自身は、人種差別と関連付けられることは、メディアが作り上げたでっち上げであると主張することが多く、ティーパーティーに参加した数少ない黒人参加者達は、一様に、不当不快な扱いは受けていないと反論している。当初、リベラル派が一方的に「人種差別的で反動的」な運動であるみなして負のレッテルを貼ろうと躍起になっていたのも事実で、ウォルター・ラッセル・ミードはボストン茶会事件においても課税反対者は暴力的で野蛮だという世論の批判も一部では受けたと指摘し、現代のティーパーティーへの批判はあらゆる政治的立場の人々がこのブランドの下に結集して、急に「自分はティーパーティー派の支持者だ」と言い出したことに起因し、雑多であるがゆえに明確に定義できないのがこの運動の参加者の特徴とする。 2011年5月21日、元ピザ・チェーン最高経営責任者で保守系ラジオトーク番組のホストを務めるハーマン・ケインは、共和党大統領候補の予備選に出馬表明した。彼は40のティーパーティー団体の熱い支持を受けているが、黒人である。人種差別的偏向をことさら強調する論調や行動は、この草の根運動が藪から出てメジャーになるに従って、余り見られなくなった。
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