加害者家族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/03 00:20 UTC 版)
野口さつき 37歳。夫と私立附属小に通う愛息・裕一との3人暮らしの専業主婦。結婚を機に仕事を辞め、子育てに専念してきた。「子育ては常に自分が試されている」と感じており、子育てに楽しさを感じたことはなく、子育てを「してあげている」という意識を裕一に押しつけ、ことあるごとに冷酷に当たっていた。夫の協力を得られない家庭生活に疲れ、主婦同士で愚痴を言い合えるインターネット上のチャットに依存していたことも災いして裕一が心に負った深い傷に気づくことが出来ず、裕一が殺人事件を起こした時は酷く動揺し取り乱す。裕一の少年鑑別所の入所当初、自分達親に決して心を開かない裕一に不安を覚えていたが、その裕一が連れ去り犯に暴行されていたことを知ってショックを受け、楽しいチャットの時間の終わりになる裕一の帰宅を煩わしく思って暴行被害を受けて帰った日も冷たく切り捨てたことを深く後悔する。本当は優しい息子の姿と家裁調査官・富田の支えで裕一と真正面から向き合い、一緒に罪を償うことも改めて決意する。 TVドラマ版では息子の塾費用を稼ぐためにパートで働く兼業主婦。多少過保護ではあるものの息子を純粋に愛する教育ママとして描かれてはいるもののどこか裕一に気味の悪さを感じている部分を見せている。 野口義隆(原作) / 野口和彦(ドラマ版) 36歳。妻には「義隆君」と呼ばれる。エリート道まっしぐらの商社マン。ひどく冷めた性格で1人で過ごす自由な時間に固執しており、家事や育児はさつきに任せきりである。妻子が自身を大切にしてくれないから、せめて自分自身だけでも己を大切にしたいと主張した。息子の裕一にはほとんど興味がなく、裕一が自分に懐いていた幼い頃には煩わしささえ感じていた。裕一が殺人を犯したと知っても顔色一つ変えず、その行動の責任を全部妻に押しつけるが、裕一との面会で父親である自分自身が裕一の中に一切存在していないことに気づき、次第に動揺し始める。自責の念に苦しみマンションのベランダから投身自殺を図った妻を必死に助け、死ぬことは償いにならないと告げる。続編『アイシテル〜絆〜』では裕二が幼い頃に病死する。 TVドラマ版では原作に比べ人間らしい感情が強調されており、さつきの入院や会社のプロジェクトから外されたことに焦りや苛立ちを露わにしている。彩乃の助言でさつきに全てを押し付けたことを後悔し、少年鑑別所にいる息子に面会、久しぶりに親子の会話ができた。SPドラマでは数年後に病でこの世を去っている。 野口裕一(原作) / 野口智也(ドラマ版) 11歳。小学6年生だが、TVドラマ版では小学5年生。東京都内の附属小に通うが、常に冷淡、無口で無表情で劇中ではかなりの美形の少年に描かれている。他人はおろか両親にさえ心を開こうとはしない。そんな頃、あるきっかけで隣学区の小沢清貴を殺害。清貴の殺害事件前夜、トイレを我慢していた清貴を公園に案内した後自宅に誘い、キャッチボールをしたと富田に話す。2年前、母さつきの認識によればいつの間にか帰宅していた裕一が、服を着たままシャワーを浴びてランドセルも教科書もびしょ濡れになっていたことがあった。その時に母親が事情も聞かず頭ごなしに叱り飛ばして以来、両親に心を閉ざし始めるようになった。実は家裁調査官の息子・貫が母親に話していた「連れ去り犯」によりレイプされていた。 ドラマ版では寡黙かつややクールな雰囲気の少年に描かれており、母親には複雑な感情を抱いており大切に思いつつも半年前に起きた事件が切っ掛けで心を閉ざしていた。そんな時、学校の帰りに外で親の帰りを待っている清貴に会いトイレに行きたがっていた彼を自身の自宅に案内して彼とキャッチボールをするも彼の放った言葉が自身の母を侮辱したことに怒り石で彼を殴打して殺害する。その後は逮捕されて服役することになるが、自身の事件が原因で両親を苦しめさらには、被害者の家族も苦しめていることを知り苦悩していく。自分は死刑囚になると覚悟を決めていたが、少年であるがゆえに1年の刑期で釈放された。保釈後は祖母や家族を苦しめた罪悪感から刑務所に戻りたがっていたが、自宅に戻りようやく母の愛をそこで知ることができた。後に父と母と共に自身が清貴を殺害した場所に赴き清貴を弔い、その後は、さつきが宿した第2子の兄となり生きているという実感を改めて知る。SPドラマでは回想シーンに登場しており病でこの世を去った父の遺体に涙ながらに詫びていた。 野口裕二(原作) / 野口直人(ドラマ版) 終盤、誕生した次男。続編『アイシテル〜絆〜』の主人公。兄・裕一に命の尊さと自身の犯した罪を自覚させる切っ掛けになったことを知らず、突如姿を消した兄を思い悲しんでいた。しかし、ネットで裕一の殺人を知った周囲からイジメ被害に遭い、高校時代の友人も色眼鏡で見て離れてしまい、家族は自身を騙していたと蔑み慕っていた兄を憎むようになる。さらには、自身の境遇を理解してくれた友人と信じた相手に殺人犯の弟であることを告げ口されて賞を取り消され、その友人とも破綻した。母さつきが真摯に接して兄の殺人とその背景を説明しても、綺麗に飾った作り話だと決めつけて母を見下すばかりだった。
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