判断傾向とキャスティング・ボートとは? わかりやすく解説

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判断傾向とキャスティング・ボート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 05:09 UTC 版)

サンドラ・デイ・オコナー」の記事における「判断傾向とキャスティング・ボート」の解説

アルベルト・ゴンザレス司法長官就任宣誓式の後にゴンザレス長官紹介するオコナー判事中央ゴンザレス夫人オコナーは、新連邦主義New Federalism)派に属しており、個々案件に関してできるだけ論点絞ったアプローチ取った。これは、過度な一般論に走ることによって将来案件身動き取れなくなることを避けるためである。就任当初は、彼女の立場はレンキストと同様の保守的なもののよう思われた。事実就任直後3年間は、全案件87%においてレンキストと同じ立場取ったその後1998年までの彼女のレンキストとの合意率は93.4%に上るともあれば、63.2%と低い年もあったが、内3年間は90%をこえており、他のどの判事よりもレンキストと同じ立場を取る傾向高かった。(とはいっても、実は、彼女との合意率が最も高かったのは、別の保守派判事であった。)1998年以降連邦最高裁判事構成がさらに保守化するアンソニー・ケネディAnthony Kennedy)がルイス・パウエル(Lewis Powell)に、そして、クラレンス・トーマスClarence Thomas)がサーグッド・マーシャルに取って代わった。)につれてオコナーは、中間派として、保守・リベラル意見分かれる案件において多数派構成するための最後一人としてキャスティング・ボートswing vote))を握ること多くなった。 オコナー保守派から中間派へのシフト(それは比較小さなものではあったが)の原因のひとつには、クラレンス・トーマス強烈な保守的立場あったように思われるトーマスと同じ結論達した場合であってもオコナーは、トーマス判決理由同調することはせずに、独自の意見書くこと多かったまた、1992年には、トーマス反対意見述べた案件において、オコナーが彼と同調することは一度もなかった。 ウィラメット大学法科大学院スティーブン・グリーンSteven Green教授は、9年間にわたって政教分離のためのアメリカ人連合Americans United for Separation of Church and State)の最高法務責任者として連邦最高裁何度も弁論行った法律家であるが、オコナーについて、「彼女は最高裁における調整役であり、法をいずれの方向にも拡散させることについて非常に慎重な態度を取る」と論評している。グリーンはさらに、オコナーは他の判事のうちの何名かとは違って、「それぞれの案件について、開かれた態度接する」と述べている。 以下、オコナーキャスティング・ボート投じた案件いくつか紹介する。 マコンネル対連邦選挙管理委員会事件McConnell v. Federal Election Commission, 540 U.S. 93 (2003)) この判決は、いわゆるソフトマネー」の使途制限したマケイン=ファインゴールド選挙資金法(McCain-Feingold Act)の規定のほとんどを合憲判断したのである。 グラッター対ボリンジャー事件(Grutter v. Bollinger, 539 U.S. 306 (2003))、グラッツ対ボリンジャー事件(Gratz v. Bollinger, 539 U.S. 244 (2003)) オコナーは、グラッター事件において多数意見書き、グラッツ事件では多数意見賛成した。これらの判決においてはミシガン大学学部における入学選抜プログラム憲法違反逆差別にあたるが、同大ロー・スクール選抜方法はより自制的内容アファーマティブ・アクション合憲であるとされた。 ゼルマンシモンズ=ハリス事件(Zelman v. Simmons-Harris, 536 U.S. 649 (2002)) オコナーは、宗教団体により設立され学校への支払い教育バウチャー充てることは、連邦憲法修正第1条国教樹立禁止条項違反しないとした多数意見賛成したアメリカボーイスカウト連合デイル事件Boy Scouts of America v. Dale, 530 U.S. 640 (2000)) オコナーは、ニュージャージー州ボーイスカウト師団長に対して性的志向に基づく差別禁じることは、集会の自由保障した憲法に違反するとした多数意見賛成した合衆国ロペスU.S. v. Lopez, 514 U.S. 549 (1995)) オコナーは、1990年スクールゾーン銃規制法(Gun-Free School Zones Act of 1990)は、通商条項によって連邦議会与えられ権限逸脱するもので違憲であるとした多数意見賛成したブッシュ対ゴア事件Bush v. Gore, 531 U.S. 98 (2000)) 2000年12月12日下されたこの判決において、オコナーは、他の4人の判事とともに2000年アメリカ合衆国大統領選挙におけるゴア陣営によるフロリダ州での投票再集計請求退け、同選挙ピリオドを打った。この判決に関しては、連邦最高裁政治的問題不当に関与したという批判がある。一方で最高裁が、本判決先例とならないように、「選挙手続における平等の保護という問題多く複雑な問題絡み合うものであり、本件における我々の検討本件事実関係にのみ適用される。」と述べたことを評価する者もいる。 他にも、オコナーは、著名な判決において重要な役割果たしている。その例としては次のようなものがある。 ウェブスター対リプロダクティブ・ヘルス・サービシズ事件Webster v. Reproductive Health Services, 492 U.S. 490 (1989)) この判決は、次のような条件を満たす場合には州による妊娠中絶規制合憲であるとした。すなわち、母体の健康を考慮した除外規定あり、かつ、ロー対ウェイド判決示した妊娠3期応じた規制制限反していないこと、の二つである。オコナーは、レンキスト、スカリアケネディホワイトからなる多数意見賛成をしたが、別途補足意見述べロー対ウェイド判決明示的に変更することを拒絶したローレンス対テキサス州事件Lawrence v. Texas, 539 U.S. 558 (2003)) 本事件において、オコナー次のような補足意見述べた。すなわち、同性愛者間の肛門性交のみを禁じ異性愛者間のそれを禁じない州法は、アメリカ合衆国憲法修正第14条の平等保護規定違反するというものであるオコナーは、そのような法律違憲であるという多数意見結論には賛成したが、その理由修正第14条実体デュー・プロセス規定違反求め立場には反対した。平等保護規定に基づく判断立った場合には、同性愛者間のものである異性愛者間のものであるとを問わず肛門性交禁ずることは合憲とされることになる。 2005年2月22日、レンキスト長官ジョン・ポール・スティーブンスJohn Paul Stevens判事欠席のもと、オコナーは、スティーブンス判事次いで在職期間が長い陪席判事として、ケロニュー・ロンドン事件(Kelo v. City of New London, 545 U.S. 469 (2005))における口頭弁論主宰した。これにより彼女は、連邦最高裁における口頭弁論主宰し最初女性となった

※この「判断傾向とキャスティング・ボート」の解説は、「サンドラ・デイ・オコナー」の解説の一部です。
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