判断材料の少なさ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 09:52 UTC 版)
「最高裁判所裁判官国民審査」の記事における「判断材料の少なさ」の解説
最高裁判所は昭和27年(1952年)2月20日の大法廷判決において、国民審査の制度を「解職の制度」と見なす判断を示している。日本国憲法79条第2項において、国民審査は衆議院議員総選挙(衆院選)と同時に行うことと定められている上、大手のマスコミは衆議院議員総選挙のニュースばかりを大きく報道していて、国民審査についての報道をすることは滅多にないため、国民審査の存在は衆議院議員総選挙のニュースの陰に隠れてほとんど注目されないのが現状である。 日本では元々マスコミが最高裁判所裁判官についての報道をすること自体が稀で、一般的な報道において国民が最高裁判事の名前を知る機会は刑事・民事それぞれの訴訟において自判するときのみに限られてしまうことが少なくない。このため、日本の一般国民の大部分は最高裁判所裁判官の名前さえ知ることもなく、投票所で初めて裁判官の名前を知る国民も多いという。最高裁判所判事の経歴や業績が詳細に報道されるアメリカとは異なり、日本の最高裁判所裁判官についての報道は新聞の片隅に小さく掲載されるだけのベタ記事扱いであることが多く、国民審査の実施に先立って『審査公報』に掲載される裁判官の判決の情報でさえ、裁判官1人につき多くてもわずか5-6件程度で、判断材料が極めて少ない。 このため、国民審査の制度は完全に儀式化・形骸化していると言われるが、それでも国民審査は「伝家の宝刀」であり、存在することによって最高裁判所裁判官の権力の乱用を抑える一定の効果があるとする意見も強い。元貴族院議員の一人で国民審査の導入に尽くした前述の山田三良は生前、国民審査の制度を「裁判官に対する最後の統制手段たるレファレンダム(国民投票)制」と表現していた。 NHKでは2021年最高裁判所裁判官国民審査に合わせ、制度の意義や審査対象となる11名の経歴や判例をまとめた特設サイトを開設した。
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