初動捜査ミスとは? わかりやすく解説

初動捜査ミス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 06:36 UTC 版)

司ちゃん誘拐殺人事件」の記事における「初動捜査ミス」の解説

石和署は事件発生直後、Aが誘拐されスポーツ広場周辺にいた子供たちへの事情聴取行い、「30 - 40歳くらいの色黒の男(身長170 cm前後)が事件当日乗ってきたワゴン車からソフトボール用のスパイクミット出し子供たち捕手守備教えていた。車の中には電線電気工具積まれていた」という情報得た8月3日6時30分には、県警本部長名で全警察署対し、「犯人35歳 - 40歳で、車は濃いグリーンハイエースタウンエース車内バットグラブなどが入っている」として、その車の発見努めるよう指示出したが、この手配は全警察官には行き渡っておらず、それがAの命を救う機会逃す原因となったこのため事件解決後にKの3日4日(Kの車が、捜査26人の張り込んでいた甲府駅近辺通過していた)の行動判明して以降捜査本部内から「各署、特に甲府南甲府署は何を見ていたのか」という声が上がったまた、Aの母親Cは3日夜、自身応対した6回目身代金要求電話の際に出てきた男の声について、「知人男性X(神奈川県内在住)に似ている」と証言。これを受け、Xを重要参考人として重視した捜査本部は、彼の住む家など数か所の捜索令状などを用意4日未明には山梨県警立川松三捜査一課長13人が、Xの住む川崎市内入り高津警察署監視開始したが、当時聞き込みなどの基礎捜査や、Xの事件当日アリバイ動機などに関する調べは、十分に行われておらず、捜査上の基本である電話の声方言や声紋など)の鑑定による裏付け取っていなかった。結局関東管区警察局が「被害者A存在未確認である」ことを理由待ったをかけたため、X宅の家宅捜索はされなかった。 捜査本部同日2240分から翌7日1時30分にかけ、Xらへの事情聴取実施7日15時から再びXの事情聴取行ったほか、それらに前後してXの弟2人からも事情聴取したが、Xはアリバイがあり、事件とは無関係であることが判明このように捜査本部がXに嫌疑掛けていた間も、Aの消息途絶えたスポーツ広場周辺での聞き込みや、犯人乗っていた車の捜査並行して行われていたが、「重要参考人」としてXが浮上し捜査本部内に「解決間近」というムード漂っていた中、それらの捜査は「無駄な労力費やす」として、さほど積極的に行われていなかった。 結局、Xは無実判明したばかりか、それによって捜査振り出し戻り真犯人であるKのモンタージュ写真作成も遅れることとなった。『読売新聞』 (1980) は、同年2月発生した富山・長野連続女性誘拐殺人事件で、富山長野岐阜各県警による縄張り争いから初動捜査失敗終わったことを踏まえ警察当局今後初動捜査万全を期すべく、同年5月1日広域捜査指揮官広域捜査官を置いたことに言及し、「今回はそれ(初動捜査立ち上がり)よりももっと初歩的な点でミス犯した。」と評したまた、山本浩一郎 (1981) は、このような初動捜査におけるミスだけでなく、8月10日上野駅80人以上を配置していたにもかかわらず、Kを取り逃がしたこと(後述)についても言及し一連の捜査を「「捜査ミス」というより「お粗末」という言葉ぴったりするほど、ひどいものだった。」と評価している。 8月7日夜、山梨県警本部長木村武は「犯人と被害者Aの目撃者探し」「犯行動機解明による犯人像割り出し」などといった基礎捜査改め徹底するよう指示した。その一方で同月10日捜査本部長務めた赤池は、(県内ならば地の利があることを理由に)「山梨県内起きた事件だから犯人県内引き込んで逮捕したい」と語っていたが、『中日新聞』は事件解決後、その発言について「犯人逮捕の“手柄”を他県警取られまいというなわ張り意識だけが強く感じられ発言だった。」と指摘している。しかし、この発言について『山梨日日新聞』は「(同日上野駅で)犯人取り逃がした警視庁対す精いっぱいの皮肉だった」と述べている。

※この「初動捜査ミス」の解説は、「司ちゃん誘拐殺人事件」の解説の一部です。
「初動捜査ミス」を含む「司ちゃん誘拐殺人事件」の記事については、「司ちゃん誘拐殺人事件」の概要を参照ください。

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