初動捜査における不手際
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 06:04 UTC 版)
「愛知県蟹江町母子3人殺傷事件」の記事における「初動捜査における不手際」の解説
一連の初動捜査時には以下のような不手際が指摘された。 被害者Aの遺体は毛布を掛けられた状態で押し入れに隠されていたが、事件発覚当日(5月2日)に現場室内に入った捜査員は、Aの遺体が入っていた押し入れのふすまを開けたものの、毛布をめくり上げるなどせず目視にとどめたため、Aの遺体を発見できず、Aは当初の警察発表で「行方不明」と発表された。 愛知県警は事件当初、現場に駆け付けていた蟹江署員が目を離していた隙に、現場から不審な若い男(=犯人L)が逃走したことを把握していたが、当初は「住民は殺人事件として警戒しており、二次被害発生の心配はない。判明している情報は『黒っぽい服装の男』というだけであるため、それだけでどれだけ情報が集まるかも不明だ」として「捜査上の秘密」と判断し、約1週間にわたりこの事実を公表しなかった。しかし、捜査の進め方に不信感を抱いていた捜査関係者が『中日新聞』(いずれも中日新聞社)社会部記者・平田浩二からの取材に対しこの事実を証言し、同紙がその取材内容をスクープしたことでこの事実が判明した。初動捜査時の対応について、特捜本部長・立岩智博(愛知県警捜査一課長)は「結果的に犯人かもしれない不審者に逃走されたが、当初は被害者Cの治療・現場保存などを行う必要があり、初動捜査にミスはなかった。男の情報は事件の重要な目撃情報であるため公表しなかった」とコメントしたが、結果的に初動捜査時の数々の不手際が事件解決を遅らせる原因となった。 特捜本部は事件当初、「顔見知りの犯行」と推測して初動捜査に当たったが、途中から「見ず知らずの何者かによる犯行」と見方を変えたため、捜査は後手に回った。 5月3日に現場検証を行った際、「現場に土足痕は確認されなかった」と発表していたが、その後改めて現場検証を行った結果、1階廊下など室内複数個所から犯人のものと思われる土足痕が発見された。 特捜本部が犯人の遺留品とみられる上着を一般に公開したのは、事件発生から約2週間後(2009年5月15日)だった。 愛知県民からの信頼が揺らぐこととなった一連の初動捜査ミスに対し、『中日新聞』(記者:藤沢有哉・伊藤隆平)は「犯人逃走はすぐ地元に知らせる必要があったし、住民の記憶が薄れた時期の証拠品公開は効果が薄い。埋もれた有益な情報を引き出すには、情報公開で大勢の目を事件に向けさせ、理解・協力を得ることが不可欠だ。『情報を選別した上で、捜査に重大な支障が出るもの以外は迅速に公開する』という姿勢が県警には欠けていた」と指摘した。
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