冷泉家歌書類とは? わかりやすく解説

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冷泉家歌書類

主名称: 冷泉家歌書類
指定番号 2528
枝番 00
指定年月日 2003.05.29(平成15.05.29)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書
員数 38巻、147冊、52帖、11
時代区分 鎌倉
年代
検索年代
解説文:  冷泉家に襲蔵する典籍のうち、中世中心にした歌書類である。
 歌書類は、大きく和歌注釈書類の歌学書分けられる和歌私撰集詠草類、歌合定数和歌連歌などがあり、他に古筆切目録もある。歌学書には、藤原俊成定家・為家の歌論書のほか、新発見の『口傳和謌釋抄【くでんわかしゃくしょう】』などが含まれている。
 時代別には、平安時代一点鎌倉時代四一点、南北朝時代二二点、室町時代一七三点安土桃山時代八点、江戸時代三点総数二四八からなる
 和歌では、私撰集に『新葉和歌集』『現存和歌六帖』『遺塵和歌集』などがある。特に『遺塵和歌集』は、高階宗成が正安二年(一三〇〇)に高階一族歌集編纂したもので、冷泉家本成立時とほぼ同時代写本である。
 詠草類に冷泉為広・為和等の歴代当主詠草草稿類が多数ある。御会史料には、重文元徳二年七夕御会和歌懐紙』に続く『貞治六年二月廿一日和歌御会』(右大臣藤原実俊以下、二条為遠藤原為敦まで一〇紙を綴じる)があり、大永七年一五二七)まで七点が原装のままに伝存する。
 歌合では、建暦三年一二一三七月十三日内裏歌合』がほぼ同時代といえる写本である。定数和歌では、承空本の一連になる『宝治百首』がある。特に『後鳥羽院百首』は石畳菊花などの文様具引きにした料紙書写した升形本で、鎌倉時代中期書写思われる。『源中納言懐舊百首』は源国信堀河院追慕し百首歌で、平安時代後期書写になり、定家様書風で旧表紙外題直書きする。『七社法楽』は、藤原為家祖父俊成の『五社百首』に倣って伊勢賀茂春日日吉住吉石清水北野七社奉納した百題百首歌題ごとにまとめたもので、弘長元年一二六一)の自筆本である。
 連歌には、猪苗代兼載牡丹花肖柏の『百韻連歌』や宗祇老のすさみ』等の室町時代写本二一伝存する。
 そのほかに俊成西行定家の筆と称される古筆切定家詠草掛幅として伝来する
 目録類では、南北朝時代の「私所持和哥草子目六」と室町時代安土桃山時代冷泉家蔵書目録伝存しているのも貴重である。
 歌学書では『口傳和謌釋抄』が注目される本書歌題挙げて用例解説したもので、今まで知られていなかった鎌倉時代前期ころの写本である。体裁は、升形本で綴葉装一〇六丁からなり、前遊紙に西行の歌、巻末慈円の歌を追記し表紙には「傳領實盛」と墨書する。
 歌論書としては、歴代当主による書写本少なくない藤原定家初心者向けに著した詠歌大概【えいがのたいがい】』は、延慶二年(一三〇九)の二条為藤書写になる仮名本がある。また、藤原為家が歌の心得具体的に八か条にして説明した詠歌一躰』は、孫の為秀が自筆本から書写した写本である。
 注目される注釈万葉集に関する一群がある。『万葉集抄』は平安時代中期歌人藤原範永撰者仮託し注釈書で、資経本私家集書写者知られる藤原資経永仁六年(一二九八)に写したのである。『万時』は「万葉集時代考」とも呼ばれ藤原俊成九条良経問い答えたもので、良経の子息基家の書写とされる本格的な万葉集注釈評価される仙覚の『萬葉集注釋巻第一第三は、鎌倉時代後期定為書写になるもので、いずれも最古写本として貴重である。
 このように、冷泉家歌書類は和歌研究中核になる資料として、きわめて価値高く一括してその保存を図ることとなった
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