乾山資料の抜粋とは? わかりやすく解説

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乾山資料の抜粋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/15 00:39 UTC 版)

光琳乾山関係文書集成」の記事における「乾山資料の抜粋」の解説

例え乾山光琳享保改元された年に亡くなったときのことを、以下のように事細か記録している(上巻269270頁『道中抜書始末の記』)。 「不肖老輩京師(けいし)にありて陶技に営ミを送り申せし頃の数々記録の内 亡家兄と共に心魂に徹し申して日々鳴瀧築窯に継ぎ 正徳末年御愛顧を給わりし左大臣二条御苑内の築窯にて この度辿庵主須藤川(すどう・とせん)大人御所望に応し 後記二条御屋形御苑内の手控えより抜書き致せしが 聊か暗愚終焉せし昔語りなれば 恥評萬座のおもひに筆写致せしもの御承給度 (中略) 此度仁寿窯(にんじゅがま)を廃せし事は 愚案未だ成り立ち申さぬ四年目内の悲報にて 改元享保生涯通し申してうらめしき歳と存居申 そもそも二条御屋形御宰領たる左大臣高位二条綱平様に伺候の栄を賜はりしは 鳴瀧築窯前元禄初年にして家兄共々あさましき次第なれど 仁和寺宮様の御仲立ちにて二条御屋形伺候致し当初拝謁より御寵愛を賜はり申して 以来御成長までに心ゆくまで画育の師として御つかえ申上げたれば 不肖御相手として使途の役示後十数年を続け参りし事なれば 鳴瀧開窯の砌りとても格別御引立を戴き申せ次第生涯忘却の念を常々心底深々と収めおりしものにて 仁寿御開苑の儀を仰付かり申せし折は家兄諸共雀踊喜びにひたり申し 専心御下賜御本尊のもと開窯運びに漕付け申次第也 さり乍ら正徳末年より御苑内築窯の立案御屋形様より拝し その用備と致して御苑内所定の窯場樹林伐採より始まり造りの土揚げまでに半歳費やし申せし也 不肖天然山裾とは異り申せし御城中仕草なれば いづれ完成到りしは二歳半の年月要しほとほと疲れ申せしも 御苑内御窯守護仏たる唐渡り仁寿年記銘せし観世音御祭祀の御仏舎堂は 大和奈良より堂舎材を御取寄相成り御本尊(からかね)立体小仏御堂致して甚だ無礼雑宮ながら 荘厳あまねき渡り嘆声洩るるかに存申候 然して享保改元丙申期し申して 数多の□□したき堂上方参堂の上 如月開苑火入れ仕り 下絵総じて家兄光琳是を受申し 鳴瀧の再峰正に此こに在り存じ申候 不肖深省十数人の工人共々目出度開扇の儀と相成り申候 噫然るに然るに工人修練未だ備わり不申 極めて失作数多き為め 再三再四工行申して 先(まづ)は本焼十分またやわら楽物事病中なれど縁者本家五代主宗入の訓えを一同謹受いたし 正に皐月 火入は無欠出来栄え存じ申し思い前祝ひの祝盞 工人諸人と共に致せ喜び居り申せしに 如何なる天命憚りある事ならむか 家兄光琳儀不快を月半より続け申し 果ては月初め突如として冥府の旅入り致し申候 この一事こそは御屋形様の御純心地底叩き申せ如き悲嘆作り 山里一族とても只只右往左往究極相成り不肖一族終りたりの感漲り申して 呆然自失暗夜 日々打ち続きたる小夏とは相成り申し 連日勢は全くの涙雨ならむやの慨悉くに及び申入候 さるにしてもそのひづみ未だ打ち克ち不申内の重陽(ちょうよう)さかりのに是亦反き申して 縁者入事家兄の跡を志たひ申して幽明の境を異に致すの痛靱を相受け申仕儀 滅びゆく家筋悲しき道は如何よりともさけられ申まじく 遂にして尾形一族護る者は不肖未熟老輩のみと相成り申すに到りたり 噫無慈悲無情極まる仕打哉 ここに到り申して老輩壮年の情は殊の外変はり申して 孤愁守り独歩望み申す世過ぎ人とは相成りぬ 會而(かいじ)より御寵愛給はりし二条御屋形始め 御家中いつれも□に到るまで 恰もこの機逃かすましき哉とても申上度く相成りし程の急背淡々の御仕打ち相成り 末は今日までの築地建立改苑等々多額の御冗費となりし事などは 一言御触れなき御託宣光琳内室まで家臣を使ひと致され申して 今後一切廃窯一族出入いづれも禁止を条として相受けるようとの御建命を蒙りたり 是亦何れの仕儀なるや 一夜にして表裏反転御達命は判じ難く 家中一同あれよあれよ有様なれば神仏を御うらみ申迄に到りたり されど御宰領様の御内意開窯こそ家兄光琳あらばこそ御存念にて 不肖などは一介の窯焚き人と御思召され居りしと覚意申 家兄無之後の尾形一門こそ不用鈍器なりしや さらば改め家兄光琳尊大無比なる生甲斐とかにおもひをはせ申可 俗言に人の心のあてしらず 全く前途は暗きものよと教えられ申候 かくして享保悪歳も、、、(後略)」

※この「乾山資料の抜粋」の解説は、「光琳乾山関係文書集成」の解説の一部です。
「乾山資料の抜粋」を含む「光琳乾山関係文書集成」の記事については、「光琳乾山関係文書集成」の概要を参照ください。

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