一般への受け入れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 02:25 UTC 版)
日本や韓国などITインフラがマイクロソフトやAppleなどの製品に大きく依存している国や地域を除けば、家庭や企業におけるLinuxデスクトップの使用は成長を続けている。 Linuxは各国の地方自治体や政府でも知名度を得ている。ブラジルの連邦政府はLinuxをサポートしていることで有名である。ロシア軍が独自のLinuxディストリビューションを作成していることが明るみに出たこともあり、これは「ゴースト」プロジェクトとして実を結んだ。インドのケーララ州は、すべての州立高校がコンピュータでLinuxを走らせることを命じている。中国は、技術的独立性を達成するために、自身の龍芯 (Loongson) プロセッサ用のOSとしてLinuxのみを使っている。スペインでは、いくつかの地域が独自のディストリビューションを作成しており、教育や公的機関でそれを使用している。ポルトガルは、独自のLinuxディストリビューションとしてCaixa Mágicaを持っており、Magalhãesネットブックや「eエスコラ」行政プログラムで使用されている。フランスやドイツもLinuxを取り入れる方向で歩を進めている。 日本の地方自治体や官公庁の一般部署でも近年、導入・維持コストの低さや、古いパソコンでも使用できる動作の軽さなどを買って、Linuxデスクトップの導入を検討したり実際に導入しているところがある。2009年10月14日には大阪府箕面市が、Edubuntuのインストールされた中古パソコン500台を利用したシンクライアントシステムを構築することを発表した。 他にも大阪府交野市が、中古パソコンに利用するOSとしてXubuntuを採用した。しかし、2010年以降はMicrosoft OfficeやInternet Explorer、Adobe Creative Suiteの大幅な機能強化とLinux版Flash Playerの新機能追加の打ち切りが行われたことに伴い、Linux環境では文書やグラフ、ワークシート、画像ファイル、埋め込み動画の表示・印刷が乱れるなどの問題が大きくなったため、両者とも現在はLinuxマシンを撤去し、Windows 7以降のWindowsへの再移行が行われている[要出典]。住民基本台帳システムや電子納税システム、マイナンバーシステムなどのスマートカードを用いたWindows ServerとActiveXを基盤とした電子政府システムの本格運用開始に伴い、経済産業省や総務省、内閣府なども現在はLinuxデスクトップの普及促進活動を中止しており、LinuxやmacOSなどを利用しているユーザーに対し、WindowsとInternet Explorer、Microsoft Officeの再導入を勧めている。 Linuxは、日本の学校教育の場でも用いられている。採用例は初等教育の段階から見られるが、特に大学では理工学系分野での使用が多い。理工学分野ではUnix系環境向けのアプリケーションや開発環境が非常に充実しており、また長年に渡るそれらの利用実績や経験の蓄積があるためである。より広範な一般教養のカリキュラムの中で使用されることもあるが、多くの学生が大学進学以前から既にWindowsやmacOSに慣れ親しんでいることや、オフィススイート・画像編集ソフト・会計ソフト・ゲーム等の一般向けパッケージソフトが従来から用いられているOSと比較して非常に少ないため、あまり受け入れられていない。特に日本国内の民間企業や政府機関は欧米圏などと比較すると保守的でリスクマネジメントに慎重であるため、マイクロソフト社とのクライアントOSに関する独占的なSLA契約を締結し、LinuxやAndroid、iOSなどを搭載した端末からのオンラインバンキングや電子政府システムへのアクセスを排除していることに加え、Linuxをプリインストールしたマシンを製造販売すると製造物責任法上のリスクが大きく上昇することもあって、メーカー側も生産をためらっている状況にあり、日本国内市場では自作パソコンユーザーの間ですらほとんど受け入れられていない。しかし例えば、有名なゲーム配信プラットフォームのSteamがLinuxに対応したり、デルやトーワ電機などのパソコンメーカーがLinuxをプリインストールしたBTOパソコンを発売するなど、状況は変化しつつある。財団法人 コンピュータ教育開発センター(CEC)が、小中学校11校を対象にオープンソース・デスクトップ導入実験を行ったが、その際岡山県総社市で実施したアンケートで、小学生の90%以上がLinuxは簡単と答えている。 OLPCのXOラップトッププロジェクトは、新たなLinuxコミュニティを作ろうとしている。このプロジェクトは、発展途上国の何百万人もの学童とその家族にリーチすることを計画している。このプロジェクトの支持者には、Google、レッドハット、イーベイが含まれている。XOは、Windowsも選択できるようにすることにしているが、基本的にはFedoraにSugarをデスクトップ環境として使ったものを展開する予定である。
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