リトアニア人の協力とは? わかりやすく解説

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リトアニア人の協力

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/07 02:50 UTC 版)

リトアニアにおけるホロコースト」の記事における「リトアニア人の協力」の解説

ナチス・ドイツ当局はリトアニア・ユダヤ人の組織的殺戮指示支援し現地リトアニア人協力者がその指示のもと計画実行していった。1941年6月25日ナチス親衛隊フランツ・ヴァルター・シュターレッカー少将カウナスコヴノ)に到着しユダヤ人殺害をあおる内容演説行った演説当初旧国公安局建物で行う予定であった関係者はそれを拒否結局彼は街中演説行った10月15日報告書の中でシュターレッカーは、先遣隊による行為事実はうまく隠されあたかも現地住民自発的に行ったことであるかのように見せかけることに成功したと書いている。ソヴィエト併合抵抗していた民族主義者集団パルチザンは、リトアニアに入るやいなやすぐにドイツ当局連絡取り合うようになった1941年6月25日の夜から26日にかけて、アルギルダス・クリマイティス (Algirdas Klimaitis) 率い暴徒群れカウナスユダヤ人対しポグロム殺戮)を起こしナチス保安警察 (SiPo) や親衛隊情報部 (SD) もそれを奨励した。これがナチス占領下リトアニア起きた最初ポグロムで、数日のうちに 1,000 人を超すユダヤ人殺された。なお、このときの被害者の数を 1,500 人とする説や、周辺の都市での犠牲者合わせて 3,800 人とする説もある。 1941年6月24日ナチス保安警察刑事警察補助機関としてリトアニア保安警察リトアニア語: Lietuvos saugumo policija)が設立された。リトアニア保安警察は、ユダヤ人やその他ナチス政権にとっての敵対勢力に対して様々な行為行ったナチス司令官報告書の中で、リトアニア警察隊の「熱意」は自分たちのものより上回る記している。リトアニア人部隊が関わったものの中で最もよく知られホロコーストヴィリニュスヴィルナヴィルノ近郊のポナリ(ポーランド語: Ponary、リトアニア語: Paneriai パネレイ)でリトアニア特別部隊リトアニア語: Ypatingasis būrys)が起こしたもので、ユダヤ人ポーランド人など合わせて数千人が犠牲となった。またリトアニア労働警護隊もホロコーストに関わった。ナチス政策同調したリトアニア人多くファシスト団体鉄の狼」に所属していた。概して言えば当時民族主義的リトアニア政権は「リトアニア民族にとっての潜在的な敵」であるユダヤ人一掃関心寄せており、したがってナチスのホロコースト政策反対するどころか実際にはむしろそうした政策取り入れていったのであったリトアニア人ユダヤ人対すジェノサイド関与したのにはいくつかの要因挙げられる。他の中東欧諸国同様に当時伝統価値観には反ユダヤ主義的な要素含まれていた。また当時リトアニア人リトアニア人だけで構成する純粋な国民国家築き上げることを望んでいた。他にも、厳し経済状況によりユダヤ人私有財産めぐって殺害が行われたという側面もあった 。そして何よりユダヤ人ソヴィエト政権に協力していると見られていた。ドイツリトアニア支配するまでのあいだ、リトアニア降りかかった災難のすべてがユダヤ人のせいとされていた。 「ユダヤ・ボリシェヴィズム」 (Jewish Bolshevism) に関するプロパガンダナチスによって意図的に広められリトアニア人反ユダヤ主義を煽っていったこうしたプロパガンダナチス占領以前にもリトアニア行動戦線によっても作られていた。ソヴィエト政権抵抗していたリトアニア人行動主義戦線は、リトアニア人よりユダヤ人の方がソヴィエト政権支持者が多いという事実を利用してこうしたプロパガンダ展開していったのであった。こうしてソヴィエト支配下その後リトアニア災難はすべてユダヤ人のせいだという「神話」が作られていった当時リトアニア行動戦線パンフレットには以下のように書かれていた。 リトアニア民族イデオロギー成熟のためには、反共主義的、反ユダヤ主義な行動を強化すべきである。[…]ユダヤ人片付けるのにこの機会利用することもまた重要だユダヤ人には誰一人として最小限権利生存の可能性もないと思わせるほどに、ユダヤ人にとって息苦しい環境を我々は作らなければならない。我々の目的アカロシア人とともにユダヤ人追い払うことである。[…](ユダヤ人が)リトアニア民族何度も圧政者に売り渡したために、ヴィータウタス大公によってユダヤ人施されもてなしは、これによって永遠に廃止となる。 実際リトアニア人行動主義戦線の中で活動していたアウグスティナス・ヴォルデマラス (Augustinas Voldemaras) を支持する過激派は、人種主義的な「アーリア人の」リトアニア国家建設を心に描いていた。ドイツ占領が始まるにあたりカウナス新聞『自由のために』は猛烈な反ユダヤ運動を開始、「ユダヤボリシェヴィズム同一で、不可分なものの一部分にすぎない」などという表現用いてユダヤ共産主義同一であるという人々認識強めた比較多く現地住民現地機関がリトアニア・ユダヤ人コミュニティ破壊関与したことは、リトアニアのホロコースト特徴づける重要な要素のひとつである。 もちろん全てのリトアニア人ユダヤ人殺害支持していたわけではない。約300万人人口そのうち 80 % がリトアニア人)のうち数千人が殺害に関わったが、他方ユダヤ人保護のために危険を冒した者も数百人いた。戦後イスラエル政府ユダヤ人救出のために危険を冒した 723 名のリトアニア人に対して諸国民の中の正義の人」の称号与えている。なおこの称号は、当時リトアニアユダヤ人査証発行したことで知られる杉原千畝にも送られている。また、多くポーランド系住民ユダヤ人保護の手助けをした。彼らを救おうとして危険を冒したリトアニア人ポーランド人ナチスからの迫害を受け、また多く場合処刑された。

※この「リトアニア人の協力」の解説は、「リトアニアにおけるホロコースト」の解説の一部です。
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