マツカレハとは? わかりやすく解説

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まつ‐かれは【松枯蛾】

読み方:まつかれは

カレハガ科のガ。雌は翅(はね)の開張8センチくらいあり、暗褐色で白い横線をもつものが多い。雄は小形赤褐色黒褐色灰褐色など変異がある。夏に発生し灯火飛来する幼虫大害で、松毛虫よばれる

松枯葉蛾の画像
撮影おくやまひさし

マツカレハ(イメージ)


マツカレハ(イメージ

形態
 マツカレハは幼虫マツケムシと呼ぶことが多い。成虫は翅の開張が雌で70~90mm、老熟幼虫体長は約70mm。幼虫背面銀灰色腹面金色背面黒色長い毛を密生する胸部の毛には毒針毛備える。
 タケノホソクロバはタケケムシと呼ばれることがある成虫は翅の開張が20mm、全体的に黒褐色をしている。老熟幼虫体長27mm程度全体的に黄褐色から淡黄褐色呈し環節に4個ずつ黒いこぶがある。このこぶから毒毛生えている。
分布
 マツカレハは日本全土見られるマツヒマラヤスギ付き、庭や公園にも多い。
 タケノホソクロバ全国分布する。タケ・ササ類から発生し都市部でも見られる
被害
 庭のマツ手入れしている際や竹やササ触った時などに、誤ってケムシ触ってしまうと、刺される
 幼虫球状部分持った毒針毛持ち、毛が刺さると球状部分割れて毒液が出る。幼虫触れると毒針毛刺さり患部掻いた触ったりすると激し痛み感じ次いで患部じん麻疹のように赤く腫れ、かゆみが10日~3週間続く。
 成虫は無害である。
生態
 マツカレハは年1回発生で、越冬した幼虫4月頃から活動し始め6月頃まで活発に活動する6月10月成虫出現しマツ樹上数百の卵を産み付ける。夏~秋に孵化した幼虫は、10月末頃になると樹皮の間等に集団潜り込み越冬に入る。
 タケノホソクロバは竹や笹から発生し幼虫は5~9月頃に見られ越冬する成虫は黒い小さなであるが、幼虫毒針毛持っている。竹や笹の葉の裏産み付けられた卵から孵化した幼虫は、当初集合して生活するが、成長する次第分散し、終令幼虫のころには一枚に1頭程度密度となる。

マツカレハ

和名:マツカレハ
学名Dendrolimus spectabilis Butler
    チョウ目カレハガ科
分布北海道南部以南日本全土分布
 
写真(上):マツカレハ成虫(左:雌,右下:雄)
写真(下):マツカレハ幼虫(左)と樹幹上に産まれ卵塊右下
説明
アカマツ・クロマツなど全てのマツ属と,カラマツ・ヒマラヤスギを加害する。被害面積は,1975年までは数万haにおよんでいたが,近年減少しているが,マツ材線虫病防除影響とみられる成虫は雌で開張85mm内外,雄65mm内外であるが,色彩とともに個体差大きい。卵は長さが2mm程度長楕円形で淡赤褐色から青白色をしている。幼虫脱皮が進むと黄褐色から黒褐色となり,個体差大きくなる全体剛毛生じ胸部2,3背面の黒藍色刺毛が目立つ。体長大きいものでは90mmになる。繭は灰色から灰褐色幼虫刺毛ついている。普通年1回発生である。茨城京都兵庫高知熊本福岡,鹿児島などでは年2回発生する地域もある。年に2回発生する地域では複雑に生態となっている。年1回発生する生活史場合7月から8月成虫発生し幼虫越冬し翌年7月になり,成虫となるという経過を示す。この場合春先被害大きくなる産卵針葉卵塊状に産まれる。1卵塊の卵数は100300個である。雌1頭の産卵数200600個である。孵化した幼虫周囲針葉片側だけを食害することから,針葉が赤変する。早期発見目安となる。幼虫マツケムシ呼ばれる。この時期幼虫は口から糸をはいて落下し移動する。2齢以降幼虫針葉を完全に食べる。繭は樹上下草作られる被害激し場合損にいたることがある食害量が多ければ損しない場合にも成長影響をあたえる。本種の天敵についてはよく調べられており,補食性の鳥類寄生性昆虫21種,微生物等がある。
マツカレハ成虫(左:雌,右下:雄)

マツカレハ幼虫(左)と樹幹上に産まれた卵塊(右下)


松枯葉蛾

読み方:マツカレハ(matsukareha)

カレハガ科のガ

学名 Dendrolimus spectabilis


マツカレハ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/21 23:31 UTC 版)

マツカレハ
マツカレハ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: チョウ目(鱗翅目) Lepidoptera
: カレハガ科 Lasiocampidae
亜科 : カレハガ亜科 Lasiocampinae
: Dendrolimus
: マツカレハ D. spectabilis
学名
Dendrolimus spectabilis
(Butler, 1877)
和名
マツカレハ

マツカレハ(学名:Dendrolimus spectabilis)は、チョウ目カレハガ科に属する昆虫である。幼虫マツケムシと呼ばれることがある[1]日本全国およびシベリア樺太朝鮮半島に分布する。

特徴

成虫は通常年1回、6月から10月(最盛期は7月から8月)に出現する[1][2]。成虫は茶褐色で翅(はね)に白の斑紋があるが、個体差が大きく斑紋がないものもある[1]。その年に伸びた針葉に100から300の塊状の卵を産卵する[1]

産卵後約1週間でふ化し、集団でマツ類の針葉の片側だけを鋸歯状に食害する(食害を受けた葉は赤変する)[1]。幼虫は1回脱皮すると分散し、マツ類の基部まで食害するようになる[1]

寄生植物はアカマツクロマツチョウセンマツなどマツ属、カラマツである[2]

10月頃に針葉さらに樹幹から根際や樹皮の割れ間などに移動し、若齢幼虫として越冬する[1][2]。その後、3月から4月頃に再び針葉上に移って食害し、針葉上、枝、幹などで蛹化する[1]

老熟幼虫は、体長約60ミリで頭部は暗褐色、胴部は銀から黄褐色で、全体に黒色長毛があり、背中の一部に毒毛をもつ[1]

被害

森林への被害

時には大量発生し、食害により地域の森林が大規模に枯損するほどになることがある。

1919年以降、樺太でマツカレハの食害が顕著となり、4年間で8800万石が被害に遭った[3]

また、1924年には樺太の大泊湾一帯で大量発生。一夜にして数百町歩の森林が食い荒らされたとの記録も残る[4]

毛虫皮膚炎

幼虫は全体に黒色長毛があるが[1]、背中の一部に黒藍色(藍黒色)の毒毛(毒針毛)をもち、刺されると激痛を生じ腫れ上がる[1][2]

防除

新梢上の針葉の卵塊を見つけてつぶす物理的方法がある[1]。薬剤としてはスミパイン乳剤やDDVP乳剤などを使用する方法があるが、薬剤の効果は若齢幼虫で高く、老熟幼虫では効果が劣るとされる[1]

日本では伝統的にマツの幹の胸高付近に藁でできた「こも」を巻くこも巻きが行われてきたが[1]、害虫防除効果は僅かで、むしろ益虫に越冬場所を提供する効果が指摘され、益虫を集めて殺すことにならないよう、こもの処理には十分な配慮が必要とされた[5]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n マツカレハ”. 長野県林業総合センタ- ミニ技術情報. 2024年10月22日閲覧。
  2. ^ a b c d 公園・街路樹等病害虫・雑草管理暫定マニュアル”. 環境省. p. 12. 2024年10月21日閲覧。
  3. ^ 下川耿史 『環境史年表 明治・大正編(1868-1926)』p333 河出書房新社 2003年11月30日刊 全国書誌番号:20522067
  4. ^ 上野金太郎編『北洋材十年史』1970年 全国北洋材協同組合連合会 p.34 記録編
  5. ^ 新穂千賀子,中居裕美,村上諒,松村和典. “姫路城のマツのこも巻き調査(2002年-2007年)”. 日本生態学会全国大会 ESJ55 講演要旨. 2024年10月21日閲覧。



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