ブドウ果実
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 02:49 UTC 版)
ブドウの果実は皮、果肉、種子で構成される。種子は硬く、果実全体の2 - 5%の重量を占める。種子は25 - 45%の水、34 - 36%の炭水化物、13 - 20%の脂肪 (グレープシードオイル)、4 - 6%のタンニン、4 - 6.5%のタンパク質、2 - 4%のミネラル、および1%の脂肪酸を含む。種子はプレス時に取り除かれているため、白ワインの醸造では特に何の役割も果たさない。圧搾時に種の成分を抽出するほどの圧力がかけられるわけでもない。 皮は果実全体の6 - 12重量%を占める。皮は、ブドウの色に艶消し効果を与え、発酵の要因となる酵母を含んだワックス状の保護物質であるブルームで表面をコーティングされている。ブドウの皮には揮発性化合物も含まれている。これらはブドウの香りの原因物質であり、発酵中にワインの香り成分に変化するため「アロマの前駆体」といわれる。赤いブドウでは、この層にはアントシアニン類または明るい色から赤紫色の色素が含まれている。赤いブドウから白ワインを生産するには、ブドウ果汁にアントシアニンが溶出するのを避けるため、マセレーション(浸漬)をしない、あるいは収穫物をあまり強く圧搾しない、といった必要がある。皮にはセルロース、不溶性ペクチン、タンパク質、有機酸 (クエン酸、リンゴ酸、酒石酸)が多く含まれている。ソーヴィニヨン・ブランBのブドウの皮は、pH約4.15を示す。また、タンニンは2 - 3%含まれている。 ブドウの果肉はワイン醸造において最も重要な部分であり、果実全体の重量の75 - 85%を占める。果肉はワインの主要な要素であり、液体の割合が最も高い部分である。香り成分は皮よりもはるかに少ない。果肉は非常に薄い細胞壁を持つ大きな多角形の細胞からなり、小さな圧力で細胞から中の果汁が漏れ出す。ブドウの果肉の大半は水分である。有機成分は、発酵に関わる糖分(辛口ワインで1Lあたり170 - 230g、甘口ワインでは1L当たり200 - 300gかそれ以上)および有機酸、特にリンゴ酸および酒石酸である。酸は果実の中心部により多く存在し、一方、糖は外側に高濃度で存在する。果実中の糖、酸および無機化合物の分布が場所によって異なることは、特にシャンパンの製造において、圧搾時に利用される。圧搾工程では、最初に得られる果汁をキュベ (cuvee)、次いで得られるのが第1および第2のタイユ (tailles)、最後にはAOCワインを製造するには不十分な品質となるレベシェ(rebeches)に分離される。
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