その他の酸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/30 08:45 UTC 版)
酢酸は、発酵期間中またはその後にワイン中で作られる2炭素酸である。ワイン関連の主要な酸の中では最も揮発性が高く、酢の酸味の原因となっている。発酵中、酵母の活動により、少量の酢酸が自然に生成される。ワインが酸素に晒されると、アセトバクター属の細菌がエタノールを酢酸に変換する。この過程はワインの「酢化」として知られ、ワインが酢に分解されていく反応である。過剰量の酢酸は、ワインの不純物と考えられる。酢酸に対する感受性は人によって異なるが、大部分の人は約600 mg/Lを越えると気づく。 ビタミンCとしても知られるアスコルビン酸は、熟す前の若いブドウ果実に含まれるが、熟す過程で急速に失われる。ワイン醸造においては、抗酸化物質として二酸化硫黄とともに、白ワインのボトル詰め過程でしばしば加えられる。欧州連合では、添加物としてのアスコルビン酸の使用は、150 mp/Lに制限されている。 酪酸は、細菌が生成するワインの不純物である。ワインに傷んだカマンベールチーズかバターのような匂いを与える。 ソルビン酸は、甘いワインでしばしば菌類、細菌、酵母の成長を抑える目的で保存料として加えられる添加物である。二酸化硫黄とは異なり、乳酸菌の成長は阻害しない。欧州連合では、添加されるソルビン酸の量は200 mg/Lを超えないように制限されている。大部分の人は、濃度が135 mg/Lを越えると認識できるが、50mg/Lで気づく人もいる。ソルビン酸はワインの風味を損ない、悪臭の原因となる。ワイン中で乳酸菌によりソルビン酸が代謝されると、ゼラニウムの葉を潰したような匂いを出す物質が生じる。 コハク酸は、ワイン中には見られるが、熟したブドウには痕跡量しか存在しない。含有量はブドウの種類によって異なるが、赤ワイン用のブドウに多く含まれる。コハク酸は、発酵中の酵母による窒素代謝の副産物として生成する。コハク酸とエタノール1分子の反応により、エステルのコハク酸モノエチルが生成し、マイルドなフルーツ系の香りの原因となっている。
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