フーガハ長調
バッハ:フーガ ハ長調(アルビノーニの主題による)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:フーガ ハ長調(アルビノーニの主題による) | Fuge C-Dur BWV 946 | 出版年: 1866-67年 初版出版地/出版社: Peters |
作品解説
主題は、『トリオ・ソナタ集』作品1(1694、ヴェネツィア)第12番終楽章による。この曲集から主題を借りたフーガは全部で3曲あり、ほぼ同時期、ヴァイマール赴任以前の作曲とみられる。これら初期作品群のフーガの特徴としては、主題提示に明確なデザインがないこと、曲の最後にトッカータ風の走句をおいて締めくくることが挙げられる。主題提示のデザインが不明瞭であると、主題を各声部が提示する部分と自由な動機展開を行う部分(エピソード)の交代が明確でない、さらにいうなら、エピソード部が存在しないようなフーガになる。また、しばしば摸続進行やカデンツが紋切り型で冗長に感じられる。「アルビノーニ・フーガ」の最後の作品であるBWV951は大幅な改訂を加えてBWV951aに書き直されるが、その際、終結部の走句も含めて古い常套句が排除された。改訂はヴァイマール時代と推測され、すなわちバッハ自身が自らの「初期」フーガと意識的に決別したのがこの頃、ということになる。
BWV946は、創作史のとりわけ初期に習作として書かれたようだ。声部はあまり厳格に維持されず、対位法技法にも、対位主題や転回などの特別な技巧は見られない。時に2声部に減じるにも拘らず、全体がどこか重厚に感じられるのは、主題に対位される声部がリズムや旋律形の上でコントラストを生まないことに原因がある。そこで奏者には、ハ長調のきわめて明澄なアーチ型主題をくっきりと際立たせるよう注意が求められるだろう。
また、チェンバロやピアノで演奏する場合には終結部の4小節半の最低声部に、オクターヴ移高など何らかの手を加えなければならない。
バッハ:フーガ ハ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:フーガ ハ長調 | Fuge C-Dur BWV 952 | 作曲年: 1720?年 出版年: 1843年 初版出版地/出版社: Peters |
作品解説
伝承経路が明らかでないために、近年は疑作として扱われることが多い。しかし、《平均律》第2巻第1番BWV870/2、《ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのための音楽帳》第31番のハ長調のフーガBWV953と、構成や雰囲気に類似点が多く、J. S. バッハの真作である可能性はきわめて高いと考えられる。
全体は、3声の主題提示が完結する第5小節以降、2部に分かれる。その中心となるのが第23小節のe-Mollの完全終止である。ここまではd-Moll、a-Mollなど短調をめぐる間句、この中間のカデンツ以降はF-DurからC-Durへと戻る長調の領域である。
前半にも明確な完全終止がたびたび現れる点では、フーガBWV953よりも《平均律》第2巻第1番BWV870/2に近いが、e-Mollのカデンツを楽曲の中間の終止とするところは、フーガBWV953の姉妹作品であるかのように見える。いずれにせよ、バッハのハ長調フーガのひとつの典型をみせる作品である。
バッハ:フーガ ハ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:フーガ ハ長調 | Fuge C-Dur BWV 953 | 作曲年: 1723?年 出版年: 1843年 初版出版地/出版社: Peters |
作品解説
《ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハの音楽帖》に第31曲として含まれる作品。曲集等には拾遺されず残された。全体の構成や音楽の雰囲気から、《平均律クラヴィーア曲集》第2巻第1番BWV870/2のフーガを思わせる。この作品はあるいは《平均律》の候補作であったのかも知れない。
フーガの中間の切れ目は第22-23小節にかけてのe-Moll完全終止に生じる。3声の主題提示が行なわれたのちは、この完全終止を中心としてほぼシンメトリックに作られている。しかし、最初の主題提示は明確な完全終止をとらず、第7小節では通過点としてやり過ごされ、第10小節では終止音をオクターヴ下げるというごく単純な手法によって終止感が得られない。明確なカデンツはようやく第14-15小節のa-Mollに起こる。ここからd-Mollを通って長いe-Moll領域へと入っていく。そうして中間の完全終止が訪れる。以降は一転して長調へ向かい、G-Durを高音域で明るく響かせたのち、自然な和声進行の内にC-Durが復帰して、バスに主題を再現して終止となる。
登場する調はいずれも近親調の範囲であり、奇をてらった転調や進行は現れないが、それだけに安定感と明澄さを保っている。
「フーガ ハ長調」の例文・使い方・用例・文例
- フーガ風に
- このフーガをト長調に移調できるか?
- フーガは、バッハの作曲の様式を象徴する
- この作曲スタイルは、このフーガによって示されている
- 音楽のフーガの、音楽のフーガに関する、または、音楽のフーガの様式の
- フーガに先行する、またはオペラの幕の前奏となる音楽
- フゲッタという,フーガの形式
- フーガという楽曲形式
- フーガやロンドの楽曲において,主要部分どうしの間の挿入部分
- この草稿は「大フーガ」のピアノ版だ。
- ハ長調
- ハ長調[短調].
- ハ長調の音階の音符を表すためにドレミファ音節を使っている歌
- 西洋音楽において,ロという,ハ長調音階の第7番目の音
- ニという,ハ長調音階の第二音
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