フーガ イ長調とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 趣味 > ピティナ・ピアノ曲名 > フーガ イ長調の意味・解説 

バッハ:フーガ イ長調

英語表記/番号出版情報
バッハ:フーガ イ長調Fuge A-Dur BWV 949作曲年: about 1707-13年  出版年1843年  初版出版地/出版社Peters 

作品解説

2007年10月 執筆者: 朝山 奈津子

 「メラー手稿譜」に伝えられる。「メラー手稿譜」の通称は、表紙所有者メラーの名が記されていることに由来するが、幼少バッハ引き取ったオールドルーフのオルガニスト、ヨハン・クリストフがその大部分作成した北ドイツのみならずイタリアフランス作品断片含めて54収められている。その中にヨハン・ゼバスティアン・バッハ作品12曲、バッハ自身書きつけ部分含まれバッハ筆跡を知る上で貴重な資料である。(なお、これと同時期ほとんど同様の成り立ちしたものに、「アンドレーアス・バッハ本」がある。この2冊は直系弟子から弟子へと引き継がれていった。)
 〈フーガイ短調BWV949は、一部文献で今も疑作とされているが、メラー手稿譜にははっきりとヨハン・ゼバスティアン・バッハの名が冠されている。典型的な初期スタイルで、すなわち主題提示行わない自由な展開部分(エピソード)がほとんどなく、曲の終わり主題とあまり関連のない走句によって締めくくられる。しかし、対位法技法に関して意欲的で、主題素材から作られた対位主題2つ用意されている。対位主題使用は、バッハ創作史においてこの曲がほぼ初の試みである。主題はひじょうによく際立つ同音連打始まり刺繍音例えば第2小節最初16分音符の h 音や第2拍の cis 音のように、凹型ないし凸型に音を飾る非和声音)を伴う動機緩やかに5度上行する。この刺繍音動機いたるところ散りばめられ、全曲通じてつねにどこかでこの音型が聴こえている、といって過言ではない。その所為いささか単調になっているのは否定できない。が、主題導入音域テクスチュア工夫していつも周到に準備されるとりわけコーダ直前バスにおける提示(第74小節)は劇的ですらある。コーダ部分には「ペダル」記され低音があり、第80小節disに関して移高ないしソステヌート・ペダル必要だが、最終4小節両手のみで演奏可能である。全体明澄で、演奏効果の高い作品といえる


バッハ:フーガ イ長調(アルビノーニの主題による)

英語表記/番号出版情報
バッハ:フーガ イ長調(アルビノーニ主題による)Fuge über Thema von Tomaso Albinoni BWV 950作曲年: about 1725年  出版年: 1866-67年  初版出版地/出版社Peters 

作品解説

2007年10月 執筆者: 朝山 奈津子

 主題出典は、アルビノーニの『トリオ・ソナタ集』Op.1ヴェネツィア、1694)の第3番第2楽章で、元はヴァイオリン2本と通奏低音による曲である。バッハ主題以外にもいくつかの素材借用した。たとえば冒頭第3小節主題に続く16分音符は、原曲では対位主題として用いられ旋律である。が、バッハはこの作品明確な対位主題設定していない。むしろ、つぎつぎ現れる主題くっきりと聴かせつつ曲を劇的に進めるため、広い音域にわたる簡明なテクスチュア選択している。お陰でいわゆる主題入り」は、奏者特別に力を込めなくとも、声部増減瞬間的な音域変化によって明確になる全体主題の提示中心に組み立てられ主題素材念入りな展開や複雑な対位法技法などは見られない主題トリル伴って終止すると、続く部分早くも次の主題準備するために走り出すのである
 息をつかせないような奔流は、第75-79小節のストレッタでクライマックス迎え、第85-88小節分散和音経てたどり着いた属和音で、緊張感保ったまませきとめられる。休符のあとは、もはやおし留めることの叶わない勢いで鍵盤端から端まで駆け巡り低音のペダルポイントの上ではさらに激しさを増す。この目くるめく加速感は、ドイツ鍵盤音楽の伝統典型終結の手法である。ただし残念なことに、現代ピアノでこのペダルポイントと分散和音のフィギュレーションを完全に演奏することはきわめて困難で、ソステヌート・ペダル活用するか、音域変更する必要がある


「フーガ イ長調」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「フーガ イ長調」の関連用語

フーガ イ長調のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



フーガ イ長調のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
社団法人全日本ピアノ指導者協会社団法人全日本ピアノ指導者協会
Copyright 1996-2024 PianoTeachers' National Association of Japan
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS