タキトゥスとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 人名 > 学者・研究者 > 歴史学者 > 歴史家 > タキトゥスの意味・解説 

タキトゥス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 05:52 UTC 版)

史的イエスの資料」の記事における「タキトゥス」の解説

詳細は「Tacitus on Jesus」を参照 ローマ歴史家で、元老院議員務めたタキトゥスは、西暦116年頃の最後の著作年代記英語版)』の1544ピラトによるキリスト処刑およびローマにおける初期キリスト教徒の存在言及している。問題箇所次の通り。 それは、日頃から忌まわしい行為世人から恨み憎まれ、『クリストゥス信奉者』と呼ばれていた者たちである。この一派呼び名起因となったクリストゥスなる者は、ティベリウス治世下に、元首属吏ポンティウス・ピラトゥスによって処刑されていた。その当座は、この有害きわまりない迷信も、一時鎮まっていたのだが、最近になってふたたび、この禍悪の発生地ユダヤにおいてのみならず、(中略)この都においてすら、しょうけつきわめていたのである —タキトゥス『年代記』一五四四 一般的にピラトによるイエス処刑についてのタキトゥスの言及信憑性があり、初期キリスト教についてのローマ独立した資料として、他の歴史的記録一致する歴史的価値があると学者考えている。 タキトゥスの言及ヨセフス言及小プリニウストラヤヌス帝に宛てた手紙の間で整合性があることから、3者の記述すべての妥当性再確認できるとWilliam L. Portierは述べている。タキトゥスはローマ元老院議員で、その著作にはキリスト教徒対す共感見られないキリスト教徒写本の際に書き加えたにしてはあまりに否定的であるとAndreas KöstenbergerやRobert E. Van Voorstが述べていて、J・Pマイアー英語版)も結論同じくする。「ローマの全作家の中でタキトゥスはキリストについて最も正確な情報与えている」とRobert E. Van Voorstは述べている。ジョン・ドミニク・クロッサン(英語版)は、イエス十字架かけられたことを立証する上でこの箇所が重要であるとみなし、次のように述べている。「彼が十字架につけられたことは、最も確実な史実である。というのは、ヨセフスもタキトゥスも(中略少なくともこの基本事実にかんするキリスト教徒説明には同意しているからである」。エディボイドはその共著で、イエス十字架刑についての非キリスト教側の確認をタキトゥスが提供していることは今や確固たるのである」と述べている。バート・D・アーマン英語版)は「このくだりは、私たちがすでに福音書から知っているピラトによるイエス処刑を、少なくともある程度裏付けている。しかし、小プリニウス同様、タキトゥスは、私たち知りたいイエス言動について、何も語っていない。」と述べている。 大多数学者はこの記述本物であると考えているが、タキトゥスがイエスの死25年後に生まれていることからその信憑性疑問を呈する学者もいる。タキトゥスが情報源明らかにていないことからこの一節歴史的価値論じ学者もいる。タキトゥスは現存しない史的著作時に利用することがあり、この場合公文書館にある公式資料使用した可能性があるのだが、もしタキトゥスが公式資料写したのならば、ピラトプロクラトル皇帝属吏元首属吏ではなく正しくプラエフェクトゥス長官総督)としたはずだと推測する学者もいるとG・タイセン英語版)とA・メルツはその共著論じている。キリスト教対す偏見広まっていることがタキトゥスの記述によってうかがわれる一方、「クリストゥス」とキリスト教徒について正確な点をいくつか述べているが、タキトゥスの情報源不明であると、G・タイセンとA・メルツ述べている。しかしタキトゥスは元老院議員という立場から当時ローマ帝国公文書入手きたはずで他の資料必要なかったとPaul R. Eddy述べている。『年代記』のこの一節信憑性についてタキトゥスが真正なローマ文書で「クリストゥス」(メシア救世主)という言葉を使うはずがないと言って議論されてきたとMichael Martin指摘している。タキトゥスはキリスト教徒の迫害について述べたが、他のキリスト教徒著者はこの迫害について100年書いていないとWeaver指摘している。この一節は、教父にとって非常に有益であったはずなのに15世紀まで一人教父引用していないことと、ローマキリスト教徒多数であるとしているが、当時ローマキリスト教徒実際は非常に少なかったであろうことをHotemaは指摘している。 Richard Carrierは、この箇所キリスト教徒による改変であるという説を提示したCarrierによればタキトゥスは「クリストゥス信奉者」(Chrestianos)をキリスト教とは関係のない別の宗教集団として言及することを意図したという。しかしこの言葉「クリストゥス信奉者」は「キリスト教徒」の同義語であるというのが大方の見解である。 また、タキトゥスの情報源に関する伝聞問題についても学者たちは議論してきた。「タキトゥスが単にキリスト教徒の云っていたことを繰り返している可能性ある限り、この一節はまった価値が無い」とCharles Guignebertは主張した。この一節せいぜいタキトゥスがキリスト教徒通して聞いたことを繰り返しているだけだとR. T. France述べている。しかしタキトゥスはローマ卓越した歴史家として一般に情報源確認することで知られていて、巷説伝え傾向はなかったとPaul R. Eddy述べている。タキトゥスはローマで外国宗教集団監督することを任務とする司祭評議会Quindecimviri sacris faciundisの一員であり、Van Voorstの指摘のように、タキトゥスはこの団体職務通じてキリスト教起源について知識得ていたと推定するのが妥当である。

※この「タキトゥス」の解説は、「史的イエスの資料」の解説の一部です。
「タキトゥス」を含む「史的イエスの資料」の記事については、「史的イエスの資料」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「タキトゥス」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ




タキトゥスと同じ種類の言葉


固有名詞の分類

このページでは「ウィキペディア小見出し辞書」からタキトゥスを検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書からタキトゥスを検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書からタキトゥス を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「タキトゥス」の関連用語

タキトゥスのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



タキトゥスのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの史的イエスの資料 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS