ジョホール王国の歴史的意義とは? わかりやすく解説

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ジョホール王国の歴史的意義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 15:02 UTC 版)

ジョホール王国」の記事における「ジョホール王国の歴史的意義」の解説

ジョホール王国は、マラッカ王国後身として現在のマレーシアつながっている。 たとえば、マレー語古典なかでも特に重要なひとつとみられているのが上述の『スジャヤ・ムラユ』である。この歴史書は、1612年ジョホール王国世襲宰相(ブンダハラ)によって現在のようなかたちに整えられた。内容マラッカ王国歴史で、アレクサンドロス3世大王)にさかのぼりパレンバンスマトラ島)のシュリーヴィジャヤ王国のパラメスワラ王子血を引くという王統神話的記述はじまり、マラッカ宮廷中心としたマラッカ王国建国とその黄金時代、そして、1511年ポルトガル侵略による王国滅亡までを叙述している。 また、マラッカ王国時代ムラカ編纂された「ムラカ法典」は、シャリーアイスラーム法)と在来慣習法統合したものであり、これはジョホール王国にも引き継がれ東南アジア海域世界で商業規範となった。この法典ジョホール・リアウ王国のみならずアチェクダパハンパタニポンティアナック(現インドネシア西カリマンタン州)、ブルネイ(現ブルネイ・ダルサラーム国)などの諸港市でも採用され再編纂された。この法典のなかの「海事法」は特に、船長乗組員役務権限のほか積荷扱いなどの詳細な規定であったが、これもまた、ブギス人によって再編成された。その結果ムラカ-ジョホール商業ネットワークとおして売買賃貸委託取引などをめぐる規範をそのなかにもっているイスラーム教え重視された。東南アジアイスラーム化は、大量移民軍事的征服によらずして既存王国全体が王を頂点としてイスラーム改宗したことが特徴的であり、それは諸港市をむすぶ紐帯規範として機能した。 本来、「マレー人」とはマラッカ王国王族・貴族およびムラカ地元民指していた。しかし、上述のように、マレー世界広がりとともにミナンカバウ人ブギス人が交易参入しジョホール王国国内政治においても重要な役割をになうようになると、「マレー人」は、その出自よりも文化様式もとづいて定義されることが多くなった。たとえば、リアウ居住したブギス人たちは、必ずしもマレー人との差異強調したわけではなかった。ブギス人は、マレー人との通婚などを通してマレー文化親しみ自分自身マレー社会一員考えていた。上述の『トゥーファト・アル・ナーフィス(貴重な贈り物)』の著者副王家に連なるブギス人のラジャ・アリ・ハジは、自著のなかでヨーロッパ文明傾倒して伝統的なマレー文化軽視しがちなリンガ諸島在住スルタン批判しマレー人支配者の採るべき行動正しマレー語使用法訴えているほどである。そしてまたマレー人王族との共存を『クルアーンコーラン)』をはじめとするイスラーム教義のなかに見出そうとしたのである。 さらに、現在のインドネシア国語であるインドネシア語マレーシア公用語のひとつであるマレー語、さらにブルネイ公用語ブルネイ・マレー語ムラユ語)はともに、かつてはムラカ言語であったが、東南アジア島嶼部広く商業用共通語として用いられたところからジャワ語など多数者の日常語さしおいてそれぞれの国の国語・公用語として採用されたものであるマレー語元来、リアウ・リンガ諸島付近話されていたオーストロネシア語族属す一言であった。これがムラカ-ジョホール交易ネットワークの拡大とともにアラビア語ペルシア語タミル語ジャワ語などの語彙取り込んで発展したのである。なお、16世紀初頭マラッカ海峡おとずれポルトガル人トメ・ピレス(英語版)の『東方諸国記(ポルトガル語版)』によれば、このときスマトラ島東海岸各地域では互いに異な言語用いられていたにもかかわらず、ほとんどの人がマレー語会話不自由しなかったという。文字に関しても、マレー語アラビア文字表記ようとして生まれたジャウィ文字(バハサ・ジャーウィー)が用いられ法典布告(ウンダン・ウンダン)、交易関係の通信契約文書条約外交文書もとより年代記(スジャラ)・王統記(スィルスィラ)・系譜宗教書(キターブ)、物語などその他さまざまな著作なされた。その点では、今も東南アジア各地熱心に信仰されるイスラーム教ならんでマラッカ王国遺産今日伝え重要な役割果たしたといえるのである

※この「ジョホール王国の歴史的意義」の解説は、「ジョホール王国」の解説の一部です。
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