シーティスとは? わかりやすく解説

シーティス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/05 18:17 UTC 版)

シーティス (潜水艦)」の記事における「シーティス」の解説

シーティスは、イングランドバーケンヘッドBirkenhead)にあるキャメル・レアード造船所Cammell Laird)で建造され1938年6月29日進水した完成後の試験艦首潜舵(hydroplane)の不具合により遅れたが、ようやくガイ・ボラス(Guy Bolus少佐指揮の下でリバプール湾(Liverpool Bay)で開始された。シーティスは、最終潜航試験実施するためにタグボートのグリーブコック(Grebecock)を伴ってリバプール湾に向けてバーケンヘッド出港した通常の乗組員59であったが、キャメル・レアード造船所技師その他の海軍関係者含めて総員103名が乗船していた。最初潜航1939年6月1日14:00時に試みられが、潜航するには軽すぎることから艦内様々なタンク内の水量調べられた。調査されたものの一つが、魚雷発射管内に注水されているかどうかということであった魚雷担当士官のフレデリック・ウッズ(Frederick Woods大尉は、発射管テスト弁を開いてみた。不運なことに第5魚雷発射管テスト弁はエナメル塗料enamel paint)で塞がっていたために発射管前方扉が開いているにもかかわらず漏れてこなかった。テスト弁を貫通させるための錐が備わってはいたが、これは使用されなかった。このことと発射管開閉指示器間違いやすい配置 - 縦に1番、2番3番4番、6番の5つとその下に5番発射管指示表示盤が並び、各指示表示盤上では第5発射管開閉指示表示その他の発射管のものとは異な表示位置であった - が、発射管後方扉を開かせることにつながった流れ込む激流により艦首水深150 ft (46 m)の海底沈んだ救難ブイ放たれ発炎筒焚かれた。16:00時にグリーブコックがシーティスの異常に気付きゴスポートGosport)のドルフィン潜水艦基地無線報じる即座に捜索開始された。艦尾海面出ていたが、定員過剰艦内気圧増加救出活動開始までの20時間の遅れによる二酸化炭素中毒によりその他の搭乗者犠牲になる前に脱出できたのは僅か4名の乗組員のみであった。この事故通常の乗組員53名に加えキャメル・レアード造船所26名、その他の海軍将校9名、ヴィッカース・アームストロング社の社員4名、業者2名の合計99名の生命失われた捜索活動のために派遣されてきた駆逐艦ブレイズンは、自艦の存在知らせるために小型爆雷海中投下しており、乗組員たちはブレイズンがシーティスを発見するまで艦からの脱出待機していた。 この事故により造船所に対して弁を塞いでいた付着物を取り除かなかったという過失主張する一人寡婦からの訴訟提起された。この寡婦にとっては不幸なことに海軍当局国王特権Crown Privilege、現在は「公益理由とする秘匿特権」:Public Interest Immunityという名称で知られる)を発動することに成功し、「公益侵害する」という理由基づいてその他諸々と共に「シーティスの船体及び機器に関する契約」を裁判所証拠物件として開陳することを封じた。この裁判は、担当裁判官が何の精査無く額面通り海軍当局主張受け入れて後に判決覆ったという点で英国法中でも興味深い案件一つである。 沈没した艦の引き揚げ作業は、リバプール・アンド・グラスゴー・サルベージ協会Liverpool & Glasgow Salvage Association)に委任され引き揚げ作業完了したときにシーティスから外され船鐘海軍当局から同協会贈呈された。贈呈され船鐘は、現在マージー海洋博物館(Mersey Maritime Museum)に展示されている。 引き揚げ作業中に発生した更なる悲劇は、ダイバーのヘンリー・オットー・パーデュー(Henry Otho Perdue軍曹1939年8月23日に「ベンド」が原因死亡したことであった9月3日日曜日にシーティスは、アングルシー島のレッド・ワーフ湾(Red Wharf Bay)に一旦意図的に座礁させられた。それは開戦布告された日であった引き揚げ班によりまだ収容されていなかった遺体はこの時に運び出され、最高儀礼の海軍をもって葬られた。 潜水艦乗組員上の損失は、犠牲者中に2名の海軍造船技師キャメル・レアード造船所潜水艦班の数名含まれていたことであった経験豊富潜水艦設計技師造船技師は、戦争間中に必要とされる人材になるはずあった。 シーティスの悲劇は、そのちょう1週間前にニューハンプシャー州海岸沖で沈んだ米海軍潜水艦スコーラスからの救出作業成功とは対照的な出来事であった

※この「シーティス」の解説は、「シーティス (潜水艦)」の解説の一部です。
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