二酸化炭素中毒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 00:06 UTC 版)
ドライアイスは日常的に用いられるが、高濃度(およそ7 - 8%以上)の二酸化炭素を吸入すると、たとえ酸素が大気中と同等程度含まれていても、二酸化炭素が呼吸中枢に毒性を示すために自発呼吸が停止し、窒息することがある。特に昇華して二酸化炭素の気体になった場合は足下に滞留しやすいため、窒息あるいは酸欠による事故の危険がある。冷凍庫のような屋内や、自動車内で扱う際は、締め切らずに通気や換気を行う必要がある。たとえば 350 gのドライアイスを乗員室容積 2,000 Lの密閉した車内に放置すると、1時間で車内の炭酸ガス濃度は約10%となり、中毒を起こして意識不明に陥る危険性がある。 高い場所でドライアイスを扱った際、二酸化炭素が離れた低い場所に流れ込み、そこで酸欠を起こした事故もある。 「使用を誤ると酸欠事故の恐れがある」「廃棄できず、昇華するのを待つ必要がある」「商品表面に二酸化炭素が浸透し、炭酸飲料のような刺激感を与えてしまう」「二酸化炭素は地球温暖化の原因物質というネガティブイメージがある」といった欠点のため、近年ではドライアイスに代わって、ポリアクリル酸ナトリウムなどの高吸水性高分子と水をポリ袋に詰めた蓄冷剤が普及してきている。特に冷蔵でよいケーキの持ち帰り用には大部分がこの蓄冷剤に取って代わられた。なお、食品に使われるドライアイスはアンモニア製造やビール工場等の発酵過程で出る副産物を利用している。発酵の副産物として製造されたドライアイスの使用は大気中の二酸化炭素の純増にはならず、地球温暖化の原因物質ではない。
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