キーボーディスト・シンセシスト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 09:41 UTC 版)
「小室哲哉の使用機材」の記事における「キーボーディスト・シンセシスト」の解説
シンセサイザーの使い方はハードウェア・シンセサイザーを重視する傾向が強く、レコーディング作業時のみソフトウェア・シンセサイザーを「楽器として重要な要素であるフィジカルコントロールの面でハードに劣る」「鍵盤の方が手っ取り早い」「マウスが使いづらい」「つまみがあって二度と出せない音を作り出せる機材に可能性を感じてしまう性分なので、マウスや数値だけでは限界がある」「基本的にステップ入力はしない。1974の時その手法でイントロを作るだけでも大変苦労した。それに打ち込みから始めてしまうと音色によってデュレーションやリリースが違うので、いざ聞くとニュアンスが全く違ってしまう」として使用していなかった。音自体はMIDIで作った後、それを鍵盤で即興で弾き、それをPro Tools・ACID等でエディットしていく形を好んでいるが、椎間板ヘルニアによる身体への負担・コンプレッサーの性能と音圧の高さとハードウェアタイプとの差の大きさ・マウスの操作性の向上(主に応答時間)・他のクリエイターからの影響を考慮し、2013年3月に個人所有のスタジオを改装する際にソフトウェアタイプの機種を導入した。また、同年の7月20・21日にさいたまスーパーアリーナで行われたTM NETWORKのコンサート『TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-』では初めてソフトシンセをライブで使用した。ライブのリハーサル中、PCが頻繁にフリーズしてしまったため、バックアップとして急遽パソコンをもう一台購入し、ソフトシンセももう一式購入した。そのため、「結果ハードシンセよりも高くついたが、2台あることでダブステップをやるので音を重ねていけたりする等プレイの幅が広がった」と小室は語っている。それでも2013年の時点で「記念館を作れる」くらいに個人でハードウェアタイプの機種を所有している。新しくシンセサイザーを購入した時、マニュアルは読まずに予備知識なし・直感で操作する。それ故に一度も使ったことのない機能・スイッチが多いが、使いたい機能・目的がはっきりしているため、あまり楽曲制作に迷わないという。使える機材かどうかは、「鍵盤を弾いた瞬間に時差なくスピーカーから音が出るか否か」の二択で選んだ。 ライヴでの演奏もシンセサイザー主体であり、「自分がその楽器のプレイヤーとしての腕が追いつかなくても、演奏したい楽器のボタンを押して弾くと機械の方がメロディをしっかり追えると14,15歳の頃に気づいた」「アレンジ・奏法はギタリストの真似から始まっていて、ギタリストだと簡単に弾けるフレーズ・プレイをキーボーディストが担当するとどうなるかを意識している」「1台の中に生のストリングス・バンドサウンド・ヴォーカルが全て入っていて再現できる。僕の音楽はシンセサイザー・コンピューターの制御があって初めて成立している」「1台あるだけで1曲音源が作れる程、機能が充実している」「バンド内でギタリストに対抗できるポジション」「ギタリストがカッティングでグルーヴを生み出すように、鍵盤でも何か違った形でグルーヴが生み出せないかと思っている」「数台重ねれば一人バンドができる」と語る程に思い入れが強い。既存の音源・事前に新規に作成した音源の上にマルチ・キーボードでの即興演奏で全く別のメロディを重ね、ミュージックシーケンサーを駆使しての多重演奏を主体としている。その際、今までのキーボーディストが三和音をきっちり押さえて、左手もリズムが八分だと8回とその通りに鍵盤を叩いていたが、小室の場合は無駄な音は消去法の要領で全て取り除いて、極力簡単で有効的な音にしている。同時にPAエンジニアと相談して、キーボードはどうしても音数が多いから、細かいプレイまで再現するためにギター・ベース・ドラム・ボーカルの入る余地のある隙間を作る。ギター・キーボードのパートは和音の即興演奏は止めて、単音で「あの曲はこういう音だった」とファンの耳に残して、1曲毎の印象を強く残すことを目標にしている。 ただ小室本人は必ずしも機械弄りが好きだったわけではなく、電子楽器・コンピューターを使用しているのも単に「便利だから」という理由である。むしろ「旅客機のコックピットみたいにライトや計器に囲まれて、機長のように指示を出す」というシチュエーションに小さい頃から憧れており、それが小室独自のキーボード&シンセサイザーブースと機材リスト構築に反映されている。
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