エリアマネジメントを巡る環境整備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 09:56 UTC 版)
「エリアマネジメント」の記事における「エリアマネジメントを巡る環境整備」の解説
これまでエリアマネジメントは大都市を中心に大規模開発主体である民間企業から始まるケースが多く、公との連携についてはその役割が比較的薄いことが多かった。しかしエリアマネジメント活動は、中小都市を含めたさまざまな都市やマンション等居住エリアにおける活動として広く敷衍しつつあり、公、特に自治体の役割をより主体的に考える必要が出てきている。民の活動は、エリアの関係者間の絆が根幹ではあるものの、公の活動を含めてエリアマネジメント活動を考える際、民と公の連携が重要となる。 近年のエリアマネジメントの役割と期待感の増大、民間だけでは解決し得ない財政や人材面などの諸課題を背景に、以下のような官民連携を促進する諸制度が順次整備されてきている。それらの諸制度の適用により、これまで以上に柔軟なまちづくりやにぎわい拠点の開放・整備、更にはイベント等の実施制限緩和等がサポートされるようになってきている。 エリアマネジメントの導入、推進に当たっては、エリア個々に適切なこれらの諸制度を取捨選択し、上手く活用しながらより効果的・効率的な活動を計画、実施していくことが肝要となってきている。 近年導入されたエリアマネジメントに関連する官民連携の諸制度には以下のようなものがある。 ■都市再生特別措置法(2002年) 主旨:都市基盤、公有地の民間収益活動(広告掲示、物販実施、イベント開催など)への開放 →政令で指定した都市再生緊急整備地域に対し、都市再生特別地区として民間都市再生事業計画の認定制度による金融支援 (出資・社債等取得、債務保証、無利子貸付、税制特別措置) ■「都市再生整備計画」 都市再生に必要な公共公益施設等整備を重点的に実施すべきエリアを対象とし、 市町村が策定する計画 ※都市再生整備計画に記載することで、以下の様々な特例や制度を活用した「官民連携まちづくりの取組み」を実施することが可能になり、また「滞在快適性等向上区域」(通称:まちなかウォーカブル区域)を指定することで区域内における「居心地が良く歩きたくなる」空間づくりの取組みに更にメリットを受けられるようになる。 ■「都市再生推進法人」 ●都市再生推進法人指定制度(2007) →まちづくりの中核を担う団体・法人として市町村が公的に認可したもの。 指定されると、市町村の作成する都市再生整備計画に対し、自らの業務を行うために必要な計画作成または変更提案が可能に(計画素案提出の要あり)。 ■「一体型ウォーカブル事業実施者」 ●一体型滞在快適性等向上事業(一体型ウォーカブル事業)の実施主体民間事業者等(2020) =まちなかウォーカブル区域内の一団の土地所有者、借地権者、建物所有者等 ■公共空間をオープンに活用する規制緩和制度 ●河川敷地占用許可制度(2004)~指定河川敷地内にオープンカフェ等を設置可能に ●道路占有許可特例制度(2011)~指定区域道路上に広告・オープンカフェ等設置が緩和 ●都市公園の占用許可特例制度(2016)~整備計画公表後2年以内に占用許可申請があれば賑わい施設(看板・広告塔)を設置可能に ■公共空間・民地を有効活用してにぎわい創出を促す協定制度 ●都市利便増進協定制度(2011) →街灯、ベンチ等整備・管理方法につき地権者が協定を締結、市町村認定を受けられる ●都市再生整備歩行者経路協定(歩行者ネットワーク協定)制度(2009) →地権者間で歩行者経路整備・管理の役割分担などについて法定の協定を締結出来る(協定は地権者が変わっても効力を持つ) ●低未利用土地利用促進協定制度(2016) →土地所有者に代わり、低未利用地有有効利用の為の施設整備・管理方法を定める協定 ■「居心地が良く歩きたくなる」まちなかを創出するための支援制度 →滞在快適性向上区域を都市再生整備計画において指定すると、以下のメリットが付与 ●一体型滞在快適性等向上事業 →市町村と一体で実施される交流・滞在空間創出のための事業(並木、広場、店舗等施設設置) に税制特例(R.4年3月まで) ●公園施設設置管理許可特例 →整備計画公表後2年以内に設置管理許可申請すれば、交流滞在施設(カフェ、休憩所等)を設置可能に ●公園施設設置管理協定制度 →都市再生推進法人や一体型快適性等向上事業主体は、公園管理者との協定に基づき、滞在快適性等向上公園施設(カフェ、売店等)設置・管理を行う場合、都市公園法特例が付与(設置管理許可期間延長、建蔽率の上限緩和等) ●特定路外駐車場届出制度 →条約で定める一定規模以上の路外駐車場の届出義務化が可能に ●駐車場出入口設置制限 →上記駐車場出入口の設置位置を制限することが可能に ●附置義務駐車施設の集約化・出入口設置制限 →附置義務条例により、集約駐車施設設置、出入口設置制限の規定が可能に ●普通財産活用 →市町村所有の普通財産を、都市再生整備計画に沿った内容での使用が可能(安価な貸付等) など、である。 また、「東京都しゃれた街並みづくり推進条例」のように、都道府県単位での、一定の条件を満たす開発エリアの公開空地等のエリアマネジメント活用への条件緩和措置なども順次導入されてきており、エリアマネジメントの重要性への認識が更に高まりを見せるにつれ、官民連携や法制度緩和のための仕組みが急速に整備されつつある。
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