さとはまかいづかとは? わかりやすく解説

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里浜貝塚

名称: 里浜貝塚
ふりがな さとはまかいづか
種別 史跡
種別2:
都道府県 宮城県
市区町村 東松島市
管理団体
指定年月日 1995.02.14(平成7.02.14)
指定基準 史1
特別指定年月日
追加指定年月日
解説文: 島々の白い疑灰岩と松林青い海映える松島湾は、縄文時代初めごろから形成されはじめた。やがて早期末になると沿岸島々縄文人居住し始め豊かな水産資源利用した結果多く貝塚残した。湾の東と西、そして湾の中央位置する湾内最大の島である宮戸島に、3集団それぞれの領域をもって拠点集落営んでいた。東岸集団は、大木囲貝塚から2月田貝塚、西岸集団道珍貝塚から西ノ浜貝塚拠点集落移し宮戸島には里浜貝塚が継続して営まれていた。
 里浜貝塚は宮戸島西部にあり、松島中でも4大観の一つとして有名な大高森の西に位置する学界で明治30年代からその存在注目され大正7・8年には東北帝国大学理学部松本彦七郎日本人種論の決着のために人骨発掘し併せて古地形・海面変動動植物などの古環境について先駆的な研究実践した。特に層位学発掘我が国最初に行われ土器型式編年研究基礎作った遺跡として名高いその後数々調査実施されたが、昭和26年から37までは東北大学教育学部土器編年研究主目的に数地点継続的に発掘調査した。また昭和54年からは東北歴史資料館が、縄文人生業食生活復原主要テーマ西畑地点西畑北地点・台囲頂部地点梨木東地点・風越地点発掘調査している。
 本貝塚は、曲がりくねって東西延び標高2040メートル丘陵上に立地し南北幅約200メートル東西長約800メートル規模をもつ。当初丘陵の東と西の端に縄文前期初頭から小規模な集落営まれたが、その後西側丘陵頂部中心に前期初頭から中期末、東側の南斜面中心に中期末から後期初頭西側の南斜面中心に後期初頭から晩期初頭中央部の北斜面中心に晩期初頭から弥生時代初頭までそれぞれ大規模な集落貝塚残したその後中央部小規模な集落営まれ浜辺貝塚製塩作業場少なくとも平安時代まで継続して営まれた。
 長期間居住によって結果的に極めて大規模な遺跡形成され所によって厚さメートル上の貝層堆積している。しかし、これまではいずれ貝層部分小規模に発掘調査したに過ぎない晩期中心とした中央部集落跡貝塚から多数埋葬人骨発見され集団墓地様相明らかになっているほかは、各集落内容不明いわざるをえない。ただし、各集落貝塚発掘調査によって土器型式変遷豊富な骨角器石器内容さらには多量多様な食料残滓などの発見によって、縄文時代生業食生活実態あるいは自然環境変遷次第に明らかとなってきている。
 豊富に出土した骨角器には優品が多く見られ漁撈具のほか、鹿の骨などで制作した骨箆、鳥骨刺突具などの加工具、鹿角製の腰飾り、猪牙製のペンダント鳥骨製の管玉貝輪など多様な装飾品発見されている。また南海産のオオツタノハ製の貝輪イモガイ製の貝玉、磨製石斧などは、遠隔地との交易を示す。
 生業食生活については、スガイ・イガイ・クボガイ・マガキ・カリガネエガイなどの岩礁性の貝、アサリ・オキシジミ・オオノガイなどの砂泥性の貝、多量なマイワシ・アイナメなどの小型フグ類、スズキ・マダイ・クロダイ・マグロなどの大型捕獲され、クリ・ハシバミ・クルミなど堅果類採取されシカ・イノシシ・そしてウミウ・ヒメウ・カモ類などの鳥類目立って捕獲され食料となっていた。小型囲い込みによる大量捕獲大型鹿の角制作した各種釣針・銛・ヤス・鏃などの漁撈具ので捕獲されたと推定される。また遅くとも縄文時代晩期には、浜辺土器製塩と貝〓(*1)きの作業場営まれたことも特筆される生産された塩は、約2030キロメートル離れた山手集落運ばれ代わりに石器石材などが里浜にもたらされた。地域内の交易盛んに行われていたことを示す。
 本貝塚は、縄文時代から平安時代まで土器型式断絶なく残され海辺集団として稀に見る長期にわたり継続して生活を営んだ跡であって地域集団歴史極めて良好に示している。特に四季折々恵み計画的に採り入れ豊かな食生活送り土器製塩と貝〓(*1)きの作業場設けるなど、集団協業分業あるいは交易はかっていたことが明らかになった。さらに、各種食料残滓によって海況底質鳥獣類や堅果植物の種類など自然環境明らかになっている。このように里浜貝塚は極めて豊かな情報をもっており、縄文時代我が国歴史明らかにする上で重要である。よって史跡指定し保存をはかるものである。
史跡名勝記念物のほかの用語一覧
史跡:  都於郡城跡  酒船石遺跡  醍醐寺境内  里浜貝塚  野上下郷石塔婆  野中寺旧伽藍跡  野古墳群



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