お笑い第五世代
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東京吉本の渋谷公園通り劇場が1998年、銀座7丁目劇場が1999年、大阪でも心斎橋筋2丁目劇場が閉館した。そんな中、2001年にルミネtheよしもとが開館し、大阪でも心斎橋筋2丁目劇場に続く若手芸人の拠点として、baseよしもとが開館。また、1999年にスタートした『爆笑オンエアバトル』(NHK)がヒットすると、他局でも若手のお笑い芸人を発掘しようとする動きが起こり、2000年代中盤から『エンタの神様』(日本テレビ)『笑いの金メダル』(朝日放送)などのいわゆる「ネタ見せ番組」が急増した結果、子供や若者を中心に人気となり、お笑いブームが巻き起こった。また、2001年には島田紳助企画立案の結成10年以内のコンビを参加対象とした新たな漫才コンテスト『M-1グランプリ』(朝日放送)が立ち上がり、翌2002年からは1人芸を対象にした『R-1ぐらんぷり』→『R-1グランプリ』(関西テレビ→カンテレ・フジテレビ共同)が、2008年からはコントのコンテスト『キングオブコント』(TBS)が開催されるなど、年に1度開催されるお笑いコンテストを生中継する番組が誕生した。 この時期になると吉本興業や太田プロといった老舗のみならず、数多くの芸能事務所からお笑いタレントが登場するようになった。その中にはサンミュージック企画やソニー・ミュージックアーティスツ、ホリプロコム等従来お笑いタレントを手がけていなかった事務所も多数参入している。 フジテレビでは、「お笑い8周期説」に則り『新しい波8』が放送された。その後2001年に、キングコングがメインキャストを務めた『はねるのトびら』がスタート。「若手芸人」がブームの中心であったが、「若手」と言ってもその多くが20代後半-30代であるのが特徴的で、(芸歴で考えて)第四世代にあたる中堅芸人と同い年・同期あるいは年上・先輩であるなどといった不思議な現象が起きている。これは、コンビ結成が遅かったり、先のボキャブラ世代の時代にブレイクを逃したり、未だ東京進出を果たしていなかった大阪吉本所属の芸人が多く流入してきたことや、これらの芸人の知名度が低いゆえに正規の第五世代と同じ扱いを受けたことが主な要因である。特に『ボキャブラ天国』に起用されていた芸人(いわゆる「キャブラー」)が東京芸人に偏重していたため、中川家、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則などボキャブラ芸人とほぼ同世代の関西芸人が第五世代のブームによって売れるケースが目立った。 2000年代後半からは、先述の3番組の他にも『ウンナン極限ネタバトル! ザ・イロモネア 笑わせたら100万円』や『お笑いメリーゴーランド』(ともにTBS)、『爆笑レッドカーペット』や『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ)における「博士と助手〜細かすぎて伝わらないモノマネ選手権〜」など、短尺のネタを1ネタだけ披露させる構成のネタ見せ番組がブームとなる。ネタの時間が短いため多くの出演者を確保でき、新人芸人の出演チャンスが増やされた事がこれらの番組の大きな特徴である。2007年に放送開始された『あらびき団』(TBS)などでも短いネタ見せを中心としており従来の番組とは趣を異にしている。 ネタ見せ番組が増えたメリットととして、ネタが正当に評価されブレイクできる芸人が増えた一方で、単に番組用にネタ時間を短く調整した漫才やコントだけでなく、もともと短く構成されたショートコントや一発芸、キャラネタ、リズムネタなどが数多く生み出され、そのようなネタに適応したピン芸人が台頭した他、ブリッジを多用した「一発屋」といわれる芸人が急増するきっかけにもなった。ピンネタでブレイクした芸人の中にはレイザーラモンHG、犬井ヒロシ、なだぎ武、世界のナベアツ、ムーディ勝山、天津木村などもともとコンビを組んでいるにもかかわらずピン芸人のような扱いを受けた若手・中堅芸人も多い。一発屋芸人はブレイクした年のあらゆる番組に出演し一世を風靡するものの、年明けには飽きられその後テレビから姿を消す、という新たなパターンが生まれた。また、こういった芸人はNHK紅白歌合戦にゲスト出演したり、流行語大賞を受賞するケースがほとんどである。 大ブームを起こした芸人が消費し尽くされてしまうと簡単に忘れられてしまう、という傾向は年を経るごとに激しくなっていった。このようなブームはそれまでお笑いに興味すら示さなかったような人々まで包括したため、その人気の基準は一種のトレンド的な性格を強めるようになり、芸人の在り方の変容ともされたが、一方でそれは笑いのレベルの低下と見る向きもあった。 また次長課長・井上聡、チュートリアル・徳井義実などに代表される“イケメン芸人”が急増したことや、お笑い情報のみを取り扱ったお笑い専門誌が次々に発行されるなど、芸人のアイドル化が一般的となった。 この時代は一時的にコント番組が復活傾向にあった時期で、特にお笑いブーム真っ只中の2005年には『ワンナイR&R』『リチャードホール』『10カラット』『落下女』『ミンナのテレビ』と各局で若手芸人のコントコーナーがある番組が放送されていた。
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