お笑い第六世代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 15:26 UTC 版)
2010年代に入ると、2000年代のお笑い人気を支えたバラエティ番組やネタ見せ番組が慢性的な人気低下を抱えるようになる。いわゆる「テレビ離れ」の影響が示唆される中、2010年の『M-1』の一時終了に始まり、やがてほとんどのお笑い番組が放送を終了した(もしくは定期の特番化)。また、BPOによる規制などテレビ局にコンプライアンスが求められるという時代の流れも相まり、ある意味でハラスメント的な性格を含むお笑いバラエティ番組への風当たりが強まったことで、『めちゃ2イケてるッ!』『とんねるずのみなさんのおかげでした』といったかつてお笑いブームを牽引し、長寿番組となっていた番組までもが相次いで放送を終了した。 また、コンプライアンス問題は芸能人側にも波及し、不祥事で活動を休止するお笑いタレントも現れ、暴力団関係者との交際が噂されていた島田紳助は多数のレギュラー番組を抱えたまま2011年に芸能界を引退した。2019年にはお笑い芸人による闇営業問題が発覚。この件は問題の背景に吉本興業のマネジメント体制の不備があり、問題発覚後の対応も含め吉本所属タレントからも批判が殺到することとなった。 しかしそんな中でも、『アメトーーク!』(テレビ朝日)や『人志松本のすべらない話』(フジテレビ)『しゃべくり007』(日本テレビ)といったトーク番組や、俳優やタレント、アイドル、知識人などを交えたVTR主体の情報番組などは変わらず安定した人気を獲得。それに伴い「雛壇芸人」というジャンルが大々的に紹介され、お笑いファンの間で新たなジャンルとして知られる様になった。また、加藤浩次・近藤春菜の『スッキリ』(日本テレビ)、南原清隆の『ヒルナンデス!』(日本テレビ)、設楽統の『ノンストップ!』(フジテレビ)など、午前-昼間に放送する情報番組で芸人がMCやコメンテーターを務めるというケースが増加した他、田村裕や又吉直樹、若林正恭の著書がベストセラーとなるなどお笑い芸人の活動に多様化が見受けられるようになる。ただ、このような展開によってお笑い界の第一線に定着したのは2010年以前にブレイクを果たした、既に「売れている」芸人たちであった。 フジテレビでは、次世代の若手を発掘すべく制作された『新しい波16』から発掘されたメンバーによる『ふくらむスクラム!!』→『1ばんスクラム!!』が放送され、新たなスター発掘が試みられたが不発に終わった。その後、『ピカルの定理』や『ミレニアムズ』、『爆笑レッドシアター』などが放送され、一定の人気を獲得したものの、かつての人気番組ほどの長期放送とはならなかった。 2011年には『THE MANZAI』が『M-1』に代わるお笑いコンテストとして復刻、そして2015年には『M-1』が復活を遂げ(『M-1』復活以降は年1回放送の大型ネタ番組『THE MANZAI プレミアマスターズ』として放送)、年3回放送の大型ネタ番組『ENGEIグランドスラム』(フジテレビ)が放送を開始。2013年には歌ネタのコンテスト『歌ネタ王決定戦』(毎日放送)、2017年には女芸人のコンテスト『女芸人No.1決定戦 THE W』(日本テレビ)がそれぞれ新設された。また、『水曜日のダウンタウン』(TBS = 2014年放送開始)、『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ = 2015年放送開始)といった比較的過激な内容のバラエティ番組も少なからず存在し、「お笑いとは何か」を新たに問い直す内容も含むことで人気低下への対抗策が講じられている。さらには、「テレビ離れ」を逆手にとる形でAmazonプライム・ビデオやAbemaTVなど、規制の少ないネット配信サービスを利用したバラエティ番組の放送も増加しており、お笑い番組やバラエティ番組の大きな変革期に突入した。 2018年頃まで減少傾向にあったお笑い・ネタ見せ番組が2019年頃から再び増加しており、コント番組もレギュラー・特番問わず復活するようになった。これはビデオリサーチの視聴率調査方式の大規模なリニューアルが行われ、各テレビ局は広告の取引指標を世帯視聴率から個人視聴率に変更し、「コアターゲット」とよばれる消費意欲の高い層(局によって異なるが概ね13~49歳まで)を設定し、それに合わせた改編を実施するようになったことや、2020年の新型コロナウイルス流行の影響で、それまでバラエティ番組の主流だった雛壇芸人を集めるタイプの番組制作が難しくなったという背景もある。
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