ASTRO-G
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計画の推移
2006年5月9日にJAXA理事会で正式に承認。競合案件は次期X線天文衛星とソーラー電力セイルミッションであったが、事前にVSOP-2を推薦する方向で調整を行った。VSOP-2が推薦された理由としては、工学試験衛星「はるか」の記録映像が、科学技術映画賞を受賞することになり、また、スペースVLBI計画を実施できているのが日本だけのため、各国からも注目を受けていたという経緯があった。同年7月11日に宇宙開発委員会で計画の事前評価が行われ、妥当であると判断された[1]。国会で2007年度(平成19年度)予算として承認され、開発が決定した。
2007年度から開発が開始。基本仕様による入札が終わり、衛星本体開発メーカとの間で仕様調整が行われ、国立天文台では運用関連のソフトウエア整備や衛星の心臓部ともいえる受信装置の開発を、宇宙科学研究本部では、本体搭載機器の開発を実施した。基本は、きく8号と同じ仕様であるが、目標周波数が高いため、メッシュ構造についても高い精度を目指した開発が行われる予定だった。
しかし2009年、アンテナ鏡面が要求精度に達しないという技術的課題が判明。同年に予算が停止、2010年度予算はゼロとなり[2]、プロジェクトは中断状態となった。この間に課題の検討が進められたところ、達成可能な鏡面精度では予定された成果は得られず、科学的目標を妥協してもなお開発資金と期間が予定を大幅に超えるとの結論に達した[3]。
2010年12月には計画を主導する宇宙科学研究所がASTRO-Gの中止を判断。その後プロジェクト中止へ向けて準備を進め、2011年8月24日の宇宙開発委員会において、JAXAからASTRO-G計画の中止が提案された[3]。そして2011年11月30日の宇宙開発委員会の結論を受け、正式にプロジェクトの中止が決定された[4]。
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- ^ ASTRO-G事前評価結果(文部科学省宇宙開発委員会)
- ^ “探査、JSPEC、宇宙理学委員会、日本惑星科学会、そして探査、探査、探査!:松浦晋也のL/D” (2010年6月18日). 2010年6月26日閲覧。
- ^ a b “電波天文衛星(ASTRO-G)の状況について”. JAXA (2011年8月24日). 2011年8月24日閲覧。
- ^ “vsop-2プロジェクトサイト”. JAXA (2011年12月19日). 2012年4月4日閲覧。
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