自衛隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/16 18:47 UTC 版)
駐留国
自衛隊はアフリカのジブチに自衛隊拠点(基地)を保有している。国際法では日本の軍事基地(在日米軍のようなもの)に相当しており、約400人ほどがいる。ソマリア沖・アデン湾において当時頻発していた海賊被害に対応するため、2011年7月に開所[118]された。
装備
自衛隊は専守防衛の観点から、大規模な戦力投射能力を有していない。過去には航空自衛隊がF-4を輸入、ライセンス生産する際に、同機の対地攻撃能力や空中給油装置を問題視した日本社会党からの指摘を受けて取り外す措置を行ったり、C-1を開発する際、周辺国の脅威になるという点からあえて航続距離を短くした例もある。
特徴
三菱重工業名古屋誘導推進システム製作所(愛知県小牧市)
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主力戦車など、兵器の能力は世界的にも一線級を維持しており、潜水艦技術では、通常動力型において世界最大級のたいげい型潜水艦を配備する。
装備は基本的に日本製であるが、特殊部隊向けの装備、戦闘機などは欧米の製品を輸入している。日本に製造技術がない物の場合、既製品を輸入するよりもノックダウン生産やライセンス生産を選択し、保守や改良、後継品の国産化に役立つ工業技術の獲得、維持に努めている。
以前は武器輸出三原則および政府統一見解による武器輸出規制のため、輸出や量産、他国との共同開発ができず、結果として単価が諸外国に比べて高額になった装備品もある。近年、防衛省や産業界、防衛政策に通じた政治家などは、米国との共同開発が必要なミサイル防衛等における当該原則緩和の必要性を踏まえ、武器輸出三原則の見直しを要望している。技術革新が進むにつれて、特に最新技術を盛り込んだ武器は高価になり[119]、たとえアメリカ合衆国のような超大国ですら、もはや1国単独で軍需産業を維持、発展させることは困難な状況となっている[120]。そのため、武器の開発や生産は国際共同が主流となりつつある[119]。
この流れに沿って、2014年(平成26年)4月1日、第2次安倍内閣は武器輸出三原則を改定して防衛装備移転三原則を新たに策定した。従来の武器の国産重視政策を転換し、武器の輸出制限を大幅に緩和するとともに、国際共同開発を積極的に推進することとなった[121]。
憲法解釈と専守防衛の理念、周辺情勢、金銭的負担などに関連して各種の弾道ミサイルや対地巡航ミサイル、航空母艦、戦略爆撃機などの開発や配備の是非については議論がある。核兵器に対しては“防御用の小型核兵器であれば憲法解釈上は装備可能であるが非核三原則にもとづき装備はしない”という政府見解が出されている。
かつては空中給油機の配備も困難とされてきたが、飛行訓練の効率化や海外派遣時の航続距離延長のため、KC-767空中給油機が配備されている。
従来は消極的であった自衛隊海外派遣も2009年(平成21年)現在では主要任務の一つになり、ソマリアやジブチなどアフリカ地域に部隊を展開するなど、自衛隊の活動の幅は広がっている。これに伴い、国内で開発する兵器も海外展開を視野に入れた性能が要求されるようになってきており、次世代輸送機C-2は、C-1やC-130を大きく超える巡航距離を目指して開発され、2016年(平成28年)6月に量産初号機が航空自衛隊に引き渡された。
航空母艦については、対潜能力や輸送能力の向上を目的として、諸外国ではヘリ空母に相当するひゅうが型護衛艦が導入された。ひゅうが型よりさらに大型となる基準排水量19500トンのいずも型護衛艦が、2010年度(平成22年度)予算で建造費1208億円により認められた。就役後は、陸上自衛隊のトラック約50台、人員約400人を輸送し、かつ他の艦艇への補給能力を持つことができる。2018年には、いずも型護衛艦を事実上の空母へ改修し、F-35B戦闘機を導入することが決定し、「いずも」では2020年度(令和2年度)予算でF-35B戦闘機の発着艦を可能にするための改修が行われた。
主要な装備品
陸上自衛隊
海上自衛隊
航空自衛隊
音楽
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防衛省各自衛隊は、公式の行進曲、隊歌を制定している。またそれぞれの部隊が独自に部隊歌を作曲、制定(部隊制定)している場合もある。防衛大学校は、将来の陸海空幹部自衛官を養成する防衛省の機関の為、陸海空いずれもの行進曲を使用する場合もある。
主な行進曲
陸軍分列行進曲 大日本帝国陸軍の行進曲として作曲・制定され、陸上自衛隊、日本の警察の行進曲として使用されている日本の儀礼曲。
陸上自衛隊
- 「大空」:須摩洋朔
陸上自衛隊の前身に当たる、1951年(昭和26年)8月10日に行われた警察予備隊発足1周年記念観閲式の為に、中央音楽隊初代隊長・須摩洋朔が作曲。2010年度(平成22年度)の中央観閲式では、中央病院高等看護学院学生隊(男性隊員を含む)並びに陸海空女性自衛官部隊の観閲行進時に奏楽された。
1886年(明治19年)作曲の観兵式分列行進曲(陸軍省制定)を再制定したもの。観閲式において普通科(徒歩行進)部隊の観閲行進時に奏楽されるのが普通である。2010年度(平成22年度)の自衛隊観閲式では、観閲部隊指揮官(並びに幕僚)、部隊用国旗(旗手、旗衛手)、防衛大学校学生隊、防衛医科大学校学生隊、高等工科学校生徒隊、普通科部隊、空挺部隊の観閲行進の時に奏楽された。曲名「扶桑歌」の扶桑とは日本の異称で、陸軍の観兵式(中分列式)のために作曲・制定された曲であることから「陸軍分列行進曲(分列行進曲)」や「分列式行進曲」などとも呼ばれる、(平成19年度自衛隊観閲式からは同曲を「陸軍…」の名称で紹介しているが、音楽隊では"行進曲「扶桑歌」"の譜が使われている。また、陸軍省とほぼ同時に同曲を制定した警察庁も「扶桑歌」の名称で現在まで使用している。「陸軍…」の名称は戦前には見られない。戦後いつ「陸軍…」の名称が使われ始めたか、経緯も含めて不明)。
海上自衛隊
1897年(明治30年)作曲の海軍省制定行進曲を再制定したもの。観閲式において海上自衛隊部隊の行進時に奏楽される他、進水式などの儀式で奏楽される。課業行進曲や会報などに録音した物(主にCD収録音源)が使われることもある。
航空自衛隊
- 「空の精鋭」:矢部政男
航空自衛隊は発足より長らく米国の行進曲「ブラビューラ」を行進曲として使用してきたが、1992年(平成4年)、航空自衛隊創設40周年の折に「空の精鋭」を作曲、公式行進曲として制定した。観閲式において航空自衛隊部隊の行進時に奏楽される。
防衛大学校
- 「飛翔」:神明
2002年(平成14年)に防衛大学校創立50周年記念行事の一環として防衛大学校同窓会より寄贈された。「防衛大学校への入校とともに、今まで生活とはおよそかけ離れた厳しい規律や訓練の中に身を置き、卒業時には帽章の鳩のごとくたくましく、力強く羽ばたいていく防大生の姿をイメージ」して作曲された。作曲者の神明は陸上自衛隊中央音楽隊勤務。課業行進曲としても使用されている。
- 「英華壮観」
防衛大学校同窓会から防衛大学校に寄贈された新行進曲。
その他
- 「祝典ギャロップ」:須摩洋朔
- 中央音楽隊初代隊長・須摩洋朔が、昭和28年度自衛隊観閲式の車両行進曲として作曲。観閲式に於ける、車両部隊の行進時に奏楽される。
- 「陽光を背に」
- 平成30年度自衛隊観閲式で初演奏された「祝典ギャロップ」に代わる新車両行進曲。
- 「凱旋」:堀滝比呂[122]
- 2004年(平成16年)の陸上自衛隊創設50周年記念行進曲として中央音楽隊ファゴット奏者・堀滝比呂が作曲。中央観閲式における、音楽隊(陸海空合同)の観閲行進(入場)時に奏楽される。
- 海軍軍楽生・吉本光藏作曲の行進曲で作曲年は不明。トリオ部に使われている軍歌「皇国の守り」は、文学博士・外山正一の詩に伊沢修二が作曲。
注釈
- ^ 航空自衛隊は、2027年までに"「航空宇宙自衛隊」に改称される。
- ^ 栗栖弘臣は、2000年に上梓した『日本国防軍を創設せよ』中でこう述べた――「国民の生命、身体、財産を守るのは警察の使命(警察法)であって、武装集団たる自衛隊の任務ではない。自衛隊は『国の独立と平和を守る』(自衛隊法)のである。『国』とは、わが国の歴史、伝統に基づく固有の文化、長い年月の間に醸成された国柄、天皇制を中心とする一体感を享受する民族、家族意識である。決して個々の国民を意味しない」。
- ^ 防衛省職員は自衛官のほか事務官等(防衛書記官、防衛部員など)から構成されているが、そのほとんどは同時に自衛隊員でもある。
- ^ 「自衛隊」の定義について規定する自衛隊法第2条第1項には「政令で定める合議制の機関並びに防衛省設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第四条第二十四号又は第二十五号に掲げる事務をつかさどる部局及び職で政令で定めるものを除く」との除外規定が含まれており、防衛省に属する機関のうち独立行政法人評価委員会、防衛人事審議会、自衛隊員倫理審査会、防衛調達審議会、防衛施設中央審議会、防衛施設地方審議会、捕虜資格認定等審査会、防衛省地方協力局労務管理課については「自衛隊」の範囲から除外されている(自衛隊法施行令第1条第1項・第2項)。従って、「自衛隊」と「防衛省」とでは組織の範囲が完全に一致するわけではない。
- ^ ごく稀に、自衛隊そのものも自らを「軍」と呼称することがある。例: modchannel - 昭和36年防衛庁記録(1分17秒からの統幕会議に関する説明において)
- ^ 方面総監旗、師団長旗、旅団長旗、団長旗、海将旗、海将補旗、代将旗、隊司令旗(甲)、隊司令旗(乙)、長旗、先任旗、航空総隊司令官旗、航空方面隊司令官旗、航空混成団司令旗、航空支援集団司令官旗、航空教育集団司令官旗、航空開発実験集団司令官旗、航空団司令旗、第83航空隊司令旗、航空警戒管制団司令旗、航空救難団司令旗、飛行開発実験団司令旗、航空医学実験隊司令旗及び航空安全管理隊司令旗。
- ^ 1999年の第13旅団が編成されるまでは、桜星は階級では無く部隊規模を示していた。例としては、桜星3個が方面総監・2個が師団・1個が団及び将補が指定階級の部隊長等となっていた
- ^ 統合幕僚長・陸上幕僚長・海上幕僚長・航空幕僚長。
- ^ 但し、かつては桜星1個の団旗も存在していた。北恵庭駐屯地資料館に帽章に桜星1個の戦車団旗として現存、詳細は東長崎機関を参照
- ^ 学説については野中俊彦・高橋和之・中村睦男・高見勝利『憲法(1)第4版』(2006年)有斐閣、164-166頁も参照のこと。
- ^ 違憲判決として、2009年現在、1973年の長沼ナイキ事件の札幌地方裁判所判決、2008年4月17日のイラク派遣事件の名古屋高等裁判所判決、の2例があるが、いずれも下級審の判決である。
- ^ 1999年(平成11年)9月13日、参議院予算委員会における大森内閣法制局長官の答弁を参照
- ^ 1967年(昭和42年)3月31日参議院予算委員会における増田甲子七国務大臣の答弁。これは、1954年(昭和29年)4月1日衆議院内閣委員会における木村篤太郎国務大臣の発言等を前提としたもの。
- ^ 佐々淳行の次男が通っていた小学校の日教組組合員の女教師が、父親が警察官・自衛官である生徒を立たせて「この子達の親は悪人です!」と吊し上げた。佐々は激怒し、教師は家庭訪問を行ったが、その席で反省の弁は無く、自民党や自衛隊、警察を口汚く罵るばかりであったが、教育委員会に訴え出て免職させると佐々が言うと、教師は一転して土下座して謝罪しはじめた。この際、この教師は「日教組の組織をあげて戦う」と発言したという[171]。
- ^ 産経新聞社会部次長大野敏明は、1996年2月2日付産経新聞東京夕刊において、「自衛隊員の息子として教師から虐めを受け、登校拒否になった」「同じく自衛官の息子だった友人は内申書の評価を下げられた、親の職業を言いたがらない者もいた」と述べている。
- ^ 最も被害の大きかった広島県では、土砂崩れや土石流が多発して死者・行方不明者が31人に上った。6月29日の夕方から被害が拡大しはじめ、死者・行方不明者が続々と確認される中、20時の時点で自衛隊から広島県に対して災害派遣要請の必要性の確認が行われた。これを受け広島県は広島市の意向を確認したが、広島市は自衛隊の派遣は必要ないとして断っている。一夜明けた30日、被害はさらに拡大。結果、6月30日午前4時の時点で広島市は県へ災害派遣要請を行った。産経新聞は1999年7月1日の記事で『秋葉忠利・広島市長は「何かできなかったかという思いはある。教訓として生かしたい」と述べたそうだが、冗談ではない。その能力を十分に持っている自衛隊を活用する気がなかったとしか思えない。自分のイデオロギーのために広島市民の生命をないがしろにした、重大なる「人災」と言っても過言ではないだろう』と批判した。この件では、広島市が対策に忙殺されており、広島県も災害対策本部の設置が遅れ、情報を消防庁に送ることが遅滞していたため、国土庁や総理大臣官邸に連絡することが出来ないまま時間が経過していた。災害派遣要請の決め手となる被害地域の航空写真が広島市消防局長の手元に届いたのは30日午前零時であり、その4時間後には広島県知事に対して自衛隊派遣要請が行われている[174][175][176]。
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