科学者 科学者と行為責任

科学者

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/06 14:24 UTC 版)

科学者と行為責任

現代では科学と技術が軍事外交政治経済社会、個人生活にまで及ぼす影響が大きく、そして深刻になっている。例えば核兵器の開発により、第二次世界大戦中に数十万人が命を落としただけでなく(原爆の項参照)、その後の冷戦時代に一歩誤れば人類が滅亡しかねない状況も起きた。そのため、科学者の個人としての活動であれ、集団としての活動であれ、その活動の行為責任・社会的責任を問う声が、科学者自身からも科学者以外の人々からも発せられ、広く議論となった。このような議論を踏まえ、1980年に日本の科学者達は「科学者憲章」を発表した。

この憲章の後も、科学者の社会的責任・行為責任への人々の関心は高く、科学者の活動のあり方は今後も問われ続けることであろう。

科学者とエンジニア

科学者が基礎的な研究を行う傾向があるのに対して、エンジニアのほうが概して時間的に限定された中で具体的な成果を出す活動を行っている傾向があると、大まかに区別することは可能だが、科学者とされる人が極めてエンジニア的な活動を行っていることもあるし、逆にエンジニアとされる人が高度に科学的な発見を学会等で公表することもあり、常に境界がはっきりとあるわけではない。

現代において、科学が人々から賞賛されているのは、必ずしも科学者と呼ばれる人々の活動が評価されているからではなく、エンジニア達が行っている活動、すなわち人々の具体的な要望や組織の要求事項を理解しようとする努力を惜しまず、その要望に応えて成果を制限時間内に着実に出す活動が、個人生活や企業活動の中で大いに評価・賞賛されていて、その波及効果で科学者全体の評価も高められているという側面があることも見逃してはならないだろう。 「エンジニア」の項も参照のこと。

科学者と信仰

1914年に心理学者ジェームズ・リューバ英語版が、米国のおよそ1000人の科学者に対して信仰についてのアンケート調査を行ったところ、42%の科学者が神を信じていると回答し、42%の科学者が信じていないと回答した、との結果が出た[7]

リューバの調査からおよそ80年後の1996年に、科学史研究者のEdward Larsonが、同調査と同数の科学者に対して、まったく同じ質問内容で調査をおこなったところ、40%の科学者が神を信じていると回答し、45%の科学者が信じていないと回答した[7]

2009年にピュー・リサーチセンター英語版が、全米科学振興協会(AAAS)のメンバーの科学者に対して(今度は上記とは少し異なった 次のような質問文を用いて)調査を行ったところ、「(I) believe in God 神を信じる」とした人が33%、「(I)don't believe in God, but do believe in a universal spirit or higher power 神は信じないが、ユニバーサルなスピリットあるいは超越的な力を信じている」とした人が18%、「(I)don't believe in either どちらも信じない」とした人が41%、「(I)don't know / Refused “私には分からない”もしくは回答せず」が7%であった[7]。この調査結果からすると、調査対象になった科学者のちょうど半数ほど(51%)が、神あるいは何らかの超越的な力を信じている、と回答したことになる[7]。(参考までに比較対象として、2006年に同リサーチセンターがアメリカ合衆国人全般を対象として調査を行った結果は、95%が何らかの神や超越的な力を信じている、と回答したのであった。また、41%の科学者が「神を信じない」と回答したわけだが、それと比較するとアメリカ人全般ではわずか4%がそう回答しただけであった[7]。)


注釈

  1. ^ 逸話:理論物理学者のリチャード・ファインマンは相手が大家や権威であろうとも意見が変だと思えば『いや、違う、違う。あんたは間違っているぞ』とか『気でもふれたか(You must be crazy.)』などと、つっけんどんな反論を行った。ロス・アラモス研究所に在籍中、ハンス・ベーテや、当時物理界の大物として知られたニールス・ボーアは、彼らの名声におののいて本音を言おうとしない周囲の科学者たちに比べて、率直な本音しか言わない若手のファインマンを気に入り、個人的な相談相手として起用していた。

出典

  1. ^ 広辞苑
  2. ^ 大辞泉
  3. ^ 大辞泉
  4. ^ 広辞苑
  5. ^ 井山弘幸・金森修 『現代科学論』(第1版) 新曜社、2000年、17頁。ISBN 4-7885-0740-4 
  6. ^ 井山弘幸・金森修 『現代科学論』(第1版) 新曜社、2000年、17~18頁。ISBN 4-7885-0740-4 
  7. ^ a b c d e PewResearchCenter "Scientists and Belief"”. 2012年11月16日閲覧。
  8. ^ 青木薫 訳『人はなぜエセ科学に騙されるのか』(新潮社、2000年)


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