気象衛星 気象衛星の概要

気象衛星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/14 01:13 UTC 版)

アメリカ合衆国の気象衛星GOES-8
GOES-9の衛星画像。ハリケーン・フェリックス(1995年)

概要

観測機材として、雲を観測する可視光線および夜間観測用の赤外線カメラ、赤外線吸収により水蒸気を観測するカメラ、海上風や降雨量を測定するためのマイクロ波散乱計などを備える。衛星軌道の分類により、静止衛星太陽同期軌道衛星、その他の衛星に大別される。

広域観測が可能で洋上監視も比較的容易であることから、通常の気象や台風の観測に有力な手段である。

歴史

TIROS衛星(1961年

戦後にドイツのロケット技術が導入されたアメリカで、1946年10月にカメラを装備したロケットを用いて上空から雲の様子が撮影された。1954年10月に打ち上げられたロケットは約160キロメートル (km) の高度に達し、搭載された映写カメラは巨大な雲の渦巻をなす熱帯低気圧の全貌を初めて捉えた。1957年10月にソビエト連邦が人工衛星スプートニクの打ち上げに成功し、アメリカも1958年1月に人工衛星エクスプローラ1号を打ち上げた。

1959年に打ち上げられたアメリカ合衆国のヴァンガード2号は、搭載カメラで地球上のの様子を映して気象衛星の実現性を示すも、姿勢制御に問題があり観測・予報に有益なデータは得られなかった。同年10月に打ち上げられたエクスプローラ7号放射計を搭載し、初めて地球の熱収支測定に成功した[1]

初の気象衛星は1960年4月1日に打ち上げられたタイロス1号 (Television and Infra-Rred Observation Satellite I) である。可視光カメラを搭載し、観測は日中のみで78日間と短い寿命だったが、撮影写真は地上へ電送された。姿勢制御に問題があり、夜間撮影はできなかったが、各種の有益な観測データをもたらした。

タイロス3号は初めてハリケーンを撮影することに成功し、タイロス5号からはおおむねハリケーンシーズンに運用された。1964年8月にニンバス1号 (Nimbus I) が極軌道に打ち上げられ、両極地方も撮影可能となり、赤外放射計により夜間の雲の分布も撮影可能となった。1966年2月にそれまでの人工衛星の経験を活かし、最初の現業用気象衛星エッサ1号 (Environmental Survey Satellite I) が打ち上げられて、毎日の全球の雲解析が開始された[2]

初めての静止気象衛星SMS 1号 (Synchronous Meteorological Satellite-1) は1974年に初めて打ち上げられ、雲画像から連続して風を追跡可能となった。静止気象衛星は1975年からGOES (Geostationary Operational Environmental Satellite) シリーズとして定期的に打ち上げられて継続的な運用が行われている。日本も1977年に静止気象衛星「ひまわり」、ヨーロッパなども静止気象衛星をそれぞれが自国上空に打ち上げ、主要各国が分担してほぼ全球の気象を随時宇宙から監視可能となった[1]

気象衛星による宇宙からの気象監視は、地上の気象観測とともに全球規模の気象把握を可能とし、数値予報とあわせて人間の主観に依らない気象予報の道を開いたが、有効に機能させるため各国で観測結果を共有する仕組みを要し、1961年国連総会のケネディ大統領の演説を契機に世界気象機関 (WMO) で世界気象監視 (World Weather Watch) プログラムが策定された[3]

観測方法および搭載機器

気象衛星に搭載される観測機器は各運用国で異なるが、主に次の種類に分けられる。

イメージャー観測
光学系を主とした観測機器で、地球の画像を観測する。天気予報などで目にする衛星からの気象衛星画像は、この光学系観測による。可視光線及び赤外線を用いる。赤外線は夜間観測のほか、雲の温度を示すため、雲高測定にも用いる。
サウンダー観測
ある一定の波長帯の電磁波を捉えて、鉛直構造、あるいは精度の高いオゾンなどのガスを観測する。静止気象衛星の系統では、アメリカのGOESに搭載されている。極軌道衛星の多くは、特定の波長帯の電波を発射し、反射される電磁波を分析して水蒸気や風、オゾンなどの分布を観測する。
宇宙環境監視システム
GOESはSEM、SXIイメージャーが搭載されている。静止軌道上で、太陽から到来するX線や、高/低エネルギー荷電粒子磁力陽子、太陽を直接撮影して、地球上の電離層擾乱や衛星の運用警報、宇宙船外活動などに役立てることを目的としている。かつてGMS-4までは宇宙環境モニターを観測していたが、現在のGMS-5、MTSATは装備していない。

観測スケジュールは、日本米国欧州気象衛星開発機構などで公開されている。主だった観測スケジュールは、特に断りがない限りは次の通り(全球観測)。

  • 毎時:日本 (MTSAT)、中華人民共和国 (FY-2)、ヨーロッパ (METEOSAT-8/9)、インド (kalpana)
  • 3時間毎:アメリカ (GOES)、大韓民国 (COMS)
  • 6時間毎:ヨーロッパ(METEOSAT-5/7 インド洋上空)

  1. ^ a b 気象学と気象予報の発達史 気象衛星の発達. 堤 之智. 丸善出版. (2018.10). ISBN 978-4-621-30335-1. OCLC 1076897828. https://www.maruzen-publishing.co.jp/item/?book_no=302957 
  2. ^ 小倉義光 (1971). 大気の科学. 日本放送出版協会 
  3. ^ 気象学と気象予報の発達史 世界気象監視プログラム. 堤 之智. 丸善出版. (2018.10). ISBN 978-4-621-30335-1. OCLC 1076897828. https://www.maruzen-publishing.co.jp/item/?book_no=302957 
  4. ^ GOES 12 Spacecraft Status Summary”. NOAA Satellite and Information Service. 2010年12月13日閲覧。
  5. ^ GOES 13 Spacecraft Status Summary”. NOAA Satellite and Information Service. 2012年2月15日閲覧。
  6. ^ 気象衛星センター | 運用計画”. www.data.jma.go.jp. 2021年7月20日閲覧。






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