地球大気開発計画とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 地球大気開発計画の意味・解説 

地球大気開発計画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/29 09:02 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

地球大気開発計画(ちきゅうたいきかいはつけいかく、: Global Atmospheric Research Program、略称: GARP(ガープ))は、地球大気大循環の仕組みを科学的に解明することにより、長期予報の可能性を探る目的で、WMO世界気象機関)と ICSU国際学術連合会議)の共同で、1970年代を中心に実施された、大規模な国際的研究・開発プログラムである[1]

1967年に始動した当計画では、1974年のGARP大西洋熱帯実験(: GARP Atlantic Tropical Experiment; GATE)から1982年ALPEX(アルプス実験)に至るまで、あらゆる重要な分野における実験が実施された。これらの一連のフィールド実験により、気象学は目覚ましい発展を遂げ、特に数値予報の精度が大幅に向上した。

1980年代に入ると、GARP の主旨は WCP世界気候計画)へと引き継がれ、GARP は発展的に解消した。

経緯

1961年12月に開かれた国連総会は、宇宙開発の一環として衛星などを用いた全球大気に関する科学と技術を促進することをWMOに対して勧告した。これを受けて、世界気象機関(WMO) は国連に対して、WWW世界気象監視計画)プログラムを策定した。また、国連総会は1962年12月14日にWMOとICSU(国際学術連合会議)に、このWWWプログラムを補うための大気科学の研究を要請した[2]。その後、ICSU 傘下の IUGG国際測地学・地球物理学連合)がこの研究計画に協力することを表明した。こうして出来たのが地球大気開発計画(Global Atmospheric Research Programme: GARP)であり、1967年にGARPはWMOと国際科学会議(ICSU)の下で正式な国際協力として発足した。WMOは、その下に大気科学委員会 (CAS; Comimittee on Atmospheric Sciences) を設置して、各国の研究機関・団体によって実行力を持ってGARP を実施していくことが決定した[1]

GARPはオペレーショナルなWWWプログラムを研究分野から支えるものであり、その下で第1回全球実験(FGGE)、極域実験 (Polar Experiment: POLEX)、モンスーン実験 (Monsoon Experiment: MONEX)、大西洋熱帯実験 (GARP Atlantic Tropical Experiment: GATE)、など極域、モンスーン、熱帯などに関するさまざまな研究プロジェクトが行われた。また、GARPは気候の解明にも取り組み、それは、現在はWMOと国際学術会議(ISC)、国連環境計画(UNEP)が主導する世界気候研研究計画(World Climate Research Programme: WCRP)に引き継がれている。

WWWプログラムは、定常的に気象データを取得して、例えば数値モデルをテストするための観測データなど研究プログラムの基礎となる不可欠なデータをGARPに提供した。一方でGARPによる予報用の数値モデルのテスト結果などの研究成果は、現業観測であるWWWプログラムをさらに効果的な観測システムにするための資料となった。このようにWWWプログラムとGARPは、現業観測と研究がともに役割分担して相補的な役割を果たすことによって、数値予報などの気象学や大気科学の発展に大きく貢献した[2]

GATE年表

  • 1972年 : Kuetner、Rider、Sitnikovらによる「実験設計提案」が WMOICSU から成る合同組織委員会 (Joint Organizing Committee; JOC) と熱帯実験委員会 (Tropical Experiment Board; TEB) に承認される。
  • 1974年6月15日 : 実験開始
  • 6月17日 - 25日 : 第一次中間報告
  • 6月26日 - 7月16日 : 観測フェーズI
  • 7月17日 - 7月27日 : 第二次中間報告
  • 7月28日 - 8月17日 : 観測フェーズII
  • 8月18日 - 8月29日 : 第三次中間報告
  • 8月30日 - 9月19日 : 観測フェーズIII
  • 9月20日 - 9月23日 : 最終報告[3]

脚注

[脚注の使い方]

関連項目

外部リンク


地球大気開発計画 (GARP)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 03:18 UTC 版)

気象衛星」の記事における「地球大気開発計画 (GARP)」の解説

日本の気象衛星シリーズひまわり」は、世界気象機関WMO)と国際学術連合会議 (ICSU) が共同行なった地球大気開発計画 (Global Atmospheric Research Program:GARP) の一環として計画されたもので、得られ気象情報日本国内だけでなく、東アジア太平洋地域多く国々提供している。このプログラム参加した衛星以下のとおりである。 衛星の名称運用国静止位置観測区域備考GOES-EAST アメリカ合衆国 西経75西大西洋南北アメリカ 2010年4月よりGOES-13運用中 GOES-WEST 西経135東太平洋北アメリカ西部 2011年12月よりGOES-15運用中 ひまわり 日本 東経140.7度 西太平洋東アジア 2015年7月よりひまわり8号(Himawari-8)で運用中ひまわり9号(Himawari-9)が2017年3月よりバックアップ運用中COMS千里眼韓国 東経128.2度 2011年4月より千里眼COMS-1)で運用中 FY-2(風雲2号中国 東経105西太平洋インド洋中東アジア 2009年12月より風雲2号(FY-2E/F/G/H)で運用中 FY-4(風雲4号中国 東経104.7度 西太平洋インド洋中東アジア 2017年9月より風雲4号(FY-4A)で運用中 INSAT インド 東経93.5度 インド洋中・東アジア 2003年4月打ち上げ以来、INSAT-3Aで運用中 Kalpana-1 東経74インド洋中近東中東アジア METSAT-1より改名2002年9月打ち上げ以来運用中 METEOSAT EUMETSAT 東経63インド洋中西部アジア 2007年4月よりMETEOSAT-7で運用中 GOMS ロシア 東経762011年1月よりGOMS 2号(Electro-L 1)で運用中 METEOSAT EUMETSAT 東経0度 東大西洋欧州アフリカ 2013年1月よりMETEOSAT-10で運用中(METEOSAT-9がバックアップ運用中

※この「地球大気開発計画 (GARP)」の解説は、「気象衛星」の解説の一部です。
「地球大気開発計画 (GARP)」を含む「気象衛星」の記事については、「気象衛星」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「地球大気開発計画」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「地球大気開発計画」の関連用語

地球大気開発計画のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



地球大気開発計画のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの地球大気開発計画 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの気象衛星 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS