アマランサス アマランサスの概要

アマランサス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/14 14:46 UTC 版)

ヒユ属
Amaranthus caudatus
(2006年10月22日)
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
: ナデシコ目 Caryophyllales
: ヒユ科 Amaranthaceae
亜科 : Amaranthoideae
: ヒユ属 Amaranthus
学名
Amaranthus
L.
和名
ヒユ (莧)
アワ (粟)
英名
Pigweed
Amaranth
亜属
  • Acnida
  • Albersia
  • Amaranthus

ギリシャ語Αμάρανθος(アマラントス、(花が)しおれることがない)が語源である。

名前

その学名(古代ギリシア語: ἀμαράντινος)は、古代ギリシャ語の ἀ-「無」、μαραίνω「萎れる」及び ἄνθος「花」から由来するもので、文字通り「萎れることのない花」を意味する。乾燥したアマランサスは3から4か月間そのままの形を保つので、冬の時に眺めるようにこの花を乾燥させることもよくある[2]。これを理由に、アマランサスを「人々の冬の友」と呼ぶことがある。

形態・生態

一年草。非耐寒性。互生し、晩夏から初秋にかけて色づく。

栽培

アマランサスは紀元前6世紀から栽培されている[3]アステカ人には「 huauhtli 」と呼ばれ、彼らの主食であり、儀式の食事と飲み物にも加工されるためアステカ宗教英語版に欠かせない穀物であった。スペイン人に侵略されて栽培が禁止される以前では、エネルギー消費量の80%を占めていたと考えられている。

アマランサスは、pH塩分環境温度の変化、干ばつに強い丈夫な植物である[4]。遺伝的多様性と環境適応能力に優れている[5]

人間との関わり

南米の祝祭「死者の日」には、ドクロの形をした菓子のアレグリアが作られる。
アマランサス種子, 未調理
100 gあたりの栄養価
エネルギー 1,554 kJ (371 kcal)
65 g
糖類 1.7 g
食物繊維 7 g
7 g
14 g
ビタミン
チアミン (B1)
(9%)
0.1 mg
リボフラビン (B2)
(17%)
0.2 mg
ナイアシン (B3)
(6%)
0.9 mg
パントテン酸 (B5)
(30%)
1.5 mg
ビタミンB6
(46%)
0.6 mg
葉酸 (B9)
(21%)
82 µg
ミネラル
カリウム
(11%)
508 mg
カルシウム
(16%)
159 mg
マグネシウム
(70%)
248 mg
リン
(80%)
557 mg
鉄分
(58%)
7.6 mg
亜鉛
(31%)
2.9 mg
マンガン
(162%)
3.4 mg
他の成分
水分 11 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
アマランサス種子, 調理後
100 gあたりの栄養価
エネルギー 429 kJ (103 kcal)
19 g
食物繊維 2 g
2 g
4 g
ビタミン
チアミン (B1)
(2%)
0.02 mg
リボフラビン (B2)
(2%)
0.02 mg
ナイアシン (B3)
(2%)
0.24 mg
ビタミンB6
(8%)
0.1 mg
葉酸 (B9)
(6%)
22 µg
ミネラル
カリウム
(3%)
135 mg
カルシウム
(5%)
47 mg
マグネシウム
(18%)
65 mg
リン
(21%)
148 mg
鉄分
(16%)
2.1 mg
亜鉛
(9%)
0.9 mg
マンガン
(43%)
0.9 mg
他の成分
水分 75 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。

アマランサスの中でも、ヒモゲイトウ (Amaranthus caudatus) が最も大規模に栽培されている。

食用

成形図説』より(左)

古代南米インカ文明などでは、種子を穀物として食用にしてきた。これはトウモロコシ豆類に匹敵する重要作物であった。19世紀に入るとインドなどでも大規模に栽培されるようになった。日本へは江戸時代に、主に観賞用として伝来した。東北地方では小規模ながら、アカアワなどの名前で食用にも栽培されていた。

中国では、中国語北京語)で 莧菜xiàncài、シエンツァイ)、広東語莧菜yin6choi3、インチョイ)、上海語米莧 (ミーシ)と呼び、緑色の葉とを食用にしている。英語では、一般に chinese spinach(中国のホウレンソウ)などと呼ぶが、オーストラリアでは、広東語を英語風に書いた een choy(イーンチョイ)を野菜としての標準名としている。独特のえぐ味と濃い風味がある。炒めると葉に含まれる色素に溶出して、紅色に染まる品種ハゲイトウ)が多いが、赤くならない品種もある。

アフリカの一部では、ホナガイヌビユの葉が食用とされている[6][7]。ジャマイカでは、カラルー英語版と呼ばれ、モルディブでもディベヒ語で massaagu と呼ばれ料理に使われる[8]。ほか、インドでも野菜として食され、サンスクリット語で Tanduliya と呼ばれる伝統的なアーユルヴェーダ医学のハーブとして利用されている[9]。葉以外の種子も水で茹でたり、ビスケットにしたり、スナックとしても食用可能である[10]

栄養

種子
種子は生の状態では、栄養の吸収が阻害されるため消化できない[11]。したがって、ほかの穀物のように調理しなければならない。
リンマンガンなどのミネラルを豊富に含む。アミノ酸リシンタンパク質にも優れる[12]。しかし、必須アミノ酸ロイシントレオニンは不足している[13][14]
Educational Concerns For Hunger Organization (ECHO)によれば、シュウ酸塩硝酸塩サポニンポリフェノール化合物などの反栄養素英語版を含む[3]。これらは水で茹でた後、水を捨てる等の調理法で毒性を減らせる。
グルテンを含まないため、グルテン関連障害の人々、グルテンフリー・ダイエットに最適である[15][16][17]
調理した葉には、ビタミンAビタミンCカルシウム、マンガン、葉酸が豊富である[18]

観賞用・工業用

観葉植物としても栽培される。花からは系の染料ベタレイン)が採れ、その色はアマランス色英語版)と呼ばれる。ただし、合成着色料赤色2号もアマランスと名づけられているが、色が似ているだけで無関係な物質である。




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