球面とは? わかりやすく解説

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きゅう‐めん〔キウ‐〕【球面】

読み方:きゅうめん

球の表面

一定点から等距離空間にある点の集合


球面

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/15 02:26 UTC 版)

球面の二次元投影図

初等幾何学ユークリッド幾何学において、球面(きゅうめん、: sphere[注釈 1])とは、三次元空間において、与えられた定点からの距離が一定値 r をもつような点全体の成す集合である[1]。このとき、与えられた定点をこの球面の中心といい、距離 r をこの球面の半径という。また、球面の中心を通る直線が、球面から切り取られる線分長さは常に一定であり、半径の二倍に等しい。これを球面の直径と呼ぶ。

「どの方向から観察しても、半径 rに見える立体図形」と定義することもできる。

緩い言い方や数学以外の文脈では、「」「球面」「球体」の3つが同義語として用いられたり、"sphere" と "ball" の意味が入れ違っていたりすることもあるが、数学的には球面 (sphere) は三次元ユークリッド空間埋め込まれた二次元閉曲面であり、球体 (ball) は三次元空間内の球面および球面の囲む「内側」である(いまのように球面を含める場合を特に「閉球体」と呼び、囲む領域に球面をまったく含めない場合には「開球体」と呼ぶ。)。

この区別は必ず守られるというようなものではないし、特に古い文献では中身の詰まった図形を「球」(sphere) としている。これは二次元の場合に、「円」が(中身の詰まった)「円板」の意味だったり(境界である)「円周」の意味だったりするのとちょうど同じである。

球面の方程式

two orthogonal radii of a sphere

解析幾何学において、(x0, y0, z0) を中心とする半径 r の球面(ユークリッド球面)は

球面とその外接円筒

三次元空間において、球面の囲む体積(厳密に言えばこれは「球体」の体積だが、古典的にはこれを「球」の体積と呼ぶ)は、半径を r として

球面上の大円

ユークリッドの平面幾何学の基本要素は直線である。球面上でも、点は通常の意味で定義できる。「直線」に相当するものは測地線で、いまの場合具体的には大円である。大円を定義づける特徴は、その上にある点すべてを含む平面が球の中心を通ることである。弧長によって距離を測ることにすれば、球面上の任意の二点を結ぶ最短経路が、それらの点を含む大円がそれら点で切り取られる円弧のうちの短いほうによって与えられることが証明できる。

古典幾何学における多くの定理が球面幾何学においても真となるが、球面上では古典幾何の公準がすべて満足されるわけではない(平行線公準などは成立しない)から、真とはならない定理も存在する。球面三角法において、は大円の間で定義される。球面三角法は通常の三角法とは様々な点で異なる。例えば、球面三角形の内角の和は常に 180° より大きい。あるいはまた、任意の互いに相似英語版なふたつの球面三角形は合同である。

球面に関する11の性質

球面の法ベクトル、法平面およびその法断面。交線の曲率は断面曲率である。球面に対して与えられた点を通る各法断面は同じ半径(それは球の半径に等しい)を持つ円になる。これは球面上の任意の点が臍点であることを意味する。

ダフィット・ヒルベルトシュテファン・コーン゠フォッセン英語版の著書 Geometry and the Imagination[13]で彼らは、球面の11の性質を記述し、それらの性質が球面を一意に決定するかどうかについて論じた。それらのうちのいくつかは(半径無限大の球面と看做せる)平面も満足する。それら11性質とは:

  1. 「球面上のすべての点は一つの定点から同一の距離にある。また、ふたつの定点からそれら点への距離の比は一定である」
    [注釈] 前半は球面の通常の定義で、球面を一意に決定する。後半は容易に導かれ、円周に対するペルガのアポロニウス結果と同様のことが従う。後半の内容は平面も満たす。
  2. 「球面の等高線および平面切断はすべて円である」
    [注釈] この性質は球面を一意に定義する。
  3. 「球面は幅が一定かつ周長が一定である」
    [注釈] 曲面の幅は平行な接平面の対の間の距離として測る。他にもいくつか定幅の凸閉曲面はあり、たとえばマイスナーの立体英語版はそうである。曲面の周長 (girth) は、曲面を平面上に直交射影した像の境界の外周の長さである。これらの性質の各々は他の性質を導く。
  4. 「球面上のすべてのてんは臍点英語版である」
    [注釈] 球面の法線は球の中心から放射状に延びる直線であるから、曲面上の任意の点において法方向は曲面に直角である。法線を含む平面との交線は「法断面」と呼ばれる曲線をなし、その曲線の曲率を「法曲率」と呼ぶ。多くの曲面に対してその上の点の多くは異なる切断に対して異なる曲率を持つ。それら曲率の中で最大および最小の値を持つものを主曲率と言う。任意の閉曲面は少なくとも四つの「臍点」と呼ばれる点を持つ。臍点にいてすべての断面曲率(特にふたつの主曲率)は等しい。臍点は曲面を球面で極めて近似できる点と見なすことができる。
    球面に対しては全ての法断面の曲率が等しいから、任意の点が臍点である。この性質を満たす曲面は、球面と平面に限る。
  5. 「球面は中心曲面を持たない」
    [注釈] 与えられた法断面に対して、断面曲率に等しい曲率を持ち曲面に接する円が存在して、その中心線は法線上に載る。例えば、最大および最小断面曲率に対応する中心点は「焦点」と呼ばれ、そのような中心点全体の成す集合は焦面英語版を成す。
    大半の曲面では焦面は二葉曲面(それぞれが曲面となるような二つの集合)を成し、ふたつの葉は臍点で交わる。いくつかの場合は特別である:
    • 管状曲面英語版の場合、一葉は曲線でありもう一葉は曲面となる。
    • 円錐、円筒、トーラスサイクライド英語版の場合は、二葉とも曲線を成す。
    • 球面の場合、任意の接触円の中心は球の中心であり、焦面は一点となる。この性質は球面に対して一意である。
  6. 「球面の任意の測地線は閉曲線である」
    [注釈] 測地線は曲面上の曲線で、二点間の最短距離を与えるものである。これは平面上の直線の概念を一般化するものである。球面上の測地線は大円。この性質を満足する曲面は他にもたくさんある。
  7. 「与えられた体積を持つすべての立体の中で、球は表面積が最も小さくなるもののひとつである。与えられた表面積を持つすべての立体の中で、球は最も大きい体積を持つものの一つである」
    [注釈] これは等周不等式から従う。これらの性質は球面を一意に定義し、その定義の仕方はシャボン玉のようなものと思える—シャボン玉は決まった体積を囲んで、その体積に対して表面積は表面張力が極小(最小)化されるように決まる。だから自由に浮かぶシャボン玉は球面を近似する(重力のような外力がシャボン玉の形状をやや歪ませる)。
  8. 「与えられた表面積を持つすべての凸立体のなかで、球面は最も小さい全平均曲率を持つ」
    [注釈] 平均曲率英語版は二つの主曲率の平均で、球面は全ての点で二つの主曲率が一定であるから、平均曲率も一定。
  9. 「球面は一定の平均曲率を持つ」
    [注釈] 球面は境界も特異点もなく正の一定平均曲率を持つ唯一の埋め込まれた曲面である。他に一定の平均曲率を持つ埋め込まれた曲面に極小曲面がある。
  10. 「球面は正の一定ガウス曲率を持つ」
    [注釈] ガウス曲率は二つの主曲率の積である。ガウス曲率は、曲面上の長さや角度を測ることで決定され、その曲面の空間への埋め込みの仕方に依らないという意味で、曲面の持つ内在的な性質である。したがって、曲面を曲げてもガウス曲率は変わらず、またほかの正の一定ガウス曲率を持つ曲面は球面に小さな切れ目を入れてそれを曲げることで得ることができる。そうして得られた球面以外の曲線は境界を持ち、球面は境界を持たない正の一定ガウス曲率を持つ唯一の曲面となる。擬球面は負の一定ガウス曲率を持つ曲面の例である。
  11. 「剛体運動の三径数族によって球面は球面自身に変形される」
    [注釈] 原点を中心とする単位球面について、任意の座標軸回りの回転でこの球面は自身に写る。原点を通る任意の直線周りの回転は、三座標軸周りの回転の組み合わせで表すことができる(オイラー角の項を参照)から、先の球面をそれ自身に写す任意の回転からなる回転の三径数族が存在する(この族は三次元回転群 SO(3) である)。ほかに変換の三径数族を持つ曲面は、平面(この場合の族は、x-軸および y-軸に沿った平行移動と原点を中心とする回転で径数付けられる)に限る。円筒は剛体運動のに径数族を持つ唯一の曲面であり、一径数族を持つ曲面は回転曲面および螺旋面英語版に限る。

ギャラリー

関連項目

注釈

  1. ^ 古希: σφαῖρα (sphaira) に由来
  2. ^ 超立方体などと同じく「高次元」図形で相当するものという意味で「超」球面と呼んでいる
  3. ^ この「超-」の使い方は、超平面などと同じ語法である。

出典

  1. ^ a b Albert 2016, p. 54.
  2. ^ a b c Woods 1961, p. 266.
  3. ^ Kreyszig 1972, p. 342.
  4. ^ Albert 2016, p. 60.
  5. ^ Steinhaus 1969, p. 223.
  6. ^ Weisstein, Eric W. "Sphere". mathworld.wolfram.com (英語).
  7. ^ Steinhaus 1969, p. 221.
  8. ^ Albert 2016, p. 55.
  9. ^ Albert 2016, p. 57.
  10. ^ a b c d Woods 1961, p. 267.
  11. ^ Albert 2016, p. 58.
  12. ^ Weisstein, Eric W. "Spheric section". mathworld.wolfram.com (英語).
  13. ^ Hilbert, David; Cohn-Vossen, Stephan (1952). Geometry and the Imagination (2nd ed.). Chelsea. ISBN 0-8284-1087-9 
  14. ^ New Scientist | Technology | Roundest objects in the world created

参考文献

  • Albert, Abraham Adrian (2016) [1949], Solid Analytic Geometry, Dover, ISBN 978-0-486-81026-3 
  • Dunham, William. The Mathematical Universe: An Alphabetical Journey Through the Great Proofs, Problems and Personalities. pp. 28, 226. ISBN 0-471-17661-3 
  • Kreyszig, Erwin (1972), Advanced Engineering Mathematics (3rd ed.), New York: Wiley, ISBN 0-471-50728-8 
  • Steinhaus, H. (1969), Mathematical Snapshots (Third American ed.), Oxford University Press 
  • Woods, Frederick S. (1961) [1922], Higher Geometry / An Introduction to Advanced Methods in Analytic Geometry, Dover 

外部リンク


球面

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 21:24 UTC 版)

オイラー類」の記事における「球面」の解説

label=n-次元球面 Snオイラー標数は、 χ ( S n ) = 1 + ( − 1 ) n = { 2 n  even 0 n  odd . {\displaystyle \chi (\mathbf {S} ^{n})=1+(-1)^{n}={\begin{cases}2&n{\text{ even}}\\0&n{\text{ odd}}.\end{cases}}} である。従って、偶数次元の球面の接バンドルには 0 となるような切断存在しないので、接バンドル非自明である。つまり、S2n 平行化可能多様体英語版)(parallelizable manifold)ではなく、特に、リー群構造持たない奇数次元の球面 S2n−1 ⊂ R2n に対しては、どこでも 0 とならない切断は、 ( x 2 , − x 1 , x 4 , − x 3 , … , x 2 n , − x 2 n − 1 ) {\displaystyle (x_{2},-x_{1},x_{4},-x_{3},\dots ,x_{2n},-x_{2n-1})} で与えられオイラー類消滅することを示している。これはまさに、円の上の普通の切断の n 個のコピーである。 偶数次元の球面のオイラー類が 2[S2n] ∈ H2n(S2n, Z) と対応するように、2つバンドルホイットニー和のオイラー類2つバンドルオイラー類カップ積であるという事実を使うと、偶数次元の球面の接バンドルには非自明な部分バンドル存在しないことが分かる。 球面の接バンドルは、安定的自明バンドルであるが自明なバンドルではないので、すべての他の特性類その上で消滅しオイラー類は単に、球面の接バンドル非自明性を検出する通常のコホモロジー類である。さらに深い結果証明するには、第二コホモロジー作用素英語版)(secondary cohomology operation)や K-理論を使う必要がある

※この「球面」の解説は、「オイラー類」の解説の一部です。
「球面」を含む「オイラー類」の記事については、「オイラー類」の概要を参照ください。

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