測地線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/08 07:58 UTC 版)
微分幾何学において測地線(そくちせん、英: geodesic)とは、曲面(より一般的にはリーマン多様体)上の曲線であって、その上の十分近い2つの離れた点が最短線で結ばれた曲線を言う。ユークリッド空間における直線の概念を、曲がった空間において一般化したものである。「測地線」という用語は、地球の大きさと形状を測定する学問である測地学に由来する。本来の意味では、測地線は地表の2点間の最短ルートであり、球体形状の地球の場合、大円の一部となる。測地線の中でその長さが最小のものは最短測地線という。
注釈
- ^ 測地線や極小曲面の概念をM次元の幾何学的対象に一般化するにはリーマン多様体で考える必要があろう(測地線は1次元リーマン多様体であり、極小曲面は2次元リーマン多様体である)。その際これら測地線の(両)端点や極小曲面の縁の曲線(あるいは端点)は、それら対象となっている多様体から変形運動するそれら多様体が置かれるN次元の空間である多様体(たとえば球面上の測地線で考えるならばその次元は2である)との写像に関する、変分問題の境界条件として捉え直される(西川 2006, pp. 89–124、p. 105 図3.1。'多様体間の調和写像'の項をも見よ。) 。
- ^ しかしながら、一般に、大円をその上の2点で分けると優弧と劣弧に分かれる。東京からニューヨークへ大円に沿った移動をしても、東京からニューヨークに行くには大円の周り方によって遠い移動と近い移動とある。この場合、劣弧に沿って移動すれば最短距離、優弧に沿えば直線的な移動としては最も遠回りになるわけである。大円の一部である弧は測地線となるが、必ずしも2点間の最短距離を示す曲線とはならない。
出典
- 1 測地線とは
- 2 測地線の概要
- 3 概要
- 4 回転楕円体面上の測地線
測地線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/09 19:35 UTC 版)
ある因果集合内のリンク (link) とは、 x ≺ y {\displaystyle x\prec y} となる一対の要素 x , y ∈ C {\displaystyle x,y\in C\,\!} で、 x ≺ z ≺ y {\displaystyle x\prec z\prec y} となる z ∈ C {\displaystyle z\in C\,\!} は持たない。 チェーン (chain) とは、 i = 0 , … , n − 1 {\displaystyle i=0,\ldots ,n-1} について x i ≺ x i + 1 {\displaystyle x_{i}\prec x_{i+1}} となる要素の列 x 0 , x 1 , … , x n {\displaystyle x_{0},x_{1},\ldots ,x_{n}} である。チェーンの長さ n {\displaystyle n} は使われた関係の数である。 これは二つの因果集合要素の間の測地線を定義するために用いることができる。二つの要素 x , y ∈ C {\displaystyle x,y\in C} 間の測地線は次の条件を持つリンクのみで構成されたチェーンである: x 0 = x {\displaystyle x_{0}=x\,\!} および x n = y {\displaystyle x_{n}=y\,\!} チェーンの長さ n {\displaystyle n} は x {\displaystyle x\,} から y {\displaystyle y\,} へのチェーン全体にわたる最大. 一般的には、二つの要素の間に一つ以上の測地線が存在する。 Myrheimは、そのような測地線の長さは二つの時空点を結ぶある時間的測地線に沿った固有時に直接比例するべきであることを最初に示唆した。平坦な時空にまき散らされて生成された因果集合を用いて、この予想の検証がなされている。この比例関係が成立することは示され続けてきており、曲がった時空にまき散らされた因果集合でも同様に成り立つことが予想されている。
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測地線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/07 16:37 UTC 版)
「平行移動 (リーマン幾何学)」の記事における「測地線」の解説
∇ がmetric connectionであれば、アフィン測地線はリーマン幾何学の通常の意味での測地線であり、その曲線の弧長は局所には最小である。 より正確には、まず、γ: I → M, 、 I は開区間としたときに、もしこれが測地線であれば γ ˙ {\displaystyle {\dot {\gamma }}} のノルムはI上で一定である。確かに、 d d t ⟨ γ ˙ ( t ) , γ ˙ ( t ) ⟩ = 2 ⟨ ∇ γ ˙ ( t ) γ ˙ ( t ) , γ ˙ ( t ) ⟩ = 0. {\displaystyle {\frac {d}{dt}}\langle {\dot {\gamma }}(t),{\dot {\gamma }}(t)\rangle =2\langle \nabla _{{\dot {\gamma }}(t)}{\dot {\gamma }}(t),{\dot {\gamma }}(t)\rangle =0.} ガウスの補題 (リーマン幾何学)(英語版)に従えば、もし、A が γ ˙ ( t ) {\displaystyle {\dot {\gamma }}(t)} のノルムであれば、曲線γ上の充分に近い2点、たとえばγ(t1) と、 γ(t2)との間の、「計量によって誘導される距離」は、以下によって与えられる: dist ( γ ( t 1 ) , γ ( t 2 ) ) = A | t 1 − t 2 | . {\displaystyle {\mbox{dist}}{\big (}\gamma (t_{1}),\gamma (t_{2}){\big )}=A|t_{1}-t_{2}|.} 上記の式は、測地距離が多様体の周囲 (球体など) を一周してしまう可能性があるため、2点が充分に近くなければ当てはまらないこともある。
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測地線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/22 06:52 UTC 版)
各々のキリングベクトルは、測地線(英語版)(geodesics)に沿って保存される量に対応する。この保存量はキリングベクトルと測地線の接ベクトルとの間の計量積である。すなわち、同じアフィンパラメータ λ {\displaystyle \lambda } の測地線に沿って、方程式 d d λ ( K μ d x μ d λ ) = 0 {\displaystyle {\frac {d}{d\lambda }}(K_{\mu }{\frac {dx^{\mu }}{d\lambda }})=0} が成立する。これは、対称性をもつ時空の運動を解析的に研究する目的を持っている。
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測地線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 08:22 UTC 版)
「ポワンカレの上半平面モデル」の記事における「測地線」の解説
このモデルの計量テンソルに関する測地線は、実軸に直交する円弧(つまり、実軸上に基点を持つ半円)および実軸に端点を持ち実軸に垂直な半直線(これを半径無限大の円弧と看做すこともできる)である。 点 i を通り、垂直にあがっていく単位速度の測地線は γ ( t ) = ( e t / 2 0 0 e − t / 2 ) ⋅ i = i e t {\displaystyle \gamma (t)={\begin{pmatrix}e^{t/2}&0\\0&e^{-t/2}\\\end{pmatrix}}\cdot i=ie^{t}} で与えられる。PSL(2,R) は上半平面上の等距変換として推移的に作用するから、この測地線は PSL(2, R) を通じてほかの測地線へ写され、したがって一般に単位速度測地線は γ ( t ) = ( a b c d ) ( e t / 2 0 0 e − t / 2 ) ⋅ i = a i e t + b c i e t + d {\displaystyle \gamma (t)={\begin{pmatrix}a&b\\c&d\\\end{pmatrix}}{\begin{pmatrix}e^{t/2}&0\\0&e^{-t/2}\\\end{pmatrix}}\cdot i={\frac {aie^{t}+b}{cie^{t}+d}}} として与えられる。これにより上半平面上の単位接束(複素直線束)上の測地的流れの完全な記述が得られる。
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測地線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 09:58 UTC 版)
曲がった時空上の測地線問題は、自由粒子に対するハミルトン-ヤコビ方程式 ∂ S ∂ λ + g μ ν ∂ μ S ∂ ν S = 0 {\displaystyle {\frac {\partial S}{\partial \lambda }}+g^{\mu \nu }\partial _{\mu }S\partial _{\nu }S=0} によって記述される。
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測地線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 15:05 UTC 版)
リンドラーチャート上における測地方程式は測地ラグランジアンからすぐに得ることができ、以下のようになる。 t ¨ + 2 x x ˙ t ˙ = 0 , x ¨ + x t ˙ 2 = 0 , y ¨ = 0 , z ¨ = 0 {\displaystyle {\ddot {t}}+{\frac {2}{x}}\,{\dot {x}}\,{\dot {t}}=0,\;{\ddot {x}}+x\,{\dot {t}}^{2}=0,\;{\ddot {y}}=0,\;{\ddot {z}}=0} もちろん、元のデカルトチャート上では測地線は直線として現われるから、これを座標変換してやることによってリンドラーチャート上での測地線を得ることはできる。しかし、元のチャートとは独立に測地線を得ることは有意義なので、この節ではそれを行う。 t=0 の空間的超断面に投影した、いくつか選んだリンドラー観測者のヌル測地線(黒の半円状弧)。リンドラー地平面は紫の平面として描かれている。 第一、第三、第四の式から、直ちに「一次積分」を得ることができる。 t ˙ = E x 2 , y ˙ = P , z ˙ = Q {\displaystyle {\dot {t}}={\frac {E}{x^{2}}},\;\;{\dot {y}}=P,\;\;{\dot {z}}=Q} しかし、線素からは ϵ = − x 2 t ˙ 2 + x ˙ 2 + y ˙ 2 + z ˙ 2 {\displaystyle \scriptstyle \epsilon \;=\;-x^{2}\,{\dot {t}}^{2}\,+\,{\dot {x}}^{2}\,+\,{\dot {y}}^{2}\,+\,{\dot {z}}^{2}} が得られる。ここで、 ϵ ∈ { − 1 , 0 , 1 } {\displaystyle \scriptstyle \epsilon \;\in \;\left\{-1,\,0,\,1\right\}} はそれぞれ時間的、光的、空間的測地線に対応する。これにより四つめの一次積分が以下のように得られる。 x ˙ 2 = ( ϵ + E 2 x 2 ) − P 2 − Q 2 {\displaystyle {\dot {x}}^{2}=\left(\epsilon +{\frac {E^{2}}{x^{2}}}\right)-P^{2}-Q^{2}} . これで測地方程式の完全な解が得られた。 ヌル測地線(英語版)の場合、 E 2 x 2 − P 2 − Q 2 {\displaystyle \scriptstyle {\frac {E^{2}}{x^{2}}}\,-\,P^{2}\,-\,Q^{2}} から E が非零のとき、 x 座標は区間 0 < x < E P 2 + Q 2 {\displaystyle \scriptstyle 0\,<\,x\,<\,{\frac {E}{\sqrt {P^{2}\,+\,Q^{2}}}}} を覆うことがわかる。 リンドラーのくさび上の任意の世界点を通るヌル測地線を得るのに完全な七つのパラメータは以下のようになる。 t − t 0 = arctanh ( 1 E [ s ( P 2 + Q 2 ) − E 2 − ( P 2 + Q 2 ) x 0 2 ] ) + arctanh ( 1 E E 2 − ( P 2 + Q 2 ) x 0 2 ) x = x 0 2 + 2 s E 2 − ( P 2 + Q 2 ) x 0 2 − s 2 ( P 2 + Q 2 ) y − y 0 = P s ; z − z 0 = Q s {\displaystyle {\begin{aligned}t-t_{0}&=\operatorname {arctanh} \left({\frac {1}{E}}\left[s\left(P^{2}+Q^{2}\right)-{\sqrt {E^{2}-\left(P^{2}+Q^{2}\right)x_{0}^{2}}}\right]\right)+\\&\quad \quad \operatorname {arctanh} \left({\frac {1}{E}}{\sqrt {E^{2}-(P^{2}+Q^{2})x_{0}^{2}}}\right)\\x&={\sqrt {x_{0}^{2}+2s{\sqrt {E^{2}-(P^{2}+Q^{2})x_{0}^{2}}}-s^{2}(P^{2}+Q^{2})}}\\y-y_{0}&=Ps;\;\;z-z_{0}=Qs\end{aligned}}} いくつか選んだある世界点を通るヌル測地線の「軌跡」をプロットすると(つまり、 t = 0 の超断面に投影すると)、リンドラー地平面に直交する半円と見紛うような曲線群が得られる(図を参照)。
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