停留世界間隔を与える曲線としての測地線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/03 19:29 UTC 版)
「一般相対性理論における測地線」の記事における「停留世界間隔を与える曲線としての測地線」の解説
二つの世界点を結ぶ測地線は、この二点間を停留世界間隔(四次元的「長さ」)で繋ぐ曲線であると説明することもできる。ここで、停留とは変分法において使われるのと同じ意味で用いられている。つまり、測地線近傍の曲線の中で、測地線に沿った世界間隔が停留値になるという意味である。 ミンコフスキー時空では、時間的に隔たった、任意の二つの世界点を繋ぐ時間的測地線はただ一つ存在し、測地線は二つの世界点を極大の固有時間をかけて繋ぐような曲線である。しかし、曲った時空の場合、遠く隔った世界点同士を繋ぐ時間的測地線は、一つ以上存在する可能性がある。そのような場合、様々な測地線に沿った固有時間は一般的には等しくならない。そして、この場合は測地線に沿った固有時間は極値とならない場合もありうる。 二つの世界点を結ぶ空間的測地線については、その固有長(英語版)[要リンク修正]はつねに、ミンコフスキー時空の場合でさえ極値をとらない。ミンコフスキー時空では、ある慣性系において二つの事象が同時であるとき、二つの世界点をその事象の起こる時刻において繋ぐ直線が測地線である。その測地線からその慣性系において空間的にのみ異る(つまり、時間座標を変えない)任意の曲線はその慣性系においてその測地線よりも長い固有長を持つが、その慣性系において時間的にのみ異る(つまり空間座標を変えない)任意の曲線は、測地線よりも短い固有長を持つ。 時空上の曲線に沿った世界間隔は次のような表式で書ける。 l = ∫ | g μ ν x ˙ μ x ˙ ν | d s {\displaystyle l=\int {\sqrt {\left|g_{\mu \nu }{\dot {x}}^{\mu }{\dot {x}}^{\nu }\right|}}\,\mathrm {d} s} これに対応するオイラー・ラグランジュ方程式は、次のように得られる。 d d s ∂ ∂ x ˙ α | g μ ν x ˙ μ x ˙ ν | = ∂ ∂ x α | g μ ν x ˙ μ x ˙ ν | {\displaystyle {\mathrm {d} \over \mathrm {d} s}{\partial \over \partial {\dot {x}}^{\alpha }}{\sqrt {\left|g_{\mu \nu }{\dot {x}}^{\mu }{\dot {x}}^{\nu }\right|}}={\partial \over \partial x^{\alpha }}{\sqrt {\left|g_{\mu \nu }{\dot {x}}^{\mu }{\dot {x}}^{\nu }\right|}}} ここから少し計算することにより、次が得られる。 2 ( Γ λ μ ν x ˙ μ x ˙ ν + x ¨ λ ) = U λ d d s ln | U ν U ν | {\displaystyle 2(\Gamma ^{\lambda }{}_{\mu \nu }{\dot {x}}^{\mu }{\dot {x}}^{\nu }+{\ddot {x}}^{\lambda })=U^{\lambda }{\mathrm {d} \over \mathrm {d} s}\ln |U_{\nu }U^{\nu }|} ここで、 U μ = x ˙ μ {\displaystyle U^{\mu }={\dot {x}}^{\mu }} とおいた。 パラメータ s をアフィンとなるように選ぶと、上式の右辺は消去できる( U ν U ν {\displaystyle U_{\nu }U^{\nu }} は定数であるため)。 最終的に、測地線方程式が以下のように得られる。 Γ λ μ ν x ˙ μ x ˙ ν + x ¨ λ = 0 {\displaystyle \Gamma ^{\lambda }{}_{\mu \nu }{\dot {x}}^{\mu }{\dot {x}}^{\nu }+{\ddot {x}}^{\lambda }=0}
※この「停留世界間隔を与える曲線としての測地線」の解説は、「一般相対性理論における測地線」の解説の一部です。
「停留世界間隔を与える曲線としての測地線」を含む「一般相対性理論における測地線」の記事については、「一般相対性理論における測地線」の概要を参照ください。
- 停留世界間隔を与える曲線としての測地線のページへのリンク