初等幾何学とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 人文 > 幾何学 > 幾何学 > 初等幾何学の意味・解説 

初等幾何学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/10 06:21 UTC 版)

初等幾何学(しょとうきかがく、: elementary geometry[1])は、二次元(点や直線や円など)・三次元(錘体や球など)の図形をユークリッド幾何学的に扱う数学幾何学の分野である[1]

概説

ユークリッド幾何学的方法とは図形を直接取り扱う方法であり[1]、補助線などを用いて基本的原理である公理系や定義から平面・空間における具体的かつ幾何学的な命題・定理を証明していく方法であって、19世紀には総合幾何学とも呼ばれた[2]。総合幾何学はまた純粋幾何学と呼ばれることもある。

解析幾何学のように座標や代数的式を用いたり、微分幾何学のように解析学を用いたりしないものである[1][2]。初等幾何学で扱われる対象が経験的かつ直感的であるため、このように命名されたものと考えられているが[1]、数学において初等といえば必ずしもやさしいなどといった意味ではなく、歴史的に最も古い分野の一つである。

総合幾何学は古典的な射影幾何学も包含し、初等幾何学における問題は何らかの定理や命題を証明するもののほかに、定規とコンパスによる作図問題が有名である。作図問題では、定規は直線を引くためだけに用い、長さを測定してはならず、コンパスは円を書くためだけに用い、書き終わったらただちに紙から離してすぐに閉じねばならない[3]。つまり、定規やコンパスを用いて長さを測定したり、分度器を使ったりする行為すら初等幾何学においては禁止されており、例えば2つの辺の長さが1である直角二等辺三角形の斜辺の長さは

脚注

注釈

  1. ^ 数学教育の文脈で、いわゆる「現代化」と言った場合、新数学(New Math)と呼ばれた固有の教育改革の潮流を指す。
  2. ^ 空間図形には触れられず、平面図形のみ。また、軌跡、合同・相似についても扱った(それぞれ現在は数学II、中学数学の範囲である)。
  3. ^ 空間図形を含む
  4. ^ 一部は数学Aの「数学と人間の活動」に残る

出典

  1. ^ a b c d e 矢野健太郎編、東京理科大学数学教育研究所第2版 編集『数学小辞典』、共立出版、2010年、「初等幾何学」より。ISBN 978-4-320-01931-7
  2. ^ a b 青本和彦、上野健爾、加藤和也、神保道夫、砂田利一、高橋陽一郎、深谷賢治、俣野博、室田一雄 編著『岩波数学入門辞典』、岩波書店、2005年、「初等幾何学」より。ISBN 4-00-080209-7
  3. ^ 小林昭七『円の数学』、裳華房、1999年。ISBN 978-4-7853-1516-0
  4. ^ 欧州の大学1年次に学習する幾何学の事項を、歴史の流れに沿ってまとめた教科書”Geometry by Its History”の翻訳書。”. 丸善出版. 2019年4月27日閲覧。
  5. ^ 小林幹雄、『復刊 初等幾何学』、共立出版、2010年、まえがき参照。ISBN 978-4-320-01930-0
  6. ^ 改訂によるカットの翌年に出版されたのがこの書籍である。”. 共立出版. 2019年4月27日閲覧。
  7. ^ 数学教材としてのグラフ理論 (早稲田教育叢書31) ISBN 978-4-76202-253-1, p.i
  8. ^ 「幾何大王の最後の問題」”. 2016年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年9月18日閲覧。 - aerile_reによる、整角四角形問題の初等幾何による証明を構築する汎用的な手法の初出。
  9. ^ 斉藤浩「初等幾何で整角四角形を完全制覇」『現代数学』第49巻第2号、現代数学社、2016年2月、66-73頁。  - aerile_reの手法を「外心3つ法」として紹介。

外部リンク


ウィキペディアウィキペディア

初等幾何学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 02:35 UTC 版)

ISO 80000-2」の記事における「初等幾何学」の解説

番号記号意味備考2-8.1 AB‖CD 直線ABは直線CDに対して平行である AB∥CD用いられる。 2-8.2 AB ⊥ {\displaystyle \perp } CD 直線ABは直線CDに対して垂直である 2-8.3 ∢ {\displaystyle \sphericalangle } ABC 三角形ABCの頂点Bの角 2-8.4 A B ¯ {\displaystyle {\overline {AB}}} AからBへの線分 2-8.5 A B → {\displaystyle {\overrightarrow {AB}}} AからBへのベクトル 2-8.6 d(A, B) 点Aと点Bの間の距離

※この「初等幾何学」の解説は、「ISO 80000-2」の解説の一部です。
「初等幾何学」を含む「ISO 80000-2」の記事については、「ISO 80000-2」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「初等幾何学」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

辞典・百科事典の検索サービス - Weblio辞書辞典・百科事典の検索サービス - Weblio辞書

「初等幾何学」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



初等幾何学と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

カテゴリ一覧

すべての辞書の索引



Weblioのサービス

「初等幾何学」の関連用語


2
ユークリッド幾何学 デジタル大辞泉
90% |||||






8
50% |||||



初等幾何学のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



初等幾何学のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの初等幾何学 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、WikipediaのISO 80000-2 (改訂履歴)、円板 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS