主曲率とは? わかりやすく解説

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主曲率

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/07 10:18 UTC 版)

主曲率の方向へ法平面を持つ鞍点曲面英語版(Saddle surface)

微分幾何学において、曲面上の与えられた点での 2つの主曲率(しゅきょくりつ、: principal curvature)は、その点でのガウス写像(Gauss map)の微分の 2つの固有値である。それらは、曲面がその点で別々な方向へどれくらい曲がっているかを測る。

要旨

3次元ユークリッド空間の中の微分可能な曲面の各々の点 p では、法ベクトル(normal vector)を選ぶことができる。p での法平面英語版(normal plane)は、法ベクトルを含んだ平面であり、従って、曲面の唯一の接方向を含み、垂直截線英語版(normal section)と呼ばれる平面曲線で曲面の断面を作る。この曲線は、一般には、点 p で異る法平面に対し異る曲率を持つ。p での主曲率(principal curvatures)は、k1k2 と書くことにすると、この曲率の最大値と最小値である。

ここに曲線の曲率は、定義により接触円英語版(osculating circle)の半径反比例する。曲率は、曲面の選択された法線として曲線が同じ方向にあるときに正となり、そうでない場合は負となる。k1k2 が等しくないとき、曲率が極大値や極小値を取るような法平面の方向は、常に垂直である。この事実はレオンハルト・オイラー(Leonhard Euler) (1760) の結果であり、主方向(principal directions)と呼ばれる。現代的な観点からは、対称テンソル主軸英語版(principal axes) - 第二基本形式(second fundamental form)であるので、この定理はスペクトル定理から従う。主曲率と主方向の系統的な解析は、ジャン・ガストン・ダルブー(Gaston Darboux)によりダルブー標構英語版(Darboux frame)を使って研究された。

2つの主曲率の積 k1k2 がガウス曲率 K であり、平均 (k1 + k2)/2 が平均曲率英語版(mean curvature) H である。

すくなくとも主曲率の片方が 0 であれば、ガウス曲率は 0 となり、曲面は可展面である。極小曲面(minimal surface)に対し、平均曲率はすべての点で 0 である。

定義

M第二基本形式(second fundamental form)

レモン状
  • モンスター状
  • 星状
  • これらの図は、赤色の曲線が主方向の曲率線の族であり、青色がもうひとつの主方向の線の曲率線である。

    曲率線が同じ主曲率の局所的に極値を持つと、曲線は峰点英語版(ridge point)と呼ぶ。峰点は曲面上では曲線を形成し、と呼ばれる。星状の場合とモンスター状の場合には、それぞれ 3本か 1本の峰線が臍点を通る。レモン状の場合は、一本の峰線のみが臍点を通る[2]

    参考文献

    • Darboux, Gaston (1887,1889,1896). Leçons sur la théorie génerale des surfaces: Volume I, Volume II, Volume III, Volume IV. Gauthier-Villars 
    • Guggenheimer, Heinrich (1977). “Chapter 10. Surfaces”. Differential Geometry. Dover. ISBN 0-486-63433-7 
    • Kobayashi, Shoshichi and Nomizu, Katsumi (1996). Foundations of Differential Geometry, Vol. 2 (New ed.). Wiley-Interscience. ISBN 0-471-15732-5 
    • Spivak, Michael (1999). A Comprehensive introduction to differential geometry (Volume 3). Publish or Perish. ISBN 0-914098-72-1 
    1. ^ Berry, M V, & Hannay, J H, 'Umbilic points on Gaussian random surfaces', J.Phys.A 10, 1977, 1809–21, .
    2. ^ Porteous, I. R. (1994). Geometric Differentiation. Cambridge University Press. ISBN 0-521-39063-X 

    外部リンク




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