Kマウントの系譜
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「PENTAXのカメラ製品一覧」の記事における「Kマウントの系譜」の解説
広義でのKマウントは現在も採用機種がリリースされているが、同マウントは前述のとおりカメラ・レンズの進化にあわせて各種機能が追加されてきたおり、それぞれ以下のような細分がなされている。 Kマウント(狭義)(レンズ/ボディ) - 初代のKシリーズより、Mシリーズ、LXに採用された基本となるマウントである。マウントに向かって左側の絞り制御レバーと右上側の絞り値伝達レバーだけが設けられており、ボディとレンズは機械的に連動する。パテントが公開されたため、PENTAX以外にも、主に一眼レフの参入やねじ込みマウントからの移行が後発となったメーカーや、輸出向けの製品を扱うメーカーも採用していた。現行の採用機種としては、フェニックス(江西鳳凰光学)(中国)製一眼レフカメラなどが存在する。 KFマウント(レンズ/ボディ) - Kマウントの向かって右下側に、オートフォーカス機能用の電気接点が5点追加された。うち2つがフォーカス信号用、他の2つはレンズが無限または近距離の限界に達したことを示す信号用、他の1つはAFレンズ側のフォーカスボタンの作動を本体に伝える信号用の接点である。世界初のオートフォーカス機能対応マウントであり、レンズ内モーター駆動方式のオートフォーカス機、PENTAX ME Fに採用された。しかしこの方式はユーザーに受け入れられるレベルには至らず、カメラはME Fの1機種、対応レンズも「35-70mmF2.8」1本のみである。後続のマウントにはこの接点は継承されず、その後に登場するオートフォーカスマウント『KAFマウント』との互換性もない。 KAマウント(レンズ/ボディ) - AシリーズからPシリーズまで採用されたマルチモードおよびマルチプログラムAE対応マウントである。Kマウントの向かって左下側に6個の電子接点を追加し、ボディ側からの電子信号による絞り値の制御を実現した。これによってシャッター速度優先自動露出と、完全自動(プログラム)露出が可能となったが、新機能の実現のためには設定されたシャッター速度に対して高精度の絞り込み機構を実装する必要があったため、ボディ側のレンズへの伝達レバーの精度を統一するために規格化し、そのためにボディ側に「オプティカルエンコーダー」が内蔵され、電子的に絞り値を制御する仕様となった。一方対応するSMCペンタックスAレンズ側もそれに対応した正確な絞り値を出すために絞り込み機構の大幅な設計変更が行われている。先行他社は瞬間絞り込み測光などで"再測光"するなどの実際の設定値を"後出しで補正する方式"を採用していたが、旭光学工業は「絞り位置制御方式」という無駄なプロセスを必要としない正攻法を選んだのである。 KA2マウント(ボディのみ) - PENTAX MZ-Mのみに採用されている、KAFマウントからオートフォーカス駆動軸を除いたマウント。製造コスト面の事情から生まれた産物のような雰囲気がただようが、そのためにKAマウントとは異なりレンズROM情報参照用接点があるため、Fレンズ以降は各レンズごとにROM情報を参照したプログラム撮影をすることが可能となっている。KAマウントと比較しての主な実質的な恩恵は、レンズROM情報によるファインダー内表示情報の精度向上と、測光精度の向上が挙げられる。 KAFマウント(レンズ/ボディ) - SFシリーズより採用された、位相差検出方式のオートフォーカス機能に対応したマウントである。機能的にはKAマウントより向かって左下側の右端に新たに1個のレンズの焦点距離情報接点と右下側にオートフォーカス用駆動軸(AFカプラ)を追加し、ボディ内モーター内蔵式に対応したオートフォーカス対応マウントである。そのほかにも、対応レンズ側にROMチップが搭載され、レンズ個別の情報を参照しレンズごとに最適化された自動露出が可能となった。 KAFマウント(絞り連動環省略型)(ボディのみ) - 従来のKAFマウントよりマウント内径右側にある機械式のレバーが省略された。ただしPENTAXにおいては両マウントを区別する公式な呼称が存在せずあくまで分類上の仮称である。主流カメラ製品のAE化も完了し、互換性のために精度の保障できない機械式連動機構を残す理由もなくなり、小型軽量化を目指していたMZシリーズの普及機より採用され始めた。この省かれたレバーはレンズ側の絞り環に連動しており、絞り値をボディ側に伝達するための機能を担っていたため、後期型のKAFマウントでは電子情報接点を持たないK、Mレンズなどの完全機械式連動レンズでは、絞り環の情報がボディ側に伝達されない、という実用面での制約が発生する。当初のKAF採用機はAレンズ、あるいはFレンズ以前のレンズには未対応のカメラとして製品化された。 KAF2マウント(パワーズーム対応版)(レンズ/ボディ) - KAFマウント内径の向かって右下側のミラーボックス手前に2個の電源供給用接点を追加したマウントである。これは、レンズ内にモーターを搭載した機能を実装するためのものであった。当初はパワーズーム機能への対応を目的として、Zシリーズ全機種にて採用された他、MZシリーズの上級機にも採用されていた。Zシリーズでは、パワーズーム関連の付加機能として、露光間ズーム、ズームクリップ(ボタンを押すと予め設定していた特定の焦点距離に復帰)、像倍率一定機構等々の充実した機能が搭載されていたがパワーズームの展開が市場に受け入れられなかったためか、発売されたパワーズーム対応レンズは、初期のFAズーム4本と、高級レンズのFA★ズームレンズ3本のみに限定された。カメラボディが小型軽量化されたMZシリーズ以降は、パワーズーム関連の付加機能が廃止され、新たなFAズームも、レンズの小型軽量化のため、パワーズーム機能非搭載となった。フィルムカメラでのKAF2マウントの採用は、2001年の『PENTAX MZ-S』が最後となり、MZシリーズの普及機、*ist、及びデジタル一眼レフカメラの*istDシリーズに至っては、コスト削減のため、電源供給用接点を廃止したKAFマウントを採用するようになった。 KAF2マウント(レンズ内モーターAF対応版)(ボディのみ) - 従来のKAF2マウントから、マウント内径右側にある機械式の絞り連動レバーを省略し、電気的仕様をレンズ内モーター方式オートフォーカス対応にしたマウントである。ただしPENTAXにおいては両マウントを区別する公式な呼称が存在せずあくまで分類上の仮称である。2006年秋に発表されたデジタル一眼レフカメラ『PENTAX K10D』以降の機種に採用され、2007年7月より、このマウントに対応した超音波モーター(SDM)を搭載したレンズも順次発売されている。KAFマウント採用の*istDシリーズやK100Dのカメラボディに装着した時、カメラボディ内搭載のモーターによるオートフォーカスが可能となっているSDM搭載レンズは、KAF2マウントレンズとされ、K10D以降のKAF2マウント機種にのみオートフォーカスが対応するレンズは、後述のKAF3マウントレンズとされる。なお、K10D以降に発売された機種において、前述した一部のFAズームやFA★ズームレンズのパワーズームに対応するのは、K10D、K20D、K-7、K-5等の上級機に限定される。 KAF2マウント(レンズ内モーターAF版)(レンズのみ) - レンズ内にAF用のモーターを持ち、電源供給用接点を通じてカメラ本体から電源を得るマウントである。パワーズーム用に開発されたKAF2マウントを流用しているが、電圧の関係から、ボディは上述のKAF2マウント(レンズ内モーターAF対応版)でしかレンズ内モーターが作動しない。よって、KAFマウントおよびKAF2マウント(パワーズーム対応版)のボディでは、ボディ内モーターで作動するようになっている。このマウンは、KAFマウントを採用していた*ist DシリーズでもAFが使用できるよう配慮された時代の境目のマウントと言える。DA★シリーズでのみ採用されている。 KAF2マウント(電磁絞り対応版)(ボディのみ) - ボディ内モーター方式・レンズ内モーター方式両対応のオートフォーカスに加え、絞り駆動機構を電磁式にしたKAF4マウントレンズにも新たに対応したマウントである。K-50から採用されている。 KAF3マウント(レンズのみ) - KAF2マウントからオートフォーカス駆動軸を除き、オートフォーカス駆動をレンズ側に搭載したモーター専用にしたマウントである。KAF3マウントを採用しているボディは未だ存在せず、SMCペンタックスDA17-70mmF4AL[IF]SDMなどのレンズマウントに採用されている。KAF3マウントのレンズは、KAF2マウントボディの内、レンズ内モーターのオートフォーカスに対応した機種においてのみオートフォーカスが作動し、KAFマウントのボディにおいては、レンズ内モーターに電源を供給する接点を持たないため、オートフォーカスは作動しない。 KAF4マウント(レンズのみ) - KAF3マウントから絞り駆動機構を電磁式にしたマウントである。HDペンタックスDA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REから新たに採用されており、KAF4マウントに対応するボディは、2013年6月発売のK-50以降の機種となる。KAF4マウントのレンズは、フィルムカメラやK-30以前のデジタルカメラなどの従前機種では、絞り駆動機構の互換性がなく実質使用不可である。 他社の拡張Kマウント規格 リコー - XRシリーズでKマウントを採用したリコーは、マルチモード機XR-Pで「RKマウント」として、Kマウントの向かって右下側に1個の電気接点を追加し、リコー独自にプログラムAEの機能を持たせた。プログラム連動機能についてはPENTAX KAマウントと互換性はないが、レンズメーカー製のレンズにはKAマウントとRKマウント両方の電気接点を設けて両対応にしているものがあった。なお、RKマウントの電気接点の配置はPENTAX KAFマウントのオートフォーカス駆動軸と近接しているため、RKマウントのレンズをKAFマウントに装着すると取り外せなくなる場合がある。 チノン - レンズ側に外光式測距機能とフォーカス制御モーターを搭載したKマウントのオートフォーカスレンズや、Kマウントのままで追加の電気接点なしにプログラムAEが可能なマルチモード機CP-5やCP-7mを出していた他、Kマウントをベースにしながらマウント内上部に8個の電気接点を有し、レンズ内モーター方式の専用レンズによるオートフォーカスカメラCP-9AFも販売していた。
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