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こじし座

(Leo Minor から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/04 09:56 UTC 版)

こじし座
Leo Minor
属格 Leonis Minoris
略符 LMi
発音 英語発音: [ˌliːoʊ ˈmaɪnər]、属格:/liːˈoʊnɨs mɨˈnɒrɨs/
象徴 小さいほうのライオン[1]
概略位置:赤経  09h 22m 35.0s -  11h 06m 51.4s[1]
概略位置:赤緯 +22.84° - +41.43°[1]
広さ 232平方度 (64位
主要恒星数 2
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
34
系外惑星が確認されている恒星数 1
3.0等より明るい恒星数 0
10パーセク以内にある恒星数 0
最輝星 46 LMi(3.83
メシエ天体 0
流星群 こじし座流星群[2]
隣接する星座 おおぐま座
やまねこ座
かに座(角で接する)
しし座

19世紀の星座カード集『ウラニアの鏡』に描かれたこじし座しし座
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こじし座(こじしざ、Leo Minor)は現代の88星座の1つ。17世紀末に考案された新しい星座で、ライオンがモチーフとされている[1][3]しし座おおぐま座の間の領域に位置しており、4等星より明るい星がなく目立たない星座である。α星が存在しない4つの星座のうちの1つとして知られる[注 1]

主な天体

この星座にはβ星はあるがα星はない。これは、フランシス・ベイリー1845年に刊行した星図『British Association Catalogue』 の中でこの星座の星にギリシア文字の符号を振った際に、現在の46番星にαの符号を振り忘れたことによるものと考えられている[3]

恒星

国際天文学連合 (IAU) によって2個の恒星に固有名が認証されている[4]

  • 46番星見かけの明るさ3.83等の[5]と特に明るい星ではないが、こじし座で最も明るい恒星。「プラエキプア[6](Praecipua[4])」という固有名を持つ。
  • HD 82886:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でアルバニアに命名権が与えられ、主星はIllyrian、太陽系外惑星はArberと命名された[7]

その他、以下の恒星が知られている。

由来と歴史

中国・清朝の百科事典『古今図書集成』の星宿圖。

2世紀頃の古代ローマの学者クラウディオス・プトレマイオスは著書『アルマゲスト』の中で、現在のこじし座の領域にある星々を「星座に属さない星」として記録していた[3]オランダペトルス・プランシウスは、1612年に製作した天球儀の上で、これらの星をヨルダン川に見立てた「ヨルダン座」を置いた[10]。このヨルダン座は、のちの1624年ヤコブス・バルチウスの著書『Usus Astronomicus Planisphaerii Stellati』で星図に描かれたことから、バルチウスが考案した星座であると誤解されることもある[10]

こじし座は、17世紀末にポーランド生まれの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスによって考案された[3]。ヘヴェリウスの死後の1690年に妻によって刊行された著書『Prodromus Astronomiae』に収められた星図『Firmamentum Sobiescianum』と星表『Catalogus Stellarum』に記載されたのが初出である。ヘヴェリウスは、プランシウスがヨルダン座を置いた領域を、やまねこ座りょうけん座・こじし座の3星座に改めた[3]

1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、星座名は Leo Minor、略称は LMi と正式に定められた[11]。新しい星座のため星座にまつわる神話や伝承はない。

中国

中国の天文では、こじし座の星々は三垣太微垣紫微垣二十八宿朱雀七宿の星宿に跨っていた[12]。太微垣では「少微」という星官に52番星が「大夫」、41番星が「議士」という星名で属した[12]。紫微垣では「勢」という星官に34番星と33番星が属した[12]。星宿では「内平」という星官に22・21・13・18の4星が属した[12]

呼称と方言

日本では、明治末期には既に「小獅子」という訳語が充てられていた。これは、1909年(明治42年)1月刊行の日本天文学会の会報『天文月報』第1巻10号に掲載された「一月の空」という記事の星図でうかがい知ることができる[13]。この訳名は、1925年(大正14年)に初版が刊行された『理科年表』にも「小獅子(こしし)」として引き継がれ[14]、この訳名が1943年(昭和18年)刊行の第19冊まで継続して使われた[15]1944年(昭和19年)に天文学用語が改訂されると、その際に読みが「こじし」と改められた[16]。そして、戦後の1952年(昭和27年)7月に日本天文学会が「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」[17]とした際に、Leo Minor の日本語の学名は「こじし」と定まり[18]、これ以降は「こじし」という学名が継続して用いられている。

脚注

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注釈

  1. ^ α星が存在しない星座は、こじし座、じょうぎ座とも座ほ座の4星座。

出典

  1. ^ a b c d The Constellations”. 国際天文学連合. 2023年1月20日閲覧。
  2. ^ 流星群の和名一覧(極大の日付順)”. 国立天文台(NAOJ) (2021年12月30日). 2022年12月15日閲覧。
  3. ^ a b c d e Ridpath, Ian. “Leo Minor”. Star Tales. 2023年1月20日閲覧。
  4. ^ a b IAU Catalog of Star Names (IAU-CSN)”. 国際天文学連合 (2022年4月4日). 2022年12月14日閲覧。
  5. ^ "46 LMi". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年12月15日閲覧
  6. ^ 『ステラナビゲータ11』(11.0i)AstroArts。 
  7. ^ Approved names” (英語). Name Exoworlds. 国際天文学連合 (2019年12月17日). 2019年12月31日閲覧。
  8. ^ a b "bet LMi". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月20日閲覧
  9. ^ "R LMi". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月20日閲覧
  10. ^ a b Ridpath, Ian. “Jordanus”. Star Tales. 2022年12月15日閲覧。
  11. ^ Ridpath, Ian. “The IAU list of the 88 constellations and their abbreviations”. Star Tales. 2023年1月20日閲覧。
  12. ^ a b c d 大崎正次「中国の星座・星名の同定一覧表」 『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年5月5日、294-341頁。 ISBN 4-639-00647-0 
  13. ^ 星座名」『天文月報』第1巻第10号、1909年1月、 10頁、 ISSN 0374-2466
  14. ^ 東京天文台『理科年表 第1冊』丸善、1925年、61-64頁https://dl.ndl.go.jp/pid/977669/1/39 
  15. ^ 東京天文台『理科年表 第19冊』丸善、1943年、B22-B23頁https://dl.ndl.go.jp/pid/1244806/1/48 
  16. ^ 学術研究会議 編「星座名」 『天文術語集』1944年1月、10頁。doi:10.11501/1124236https://dl.ndl.go.jp/pid/1124236/1/9 
  17. ^ 『文部省学術用語集天文学編(増訂版)』(第1刷)日本学術振興会、1994年11月15日、316頁。 ISBN 4-8181-9404-2 
  18. ^ 星座名」『天文月報』第45巻第10号、1952年10月、 158頁、 ISSN 0374-2466

座標: 10h 00m 00s, +35° 00′ 00″


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