2 Nocturnes Op.27 CT114-115とは? わかりやすく解説

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ショパン:2つのノクターン (第7・8番)

英語表記/番号出版情報
ショパン2つのノクターン (第7・8番)2 Nocturnes (cis:/Des:) Op.27 CT114-115作曲年: 1835-36年  出版年1836年  初版出版地/出版社Leipzig, Paris, London 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 第7番 嬰ハ短調 No.7 cis moll op.27-15分00
2 第8番 変ニ長調 No.8 Des dur op.27-25分00

作品解説

執筆者: 樋口 晃子

Deux nocturnes op. 27

 この2曲のノクターン1835年作曲され初版パリ(M. Schlesinger, 1836)、ライプツィヒ(Breitkopf und Hartel, 1836)、ロンドン(Wessel, 1836)で出版された。オーストリア駐仏公使夫人であったダッポニィ伯爵夫人献呈身分の高い彼女の捧げたことから、「貴婦人夜想曲」と呼ばれることもある。また、1組作品としてまとめられているが、これら2曲の曲想互い引き立たせるかのように著し対照をなしている。

No. 1 嬰ハ短調
 このノクターンは、他のノクターン同様、3部分(A - B - A’)からなる。AとA’で絶え伴奏音型を奏でる左手の6連符分散和音は、第13小節で2オクターヴ以上になるなど、非常に広い音域をもつ。こうした広範囲音域間のスムーズな動きは、ダンパー・ペダル(長音ペダル)の改良によって可能になった。
 冒頭第3音(e)含まない空虚5度cis, gis)という特徴的な響き前奏続いて右手方向性定まらない半音階的主題提示される初期の作品9-2第2番)や作品15-2第5番)に見られる主題反復時の華麗な装飾は、この曲では全く見られないそのかわり主題反復される際には右手旋律二つ声部加わり、「独唱」から「二重唱」へと変化している。旋律は他のノクターン比べ、非常に簡素起伏少ないが、ダンパー・ペダルの使用によって伴奏音型と見事に溶け合う。第29小節からは、雰囲気一転しドラマチックな中間部B(第2983小節)にはいる。2小節単位の短いフレーズせき立てるような同音連打、そして20小節間にわたる左手の符点二分音符の上音階半音によるトレモロによって、音域ダイナミックス一気押し広げられ、第46小節一度頂点に達する。再び第53小節から半音階的進行現れ中間部一つ情景収束する。第67小節目には作品15-3第6番)と同様、マズルカ登場するが、踊り長続きせず半音階的転調はぐらかされ、第81小節強烈な和音連打遮られる30年代ノクターンにおけるこうしたマズルカ使用は、30年勃発した11月蜂起によって掻き立てられ民族的感情表れとも解釈できる主題回帰直前長いフェルマータの中で、左手レチタティーヴォ性の強いパッセージオクターヴ奏する
 A’はAの大幅な縮小形で、第 94小節で同主調嬰ハ長調転調するが、これ以降コーダとみなすこともできる音量速度緩みながらAdagioへと向かい嬰ハ長調のまま曲を閉じる。

No. 2
 この曲は、ショパン唯一ロンド風(A, B, A’, B’, A’’, B’’, Coda)の形式書いたノクターンで、AとBの2つ主題交互に3度繰り返されるという構造をもつ。Aの甘美な旋律全体優美な曲想ゆえに、作品9-22番)や作品15-25番)と並んで演奏される機会の多い曲である。
第2番第1番同様に左手には曲全体通してフィールド好んで用いた大きな跳躍を含む分散和音伴奏型が用いられている。A(A’, A’’)は常に変イ長調現れる。A’(第26小節~)とA’’(第46小節~)はAとほぼ変わらないが、その都度右手の単旋律装飾的変化加えられている。例えば、A’ではピアノという楽器でこそ可能な速いパッセージ(m. 32)や、A’’では非和声音ふんだんに盛り込んだ即興的なパッセージ(第5152小節)が挙げられるこのように回数重ねるごとに装飾使用程度高くなり、それに比例して高音きらめき際立つ。これらの装飾音は、ダンパー・ペダルを踏みっぱなしにしても高音部は濁ることなく、むしろ透明で輝きのある音響得られ当時楽器の特性十分に考慮して作曲されている。
 Bでは、Aの単旋律主題対し3度6度といった重音からなるもう1つ主題現れる。第10小節に始まるBでは、転調による気分高揚合わせて音量が増すと、その音程オクターヴにまで拡大される(第18小節)。最終的には、fz左手バス声部アクセント手伝って、B’の第 4245小節クライマックス迎える。続くA’’へはAの再現として主題静かに戻るのではなくffのままA主題回帰し直前曲想はしばらく保たれる主題Aのこの再現法は、作品32-210番)にも見られる
 そして、このノクターンで特に注目したいのは、異名同音使用である。例えば、第24小節では右手cisdes読み替えることで、変イ長調のA’への移行スムーズにしている。また第34小節では、前の小節右手descis読み替え変イ長調からイ長調への瞬時遠隔転調可能にしている。こうした移ろいゆく調性は、鍵盤上で即興的に手を動かす過程見出されたものであろう




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