1930年代後期
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1937年になり、東邦電力は合同電気と中部電力を相次いで合併して規模を拡大した。両社の合併以外にも中小事業者の統合が同年以降繰り返されたのは前述の通りであるが、電気事業への統制強化により、並行して政府による電気料金の地域格差是正が強行された。具体的には、1937年12月からの電気料金認可制移行に際し、一事業内の料金統一・整理や全般的な値下げを求められたのである。東邦電力側は年額260万円の値下げ案を逓信省に示したが、省側は600万円近い値下げを要求した。最終的に年額約350万円(一般電灯・電力料金収入の6.2%に相当)の収入減となる料金で認可が得られた。 日中戦争勃発翌年にあたる1938年(昭和13年)10月末時点での供給成績は電灯数615万1688灯・電力供給82万8976馬力(約61万8167kW)に達し、2年前に比して電灯数は約1.8倍、電力供給は約1.7倍に増加している。支店別の内訳は以下の通り。 支店名電灯取付数電力供給馬力数支店名電灯取付数電力供給馬力数名古屋1,669,658 247,507 福岡435,608 37,380 一宮211,137 36,970 久留米188,340 20,362 岡崎328,086 62,545 大牟田116,376 4,708 豊橋178,427 33,753 佐賀343,296 35,976 岐阜488,494 59,510 長崎280,556 51,309 津628,549 79,139 佐世保177,664 37,505 奈良315,490 27,792 和歌山374,963 60,943 徳島318,326 29,165 淡路96,718 4,412 関西区域計4,609,848641,736九州区域計1,541,840187,240供給拡大はその後も続き、翌1939年(昭和14年)上期には電力供給が100万馬力を突破している。 電力需要の主体は、関西区域では愛知・岐阜・三重の3県に大規模な紡績工場が集中することから紡績業が4割近くを占める、九州区域では三菱重工業長崎造船所・佐世保海軍工廠に代表される重工業や北松炭田などの炭鉱を抱えることから機械工業・鉱業の2種で5割近くを占める、という特徴があった。ただし関西区域の繊維業は戦時下で退潮し、大同製鋼(現・大同特殊鋼)や三菱重工業など軍需産業への供給が増加している。供給先の具体例として、逓信省の資料に見える1939年12月末時点での大口供給先(単独で3,000kW以上を供給)を下表に示した。 工場・鉱山需要家名所在地供給kW数日清紡績浜松工場静岡県浜名郡北浜村 4,300 日本レイヨン岡崎工場愛知県岡崎市 6,000 日清紡績岡崎工場愛知県岡崎市 4,500 トヨタ自動車工業挙母工場愛知県西加茂郡挙母町 8,500 大同製鋼築地・熱田・星崎工場愛知県名古屋市 21,400 三菱重工業名古屋航空機製作所愛知県名古屋市 4,500 三菱重工業名古屋発動機製作所愛知県名古屋市 6,500 日本車輌製造愛知県名古屋市 4,400 東海電極製造名古屋工場愛知県名古屋市 3,515 東洋紡績知多工場愛知県半田市 3,300 大日本紡績一宮工場愛知県一宮市 3,500 大日本紡績西大垣工場岐阜県大垣市 3,500 揖斐川電気工業河間工場岐阜県大垣市 3,300 東洋紡績富田工場三重県三重郡富田町 3,500 大日本紡績高田工場奈良県北葛城郡高田町 3,000 杵島炭礦佐賀県杵島郡大町町 4,300 三菱重工業長崎造船所・長崎製作所・長崎製鋼所長崎県長崎市 25,000 電気供給事業者・電気鉄道事業者(日本発送電を除く)需要家名受電地点供給kW数中部合同電気岐阜県内 5,000 揖斐川電気工業岐阜県内 18,850 名古屋鉄道愛知・岐阜県内 7,210 名古屋市電愛知県内 5,150 参宮急行電鉄愛知・三重県内 9,700 大阪電気軌道奈良県内 4,000 南海鉄道和歌山県内 4,500 九州鉄道福岡県内 3,160
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