魚類のビブリオ病菌とは? わかりやすく解説

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魚類のビブリオ病菌 [Vibrio anguillarum]

 ビブリオ病はせっそう病並んで魚類感染症としては最も古くから(1893年)知られている細菌性魚病である。ヨーロッパで当時からウナギの"レッドペスト"とよばれていたが、現在はヨーロッパ北アメリカオーストラリア日本など広く分布して世界的に重要視されている。また、感染魚種ウナギアユサケ科魚類ボラブリカンパチマダイシマアジマアジなど淡水汽水海水魚など多種類にわたっている。最近海中養殖盛んになってきたギンザケにも被害増加しサケ科魚類の増養殖業問題になっている。この魚病発生する時期魚の種類環境条件多少違いはあるが、一般的に季節性あまりない
症状は過急性の場合には、はっきりした病変がみられず死亡するが、急性ないし亜急性場合眼球(ひれ)、肛門体表内臓そのほかの組織に強い出血壊死(えし)がおこり、慢性になると体表に潰瘍ができて敗血症死亡する。しかし、アユでは潰瘍ができるのはまれで、体表V字状または斑点状出血するのが特徴である。
現在、欧米ビブリオ病に対す注射ワクチン市販されている。治療にはフラン剤サルファ剤抗生物質などが有効であるが、約25年前から薬剤耐性菌増加問題になっている
ビブリオ病菌水中常在している細菌であるが、養殖環境変化過密な飼育で傷ついたり、不健康になった感染して発病させるので、多く場合条件性病原菌であるが、アユでは偏性病原菌考えられている。この細菌通性嫌気性グラム陰性コンマ状(0.5×1-2μm)で、1本の鞭毛活発に運動し25、pH8付近塩分1%で最もよく発育する血清学的にはO抗原によって、大きくJ-O-1型(淡水型)、J-O-2型(中間型)、J-O-3型(海水型)の3型分けられている。ただし、欧米ではA型からF型までの6種に分けられている。また、この細菌タンパク質分解し哺乳類魚類赤血球強く溶解(溶血)する。したがってタンパク質分解酵素腸管毒素溶血毒素などが病原性関係する考えられている。また、この細菌産生するアングイバクチンとよばれるシデロフォア(鉄イオン反応する物質)も知られている。
なお、この細菌学名リボゾームRNA塩基組成違いから、リストネラ・アンギュララ(Listonella anguillara)と提案された(1985年)が、現在のところ正式に承認されていないまた、からビブリオ属他種病原菌分離されている。その中にはヒト細菌性食中毒をおこす腸炎ビブリオ(V.parahaemolyticus)とコレラ菌似たO1コレラ菌(V.cholerae Non-O1)があるが、現在、前者魚類病原菌みなされていない一方海産魚ビブリオ病菌(V.alginolyticus,V.carchariae,V.damsela,V.ichthyoenteri,V.ordalii,V.salmonicida,V.splendidus,V.trachuri)や日和見感染でもあるウナギビブリオ病菌(V.vulnificus)など多種類の細菌知られている。なお、ヨーロッパ・ウナギビブリオ病菌ビブリオ・アンギュリシダ(V.anguillicida)とされたが、他菌種との違いは明らかではない。




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