細菌性食中毒とは? わかりやすく解説

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細菌性食中毒 [Bacterial food poisoning]

 食中毒(food poisoning)とは広い意味では、有害物質あるいはそれを含む生物によって汚染された食品食べておこる急性または亜急性病気である。食中毒原因になる有毒物質あるいは有害生物によって、細菌性食中毒、真菌食中毒動物性食中毒植物性食中毒含まれる自然毒食中毒と、有害化学物質による化学性食中毒分けられている。その中でも細菌性食中毒が世界的にも最も多く発生しているが、これは病原細菌あるいはその毒素汚染された食品食べることによっておこる、急性の腸炎あるいは神経性障害指し、その原因になる細菌食中毒細菌という。食中毒細菌として数種のサルモネラ腸管出血性大腸菌腸炎ビブリオなどのビブリオボツリヌス菌ウェルシュ菌などのクロストリジウムブドウ球菌腸球菌カンピロバクターセレウス菌シトロバクタープロテウス、数種のエロモナスなどの細菌知られている。
細菌性食中毒は病原菌汚染された食品飲食した場合腸管内で病原菌増殖し、それがつくりだす毒素(外毒素)あるいは細菌細胞自体毒性成分(内毒素)によっておこることが多い。このような細菌性食中毒は感染型食中毒とよばれ、一般に8-24時間潜伏期のあとに頭痛嘔吐下痢腹痛発熱などの胃腸炎症状現れ、普通1週間くらいで回復するが、重症になると、痙攣(けいれん)がともなって衰弱し昏睡状態おちいって死亡することもある。この型と考えられる病原菌サルモネラ腸炎ビブリオがある。
これに対して飲食する前に食品水中病原菌増殖して、そこでつくられ毒素含んだ食品飲食したときにおこる毒素型食中毒よばれる場合がある。この場合一般に潜伏期きわめて短く3時間くらいで感染型似た症状現れるが、発熱はなく嘔吐激しいのが特徴である。この型と考えられる細菌ウェルシュ菌ボツリヌス菌ブドウ球菌病原性大腸菌がある。ところが、ボツリヌス菌による場合は、ほかの細菌性食中毒の場合違って潜伏期が約24時間比較長く胃腸症状があまりみられず、便秘、眼瞳の下垂口内渇き、よだれをともなう咽頭麻痺(まひ)などの神経性の症状現れ重症場合体温下降して死亡するまで意識明瞭死亡率は高い。
これらの毒素型食中毒はその細菌がだす腸管毒素直接の原因になるが、ボツリヌス菌場合は生汚染された食品でおこる感染型と、予め毒素含まれている食品などでおこる毒素型両方食中毒がある。
また、ウェルシュ菌ボツリヌス菌偏性嫌気性菌であるから酸素がある条件下では芽胞つくって休止状態にある。そして、汚染された食品腸管内へ入ってから嫌気性になって初め増殖開始し腸管毒素産生して症状現れるまでの時間長い。しかし、ときにはその食品の保存状態によって発症までの時間がかなり短い例もあった。九州でおきた"からし蓮根"事件東北北海道地方の"いずし"によるボツリヌス食中毒では、食品摂食される前に嫌気状態になっていたので、その時点ですでに産生されていた腸管毒素摂取によって短時間内に発症した
このように細菌性食中毒の多く場合は、種々の汚染され生食品(鳥・獣肉類、卵、乳、魚介類野菜類など)とその加工食品(塩蔵品練り製品缶詰酪農製品菓子など)や飲料水によっておきるが、ときには調理中に傷口などから病原菌(ブドウ球菌など)が混入することもある。とくにサルモネラ食中毒汚染され鶏肉鶏卵とその加工品による場合多く腸炎ビブリオ(好塩細菌)食中毒魚介類による場合が多い。また、ボツリヌス菌ウェルシュ菌(土壌中に生息する嫌気性菌耐熱性)は土で汚染され肉類野菜食品(ハムソーセージ缶詰漬物など)による場合多く加熱でも容易に殺菌されないので注意する必要があるわが国ではサルモネラ腸炎ビブリオブドウ球菌による食中毒多く一般的に夏季に最も多く発生する
最近各地食中毒事件発生しているが、とくに病原性大腸菌O157による食中毒事件大きな社会問題になったことは衆知通りである。この食中毒耐熱性抗原(O抗原)をもった腸管出血性大腸菌原因して、激し血便下痢嘔吐発熱腹痛をともなう急性腸炎をおこす。多く幼児ときに成人もかかり、重症場合出血性尿毒症になって死亡することがある。この症状赤痢菌もっている毒素と同じベロ毒素によることが明らかにされている。




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