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たかくす‐じゅんじろう〔‐ジユンジラウ〕【高楠順次郎】

読み方:たかくすじゅんじろう

[1866〜1945仏教学者広島生まれ旧姓沢井。号、頂。東京外語校長東大教授東洋大学長。英国マックス=ミュラー師事しインド学梵語(ぼんご)学を学ぶ。昭和19年1944文化勲章受章。「大正新修大蔵経」「南伝大蔵経」など編著が多い。

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たかくすじゅんじろう 【高楠順次郎】


高楠順次郎


高楠順次郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/22 08:24 UTC 版)

高楠 順次郎
人物情報
別名 雪頂、篝村()、小林洵(筆名)、沢井洵(旧名)
生誕 (1866-06-29) 1866年6月29日
江戸幕府 備後国御調郡篝村
死没 (1945-06-28) 1945年6月28日(78歳没)
日本 静岡県駿東郡玉穂村
出身校 ライプツィヒ大学
オックスフォード大学
配偶者 霜子(高楠孫三郎娘)
子供 高楠正男(長男)
学問
研究分野 梵語学、インド哲学仏教学
研究機関 東京帝国大学
学位 哲学博士(ライプツィヒ大学・1896年)
文学博士(日本・1900年)
称号 オックスフォード大学名誉文学博士(1905年)
東京帝国大学名誉教授(1927年)
主要な作品 『ウパニシャット全書』(1922-1924年)
『大正新脩大蔵経』(1924-1932年)
影響を受けた人物 フリードリヒ・マックス・ミュラー
学会 帝国学士院
主な受賞歴 ジュリアン賞(1929年)
朝日賞(1933年)
野間賞(1942年)
文化勲章(1944年)
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高楠 順次郎(たかくす じゅんじろう、1866年6月29日慶応2年5月17日) - 1945年昭和20年)6月28日)は、明治時代から昭和初期にかけての日本仏教学者インド学者は「雪頂」。

東京帝国大学東京大学の前身)文学部教授、東京外国語学校東京外国語大学の前身)校長、東洋大学学長。

経歴

出生から修学期

1866年(慶応2年)、備後国御調郡篝村(現三原市八幡町篝)の農家・沢井家に7人兄弟の長男として生まれた。幼いころから祖父に漢籍を習ったが、旧家とはいえ進学するだけの余裕はなく、14歳で小学校教員として働き始めた。その後、近隣出身で当時西本願寺を代表する学僧であった日野義淵(足利義山の子)や是山恵覚等の助力もあって、1885年に西本願寺京都に創設したばかりの普通教校(現・龍谷大学)に21歳で入学した。在学中は同志を集めて禁酒運動を始め、1887年に『反省会雑誌』(後の『中央公論』)を刊行した。1889年、普通教校を卒業。

その後、請われて神戸の裕福な高楠家の婿養子となり、その援助で1890年より英国に留学。オックスフォード大学M.ミュラーに師事した。1894年にBA(学士号)を取得してオックスフォード大学を卒業。その後ドイツ帝国に渡り、1895年よりベルリン大学で学んだ。1896年にライプツィヒ大学に移り、7月にドクトル・フィロソフィエ等の学位を取得。その後、フランスに留学。

哲学研究者として

1897年に帰国し、東京帝国大学文学部講師に就いた。梵語学講座を創設し、自ら研究に励んだだけでなく、宇井伯寿木村泰賢、織田得能、辻直四郎など多くの後進を育てた。1899年、東京帝国大学教授に昇格。また、同年より東京外国語学校(現・東京外国語大学)校長を兼任。

1900年に現在の中央学院大学の前身である「日本橋簡易商業夜学校」を設立し、初代校長に貴族院議員・男爵南岩倉具威を迎えた。同年、文学博士を取得。1905年、オックスフォード大学から名誉博士号を授与された。1921年、父母没。1923年、大正新脩大蔵経を企画。渡辺海旭とともに責任者となる。1924年、武蔵野女子学院(現・武蔵野大学)を設立。1927年、東京帝国大学を退職し、名誉教授となった。

東京帝国大学退任後

東京帝国大学を退任後は、武蔵野女子学院高等女学校(現・武蔵野女子学院中学校・高等学校)校長に就任。1931年、東洋大学第8代学長に就任。1932年には、大正新脩大蔵経(全85巻)の出版が完了。また、長男の高楠正雄と共に大蔵出版を興こし、顧問となった。そして、1935年より南伝大蔵経の刊行を開始。1938年、ハワイ大学客員教授となった。1943年、千代田女子専門学校(後の武蔵野女子大学短期大学部武蔵野大学)校長に就任。

1945年、静養先の静岡県駿東郡玉穂村で死去[1]。享年80歳。墓所は築地本願寺和田堀廟所と京都市大谷本廟にある。

受賞・栄典

受賞
栄典

研究内容・業績

大正新脩大蔵経』や『南伝大蔵経』等の大規模出版物を次々と企画し、刊行した。知力体力に恵まれ、たゆまぬ努力で巨大な業績を残したが、病気で家族を次々に失い家庭的には恵まれたとはいえなかった。しかし自身は、祖父譲りの篤信の真宗信徒で、朝な夕な仏壇に向かい念仏を唱えていたという。

エスペラント振興

高楠はエスペランティストでもあり、1906年黒板勝美らと共に日本エスペラント協会の結成に参加し、同会の東京支部長を務めた。また、新たに1919年日本エスペラント学会が設立された際は、当初は評議員として参加し、1926年の財団法人化後は理事も務めた。

高等教育機関の開設

高楠は数々の高等教育機関の設立や運営に関わり、その多くは今日大学に発展している。

家族・親族

  • 夫人:高楠霜子(~1939年)。
  • 長男:高楠正雄は出版社「大雄閣」を創業し、父の著書をはじめとした仏教関連書などを刊行。
  • 次男:高楠八十男(~1909年)
  • 長女:高楠千里(~1920年)
  • 三男:高楠増男(~1927年)
  • 三女:高楠志津枝(~1925年)
  • 四女:高楠芳枝(~1923年)
  • 養子:高楠栄

著作

著書
  • 巴利語仏教文学講本』金港堂 1900
  • 『国民と宗教』丙午出版社 1909 
  • 『国民道徳の根柢』文泉堂 1911 
  • 『道徳の真義』広文堂書店 1915 
  • 『仏教国民の理想』丙午出版社 1916 
  • 『人生に関する講話』光明閣 1924 
  • 『生の実現としての仏教』大雄閣 1924 
  • 『宇宙の声としての仏教』大雄閣 1926 
  • 『仏伝』大雄閣 1926 
  • 『聖典を中心としての仏教』破塵閣書房 1928 
  • 『人文の基調としての仏教』大雄閣 1929 
  • 『仏教の根本思想』大雄閣書房 1931 
  • 『人間学としての仏教』大雄閣 1932 
  • 親鸞聖人』東京仏教学会出版部 1933 
  • 『理の世界と智の世界』新更会刊行部 1933 
  • 『東西思想二千五百年の清算』大雄閣 1934 
  • 『東方の光としての仏教』大雄閣 1934 
  • 『仏教に現はれたる互尊独尊』財団法人日本互尊社 1934 
  • 皇紀二千六百年の用意』大阪毎日新聞社 1935 
  • 『アジア民族の中心思想 印度篇』大蔵出版 1936 
  • 『釈尊の生涯』大雄閣 1936
  • 『アジア民族の中心思想 支那・日本篇』大蔵出版 1938 
  • 釈迦如来より親鸞聖人へ』同朋舎 1938 
  • 『新日本主義と仏教の国家観』大雄閣 1938 
  • 『仏教の見方・考へ方・教へ方』興教書院 1938 
  • 『日本精神』有光社 精神文化叢書 1939 
  • 『道を求めて』大東出版社 1939 
  • 『仏教の真髄』第一書房 1940
  • 『大東亜海の文化』中山文化研究所 1942
  • 『東西思潮と日本』第一書房 1942 
  • 『アジア文化の基調』万里閣 1943 
  • 『世紀に輝くもの』大蔵出版 1943 
  • 『大東亜に於ける仏教文化の全貌』文部省教学局宗教課(宗教文化叢書) 1944
  • 『知識民族としてのスメル族』教典出版 1944
  • 『新文化原理としての仏教』大蔵出版 1946 
  • 『仏教の根本原理:仏教の何ものかを知らざる知識人のために』東成出版社(仏教文庫) 1952
  • 『仏教と基督教』東成出版社(仏教文庫) 1953
  • 『インド思想から仏教へ:仏教の根本思想とその真髄』書肆心水 2017
  • 『釈尊の生涯』ちくま学芸文庫 2019[4]
著作集
  • 『高楠順次郎全集』(全10巻) 教育新潮社 1977-2008[5]
  1. 第1巻『アジア民族の中心思想・インド編 東洋文化史における仏教の地位』1977
  2. 第2巻『アジア民族の中心思想・シナ、日本編 大東亜における仏教文化の全貌』1977
  3. 第3巻『仏教の根本思想 新文化原理としての仏教』1982
  4. 第4巻『仏教の真髄 人文の基調としての仏教』1978
  5. 第5巻『人間学としての仏教/釈尊の生涯』1979
  6. 第6巻『宇宙の声としての仏教/東方の光としての仏教/仏伝考/東西思潮の合流』1977 
  7. 第9巻『インド古聖歌/戯曲龍王の喜び/奈良朝の音楽殊に「林邑八楽」について/梵僧指空禅師と達磨大師の画像/悉曇撰書目録』1978
  8. 第7巻『宗教性教育 ほか6編』2008
  9. 第8巻『仏教とは何ぞや ほか3編』2008
  10. 第10巻『生の実現としての仏教 ほか5編/哀悼編/思い出の記/全集趣旨/論文目録』2008
共編著
  • 『梵文学教科書』編、金港堂 1898
  • 仏領印度支那:一名仏国日南の新領土』南条文雄共著、沢井常四郎編、文明堂 1903
  • 『新式日英辞典』新渡戸稲造共編、三省堂 1905
  • 印度哲学宗教史』木村泰賢共著、丙午出版社 1914 
  • 『仏教読本』編、大雄閣 1928 
  • 大正新脩大蔵経』(100巻) 渡辺海旭ほか共同編集、刊行大正一切経刊行会 1924-1932
  • 散華法楽集』佐佐木信綱共編、大雄閣 1934 
  • 『聖徳太子御伝叢書』望月信亨共編、金尾文淵堂 1942 
  • 『聖徳太子三経御疏』望月信亨共編、金尾文淵堂 1943
  • 知証大師全集』(全3巻) 円珍著、望月信亨共編、世界聖典刊行協会 1949
  • 天台法華宗義集』義真撰、望月信亨共編、世界聖典刊行協会 1949
  • 『仏教書籍目録』望月信亨共編、世界聖典刊行協会 1949 
  • 『法華三大部私記』第1 証真撰、望月信亨共編、世界聖典刊行協会 1949
  • 『法華三大部復真鈔』普寂著、望月信亨共編、世界聖典刊行協会 1949
訳書
  • 『弘法大師と景教との関係 一名・物云ふ石、教ふる石』イー・エー・ゴルドン[6]著、丙午出版社 1909 
  • 聖婆伽梵歌』丙午出版社 1918
  • 『世界聖典全集 前輯 第6巻 印度古聖歌』世界聖典全集刊行会 1919
  • 『世界聖典全集 前輯 第4巻 聖徳太子三経義疏』共訳、世界聖典全集刊行会 1921 
  • 『印度仏教戯曲竜王の喜び:ナーガ・アーナンダム』世界文庫刊行会 1923 
  • ウパニシャットより仏教まで』オルデンベルク著、河合哲雄共訳、大雄閣 1930 
  • 『仏教とは何ぞや』訳評、大雄閣 1933 
  • 南伝大蔵経』(全65巻) 高楠博士功績記念会訳編、大蔵出版 1935-1941
  • ウパニシャッド全書』
  • 観無量寿経』英訳

高楠順次郎に関する資料

  • 鷹谷俊之1957『高楠順次郎先生伝』武蔵野女子学院
    • 復刻:大空社(伝記叢書) 1993[7]
  • 武蔵野女子学院編1974『武蔵野女子学院五十年史』武蔵野女子学院
  • 武蔵野女子大学仏教文化研究所編1979『雪頂・高楠順次郎の研究:その生涯と事蹟』大東出版社
  • 井ノ口泰淳編1988『高楠順次郎旧蔵日本梵語学資料集成』名著普及会
  • 武蔵野女子大学学祖高楠順次郎研究会編1994『高楠順次郎の教育理念』武蔵野女子学院
  • 東洋大学1937『東洋大学創立五十年史
  • 碧海寿広2024『高楠順次郎 世界に挑んだ仏教学者[1]吉川弘文館[8]
  • 武蔵野大学高楠順次郎研究会編2024『高楠順次郎と近代日本[2]』吉川弘文館[9]

外部リンク

脚注

  1. ^ 『朝日新聞』 1945年6月30日
  2. ^ 『官報』第4499号「叙任及辞令」1898年6月30日。
  3. ^ 『官報』第7813号「叙任及辞令」1909年7月12日。
  4. ^ 解説は石上和敬。
  5. ^ 一部論考・随想は抜粋収録
  6. ^ 石羊とゴルドン文庫
  7. ^ ISBN 4872364325
  8. ^ ISBN 9784642084505
  9. ^ ISBN 9784642039376

関連項目

学職
先代
富士川游
中山文化研究所所長
1943年 - 1945年
次代
小野清一郎
先代
泉道雄
千代田女子専門学校
1943年 - 1945年
次代
校長事務取扱
鷹谷俊之
先代
(新設)
武蔵野女子学院高等女学校
1927年 - 1943年
武蔵野女子学院長
1924年 - 1927年
次代
鷹谷俊之



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