高度不飽和脂肪酸の生理活性とは? わかりやすく解説

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高度不飽和脂肪酸の生理活性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 06:10 UTC 版)

不飽和脂肪酸」の記事における「高度不飽和脂肪酸の生理活性」の解説

高度不飽和脂肪酸 (多価不飽和脂肪酸PolyUnsaturated Fatty Acid, PUFA) には主に2系統存在しω3ω-3脂肪酸)(n-3ともよぶ)系統とω6(ω-6脂肪酸)(n-6ともよぶ)系統大別される。ωは古い表示で、最近はnと示すのが通常になっている。これらの分類は、炭素二重結合位置よるものであり、ω3脂肪酸メチル末端カルボン酸と逆)から数えて最初二重結合炭素3つ目のもの、ω6は脂肪酸メチル末端から数えて最初二重結合炭素6つ目のもののことを言う。 これらは動物では体内生合成することができない動物はω9系統のみ可)(ω-9脂肪酸)。より正確に記述するなら、ω9系統からω6系統ω3系統合成したり、ω6系統からω3系統合成する系統間の変換不可能である。これは、ω6位に二重結合作るΔ12-デサチュラーゼ (desaturase, des) やω3位に二重結合作るΔ15-デサチュラーゼといった酵素動物には存在せず、ω6位、ω3位に2重結合作れないためである。しかし、例えばω6系統であるリノール酸 (18:2) から同じω6系統であるアラキドン酸 (20:4) を合成する系統内の変換は可能である。これは非常に重要なことで、ω6系統ω3系統それぞれ別の必須栄養素であることを示している。このため体内合成した変換して得ることのできない動物は、外部から摂取して得るしかない。よく構造類似した脂肪酸ではあるが、ω6系統ω3系統動物にとって似て非なるもののである植物においてはω系統間の変換が可能であり、植物の産生するω3、ω6系統脂肪酸動物ω3系統やω6系統ソースとなっている。 ω6系統であるアラキドン酸体内生理活性物質であるロイコトリエンプロスタグランジントロンボキサン材料である。これらの欠乏持続するとやがては死亡するこのためアラキドン酸やその合成原料となるリノール酸必須脂肪酸呼ばれ、1エネルギー%の摂取が必要とされる(しかし、現在の日本欠乏はほぼ起こらない考えられる懸念すべきは過剰摂取である)。代表的なものリノール酸アラキドン酸、γ-リノレン酸 (18:3) がある。必須栄養素ではあるが、過剰な摂取により炎症などの反応亢進する考えられている。日本の食生活ではω6系統脂肪酸摂取量増えつつあるとされる。このことと近年アレルギー患者炎症性疾患大腸癌患者増加との関連指摘されている。 またω3系統同様にロイコトリエンなどに変換されるしかしながら、ω6系統材料したもの比較して生理活性が低い、あるいはないという特徴がある。生理活性が低いということで、過去食用油脂から不要として除去されたこともある。しかし、生理活性の強いω6系統競合することで、免疫凝血反応炎症などにおいて過剰な反応抑えるということ明らかになった。いわばω6系統ブレーキ役であるといえる実際にω3系統脂肪酸1つであるEPA (eicosapentaenoic acid, 20:5) で血小板凝集抑制作用があることが知られている。その裏返しとして、EPA過剰な摂取により出血傾向現れることが指摘されている。ω3系統もω6系統遅れて必須栄養素となった代表的なものにα-リノレン酸 (18:3)、EPA、「頭が良くなる」ともてはやされDHA (docosahexaenoic acid, 22:6) がある。日本の食生活ではω3系統脂肪酸摂取量減りつつあり不足していると懸念されるω3系統とω6系統前述生理活性物質変換される際、全く同一酵素作用により変換されていく。これら2系統脂肪酸競合合成の段階ら行われている。しかし、変換酵素親和性ω3 < ω6 であるとされ、適切な脂肪酸バランス(ω6系統由来適切な生理活性と、ω3系統ブレーキ役割)のためには、ω3系統をω6系統より多く摂取する必要があるとされるまた、脂質過剰摂取によるカロリー過多などの弊害はω系統関わらず発生するため、全体脂質摂取量減らしながら、ω6系統摂取減らしω3系統割合増やすのが良いとされる。ω6系統は、高リノール紅花油、高リノールひまわり油大豆油菜種油月見草油などに高い割合で、ω3系統紫蘇油亜麻仁油魚油などに高い割合含まれる注意すべきなのはω3系統とω6系統含まれる比である。例えばある油1キログラムω3系統300グラム入っていたとしても、ω6系統500グラム入っていたならそれはω6系統豊富な油となる)。 摂取において注意する点として、2重結合多ければ多いほど酸化に弱いことが挙げられる二重結合は、炭素数が同じならば ω9系統 < ω6系統 < ω3系統 の順に多くなっている)。すなわち、揚げ物炒め物など加熱調理すると、大気中の酸素反応促進され酸敗した油となる。酸敗してできた揮発性物質は、眼粘膜への刺激起こしたり、アレルギー原因となる可能性があるため、摂取避ける方が好ましい。また、異臭起こすなど風味損なうなどして、ω3系統使用した料理忌避するようになり、摂取量低下してよくないこのためω3系統の油での激し加熱調理避けマヨネーズドレッシングとして摂取するのがよいだろう加熱をしたとしても煮るなどの緩徐加熱留めるべきである。揚げ物炒め物などの加熱調理二重結合少ないω9系統やω9系統6系統混合油に頼るべきである。ω9系統が多い油脂動物性脂肪、高オレイン紅花油、高オレインひまわり油菜種油オリーブ油である(市販サラダ油菜種油大豆油菜種+大豆油いずれかであることが多い。また、エコナ菜種原料とするためω9系統が多いと言える)。 植物油脂肪酸組成植物油の一覧#植物油脂肪酸組成参照

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