高度への順応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/10 16:55 UTC 版)
「高度が人に与える影響」の記事における「高度への順応」の解説
人体は、短期および長期の順応によって、高地に適応することができる。高地では、短期的には、酸素の不足は頚動脈小体で感知され、呼吸の増加(過換気症候群)を引き起こす。しかし、過換気症候群は呼吸性アルカローシスという副作用も引き起こし、呼吸中枢が必要なだけ呼吸率を上昇させるのを阻害する。呼吸率が上昇しない原因は、頚動脈小体の不適切な応答や肺または腎臓の病気の可能性もある。 さらに、高地では頻脈になり、1回拍出量は減少し、心肺機能と比べて不必要な身体機能は抑制されるため、食物の消化効率は低下する。 しかし、完全な順応には数日から数週間を要する。体は徐々に、重炭酸塩を腎排泄することで呼吸性アルカローシスを補償し、アルカローシスのリスクなしに適切な呼吸ができるようになる。これにはどのような高度でも約4日間かかり、アセタゾラミドなどの薬品で促進することができる。最終的に、グルコースの分解量が減るため体の乳酸生成は少なくなり、血漿の体積が減り、ヘマトクリット値や赤血球の質量が増え、骨格筋組織の毛細血管の密度が高まり、ミオグロビン、ミトコンドリア、好気酵素濃度、2,3-ビスホスホグリセリン酸などが増加する。血液に酸素を多く取り込むため、肺動脈圧は増加する。 高地への血液学的に完全な順応は、赤血球数が頭打ちになり、増加が止まると完成する。要する期間は、おおよそ、km単位の高度に11.4日をかけた日数になる。たとえば、4,000mの高度に順応するには、45.6日間を要する。この線形関係の上限高度は完全には分かっていない。
※この「高度への順応」の解説は、「高度が人に与える影響」の解説の一部です。
「高度への順応」を含む「高度が人に与える影響」の記事については、「高度が人に与える影響」の概要を参照ください。
- 高度への順応のページへのリンク