高度に応じた影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/10 16:55 UTC 版)
「高度が人に与える影響」の記事における「高度に応じた影響」の解説
人体は、気圧1013.25hPaの海面高でもっともよいパフォーマンスを発揮する。海面高での酸素濃度は20.9%で、酸素分圧(pO2)は21.136kPaである。健康な人は、この分圧でヘモグロビンが飽和し、赤血球中で酸素に結合した赤い色素となる。 気圧は高度に応じて指数関数的に低下するが、酸素の割合は高度約100kmまでほぼ一定であるため、pO2も高度に応じて指数関数的に低下する。エベレスト登山のベースキャンプがある高度約5,000mではpO2は約半分になり、エベレストの頂上がある高度8,848mではpO2はわずか3分の1になる。pO2が低下すると、人体は高地順応の反応を示す。 山岳医学では、大気中の酸素量の低下を反映して、高度を3つの領域に分類している。 高高度(High altitude)= 1,500〜3,500m 超高高度(Very high altitude)= 3,500〜5,500m 極高高度(Extreme altitude)= 5,500m〜 これらの領域に行くことは、比較的穏やかな高山病から死に至る可能性のある高地肺水腫や高地脳浮腫まで、医学的な問題を引き起こす。高度が高くなるほどリスクも大きくなる。また、極高高度では、永続的な脳損傷のリスクも上がることが研究で示されている。探検隊の同行医は通常、このような症状に対処する際に用いるデキサメタゾンを常に携行している。 高度5,950mで2年間生存した記録があるが、これは定住に耐えられる極限の高度に近いと考えられている。既知の定住地の最高高度は、5,100mである。7,500mを超える極高高度では、睡眠が非常に難しくなり、食物の消化がほぼ不可能になり、高地肺水腫や高地脳浮腫のリスクが大きく高まる。
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