高度による森林限界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 03:12 UTC 版)
回帰線に挟まれた低緯度の高山の気温は、季節による年較差よりも日較差のほうが大きく、季節変化を示さず主に乾燥によって森林限界が形成される。低緯度の森林限界はおよそ3000 m付近とされる。この付近からは貿易風の影響を受けやすくなる。水分が確保されやすい条件での高山地域では、かなりの高度まで森林限界が伸び、標高3600 - 3800 m付近に達するところがある。 中緯度地域からの高山の気温は、季節の年較差の影響を強く受ける。北半球の中緯度以北では暖かさの指数15と森林限界がほぼ一致するとされる。ケッペンは「森林限界は月平均気温の最高が10 ℃の等温線と一致する」と主張したが、これは特に南半球ではズレが大きくなり、適用できないとの指摘がある。 メキシコ湾流の影響を受けるヨーロッパでは、1800 mが森林限界になりうる。 キリマンジャロ山など低緯度地域に位置する高山では低地の熱帯雨林やサバナから標高が上がるにつれて温帯の落葉広葉樹林、亜寒帯の針葉樹林、寒帯のツンドラ、頂上近くの永久氷雪地帯へと高度別に段階的な植生の変化が見られる。一方中・高緯度地域でも広葉樹林・針葉樹林から始まる高度別の植生の変化は見られるが、森林限界、植物限界ともにその標高は低緯度地域に比べて低くなる。なお、高山に見られるツンドラを寒帯のツンドラと区別して高山ツンドラという。 アメリカ合衆国アリゾナ州北部、フラッグスタッフ市付近にそびえる独立峰、ハンフリーズ・ピーク(Humphreys Peak、標高3850 m)ではその植生は山麓の高地砂漠(実際はステップ)から山岳森林、高山ツンドラへと変化する。
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