音楽CDの種別
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 07:56 UTC 版)
音楽CDとして流通するディスクの大部分はCD-DAであるが、一部例外もある。CD EXTRA (CD-DA+) はCD-DAに後方互換性があり、CD-DA用のプレーヤー(CDプレーヤー)やPCのCDドライブで再生可能である。また、リッピングを防ぐため独自規格としたコピーコントロールCD (CCCD) やセキュアCD(ライセンスを逸脱した製品のため、厳密には「CD」とは呼べない)は、オーディオメーカーやPCメーカーでは動作保証外としており、一部のCD-DA用プレーヤーやPCのCDドライブでは再生不可能である(最悪の場合は機器が破損することもある)。詳細はコピーコントロールCD#問題点を参照。 また、時代が進むにつれて、CD-DAの枠を超えた高音質がCD-DAの仕様を逸脱しない範囲で実現できるように、様々な信号処理技術やデータ圧縮技術が投入されてきており、初期のCD-DAと21世紀以降のCD-DAでは別物と言える程の音質の違いがある。最先端では、CD-DAの仕様に抵触しないもののグレーな方法として、MQA-CDのハイレゾデータの隠しコード化技術がある。但し、隠しコードのハイレゾデータを利用するためには専用デコーダーを通す必要がある。 規格内 通常のCD 詳細は「コンパクトディスク#仕様」を参照 高音質CD これらはいずれも既存のCDプレーヤー、PCのCDドライブで再生できる。PCではリッピングも可能。あくまでもCD-DAの枠組み内で改良しただけであり、CDが嵩張ることもあって、高音質という役割は後のハイレゾ配信に取って代わられている。 エンコードの改良 CDのビット深度の16 bitから単純計算される96 dBより広いダイナミックレンジを、ディザやコンパンダの原理を駆使して16 bitに落とし込む方法が中心であったが、エンコード技術の進歩によりハイレゾデータをCD-DAの枠内に記録可能とした規格も現れている。20bit K2スーパーコーディング - JVCケンウッド・ビクターエンタテインメントが開発。1993年に実用化され、20 bit相当のダイナミックレンジをディザによって16 bitデータに織り込んだCDにマークが記載された。 Extended Resolution Compact Disc (XRCD) - JVCケンウッド・ビクターエンタテインメントが開発。現在あまり生産されていない。 HDCD - 隠しコードが埋め込まれており、対応プレイヤーでは隠しコードを読み取って適応型ローパスフィルターやディザ、プリエンファシスや波形のピーク拡張のオプション機能などで音質が向上できる。HDCDに対応しない一般的なプレイヤーでは隠しコードは聞き取れない程度の微小ノイズとして再生される。 MQA-CD - ハイレゾデータの20 kHzを超える周波数成分をCD-DAの下位ビット(主にLSBを含む下位数ビット)に隠しコードとしてエンコードしたCD。HDCDの発展形のような方式で、従来のCD-DAでは不可能な20 kHzを超える超高音域も専用のデコーダーを通すことで下位ビットの隠しコードから元通りに展開することが可能になった。公式にはCD-DAで記録可能な可聴帯域に超高音域を折り畳む圧縮技術を『オーディオ折り紙』と呼んでいる。20 kHzより高い周波数成分の振幅が小さく、CD-DAの下位ビットだけでも劣化させずに記録可能であることを仮定しており、従来のCD-DAと同じデータサイズで、352.8 kHz/24 bitのマスターからのデータも劣化させずに記録可能としている。音のにじみを生むプリーエコーやポストエコーを人間の知覚限界に迫る水準まで抑えながら、ハイレゾマスターの音を消費者に届けるシステムとしてMQAが作られており、その一部として配信用のMQAエンコード済みファイルや、CD-DAにMQAエンコードを行ったMQA-CDという製品が想定されている。当然のことながら、MQAデコーダー無しでCD-DAとして再生した場合にはハイレゾデータがエンコードされた下位ビットがノイズとして再生されるため、有効ビット深度が14 bit程度に落ちるというデメリットが生じてしまう(ノイズの振幅が小さいため聞き取れるかどうかは微妙であるが)。 素材の改良 CDプレイヤーで読み取りやすい素材に変更することで、ジッターなどの性能を向上させて音質を向上させる。GOLD CD - アルミニウムの代わりに金を反射材として蒸着したCD。アルミニウムと比べて金は金属の粒子が細かいため、読み取りレーザーの反射時の波形歪が少なく、金自体も極めて腐食しにくいという特長がある。 スーパー・ハイ・マテリアルCD (SHM-CD) - ユニバーサルミュージックが主導。 ハイ・クオリティCD (HQCD) - ポニーキャニオンが主導。SHM-CDに類似する。 ブルースペックCD (Blu-Spec CD、BSCD) - ソニー・ミュージックエンタテインメントが主導。ブルーレイディスクの技術を応用。 後方互換 CD EXTRA (CD-DA+) - CD-DA規格の音楽データと、PCで表示できるデータを1枚に収録できる。2000年代初頭まで製造され、音楽CDの付録として特典映像などを収録することが多かったが、DVDを付けることが増えたため衰退した。 互換のない別規格 Super Audio CD -「次世代CD規格」と呼ばれるが、物理的な構造はDVDに近い。通常のCDと互換性はなく、コピーガードを採用している。PCでは再生できない。 規格外 これらは「レッドブック」のライセンスを意図的に逸脱した製品のため、厳密には「CD」とは呼べない。コピーコントロールCD (CCCD) - リッピング防止のため意図的にエラーを仕込んだ規格外の製品であり、様々な問題から2006年までに衰退した。 セキュアCD - 2005年から2006年まで流通した新規格のコピーコントロールCD。東芝EMIが開発したが、短期間で消滅した。
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