金貨
『ろばの皮』(ペロー) ある国の王の厩舎に飼われている1頭のろばは、決して汚物をたれ流さず、その代わりに金貨をひねり出す。しかし王が娘の王女との結婚を望み、ろばを殺して皮を王女に与える(*→〔難題〕1c)。王女はろばの皮をかぶって城を逃げ出し、農家の下女となり、やがて他国の王子と結婚する。
★1b.鳥が金貨を産む。
『ペンタメローネ』(バジーレ)第5日第1話 貧しい姉妹が買った鵞鳥が、多くの金貨を産む。隣人が鵞鳥を借りて金貨を産ませようとするが、産まないので、鵞鳥を絞め殺して捨てる。しかし鵞鳥は死なず、そこに来た王子に噛みつく。これがきっかけで王子は妹娘と結婚し、姉娘も金持ちと結婚する。
*黄金の鳥の心臓・肝臓を食べたため、毎朝枕の下から金貨が見つかる→〔枕〕5。
*少童が臍から金の小粒を出す→〔へそ〕2の『火男の話』(昔話)。
★2.人間の口から金貨が出る。
『森の中の三人の小人』(グリム)KHM13 雪の中、継母の言いつけで山いちごを取りに出かけた娘が、森で3人の小人に出会う。持っていた固パンを小人たちに分けてやると、小人たちは、お礼に、娘が一言しゃべるたびに口から金貨が出るようにしてくれる。
『ローマ皇帝伝』(スエトニウス)第4巻「カリグラ」 皇帝カリグラは、「お金(かね)に触れたい」との強い欲求を持っていた。彼は晩年、たびたび無数の金貨を山と積み、広々とした場所にばらまいて、その上を裸足で散歩した。また、金貨の上を全身で転げ廻ることもあった。
*身体に触れるものがすべて黄金になる→〔願い事〕3の『変身物語』巻11(ミダス王)。
『金貨』(森鴎外) 左官の八は軍人の家へ盗みに入り、珍しい西洋貨幣を7~8枚取った。それは、軍人が洋行した時に集めたものだった。金色燦然たる大きな貨幣が1枚あり、八はそれを「貴重な金貨だ」と思って喜んだが、実際は安い銅貨にすぎなかった。八はあっさり捕まり、軍人は八が何も知らないのをおかしがって、放免してやった。
*金貨の代わりの黄色いトマト→〔金〕9aの『黄いろのトマト』(宮沢賢治)。
『とっこべとら子』(宮沢賢治) 慾ふかの金貸し六平じいさんが、ある晩、酔って町から帰る途中の川岸で、金襴の裃(かみしも)の侍に呼び止められる。侍は、ぎらぎら輝く小判が詰まった千両函を10個、六平に預けたい、と言う。六平は大喜びで10の千両函を背負い、よろよろと家まで帰る。娘が「あれまあ、父さん。そったに砂利しょて何しただす」と言うので、六平が見ると、それは土手の普請の10の砂利俵だった〔*川岸に住む「とっこべとら子」という狐が、侍に化けたのだった〕。
『山の神とほうき神』(昔話) 神々が集まって、生まれる子供の運命を見きわめ、縁結びをする。貧運の男が福運の女と夫婦になるが、やがて別れる。男は乞食同然に落ちぶれ、富裕な身となった女の屋敷を訪れる。女は握り飯の中に小判を入れて、男に与える。男はそんなことは知らず、帰り道で沼の鴨を捕ろうとして、握り飯を投げつけた(岩手県下閉伊郡)。
*衣の中に宝玉があることを知らない→〔玉(珠)〕2の『法華経』「五百弟子受記品」第8。
『梅若礼三郎』(落語) 病気の亭主をやしなう貞女「おかの」に、武家姿の盗賊・梅若礼三郎が9両2分の大金を与える。しかしそれは、金持ち三右衛門の屋敷から盗んだ670両の一部だったので、小判に「丸に三」の刻印(こっくい)があった。「おかの」は盗賊の仲間と見なされ、取調べを受ける。「おかの」は、「あの御武家様に迷惑がかかっては、恩を仇で返すことになる」と思い、武家の人相を問われても言わない。町の噂でそのことを聞いた梅若礼三郎は、奉行所へ自ら出頭する。
*金箔に、刻印のごとき文字が現れる→〔金(きん)〕5dの『宇治拾遺物語』巻2-4。
*紙幣のナンバーが記録されており、盗んだ金だとわかってしまう→〔紙幣〕1aの『蘇える金狼』(村川透)。
『西鶴諸国ばなし』巻1-3「大晦日はあはぬ算用」 主(あるじ)が客たちに見せた10両のうち、1両が紛失した。客の1人がひそかに自分の小判を出してその場をおさめようとするが、その直後に1両が見つかったため、全部で11両になってしまう。主は、庭の手水鉢の上に1両を置き、客を1人ずつ帰らせて、余人に知れぬように1両が持ち主にもどるべくはからった。
金貨と同じ種類の言葉
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