選挙区民の買収と接待
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 09:09 UTC 版)
2009年 8月3日、朝日新聞は菅原が2007年に東京9区の支持者らに対して1個約2千円のメロンを贈っていたと報じた。公職選挙法では、国会議員およびその後援団体の、選挙区内での金品の贈与が禁止されている。 2019年 10月10日、「週刊文春」10月17日号が発売。同号は、菅原が地元の有権者にメロンやカニなどを贈った疑惑、編集部が2006年から2007年にかけての「贈答品リスト」や裏帳簿を入手したこと、菅原の暴力などにより公設秘書17人が退職したこと、菅原から「月10万円は事務所に入れろ」と要求された元秘書の証言などを報じた。 10月17日、立憲民主党の杉尾秀哉参議院議員は、「贈答品リスト」を作成したとする元秘書に聞き取り調査した際の音声データを公表した。音声データには菅原が「この人はカニ、この人はイクラね」と指示する声が収録されていた。 10月18日、菅原は閣議後の記者会見で「元秘書がどなたかわからない。現状ではコメントできない」と述べた。 10月23日、「週刊文春」電子版の「文春オンライン」は、同月17日に選挙区内の斎場で行われた地元支援者の通夜で、菅原の公設秘書が香典を受付に手渡した様子の写真などを配信。 10月24日、「週刊文春」10月31日号が発売。前日配信の写真が掲載され、菅原が後援者をランク分けしLINEで指示したことなどが報じられた 10月25日、菅原は安倍晋三首相に辞表を提出し、同日付で受理された(後任は梶山弘志)。ただし辞職の理由については「国会の法案審議の停滞」と説明している。公職選挙法では、葬儀に議員本人が香典を持参する場合を除き、議員の名で選挙区内の人に香典を渡すことを禁じている。菅原は「今後、政治活動において説明責任を果たしていきたい」と話したが、体調不良を理由に以後、衆議院本会議を欠席し続けた。 12月5日、日本テレビの取材を受けるが、一連の疑惑については曖昧な返事を繰り返した。 2020年 1月20日、第201回通常国会が召集される。国会で取材を受けた菅原は、自由民主党の離党と議員辞職を否定した 6月25日、刑事告発を受け捜査していた東京地方検察庁特別捜査部(以下、東京地検特捜部とする)は、「法を軽視する姿勢が顕著とまでは言い難かったため」として菅原を不起訴処分(起訴猶予)とした。 7月1日、「週刊文春」電子版の「文春オンライン」は、菅原が毎年練馬区在住の有権者800人以上を集め関東近郊の景勝地を巡るバスツアーを複数回開催していたこと、その収支を政治資金収支報告書に記載しておらず、政治資金で差額を補填して公職選挙法に違反していた可能性が高いことなどを報じた。会費としてバス代、昼食代、その他込みで1人あたり9500円を徴収していたが、元経理担当スタッフは「格段に安い会費を集め、集票目的の“接待”を続けてきた。毎年多額の差額が発生し、そのたびに事務所が補填しているのが実態」と発言している。内部資料によれば、2019年9月に2回、10月に1回の計3回のバス旅行について会費と旅行会社への振込代金の間に合計約112万円の差が生じており、差額は事務所が補填していた。取材に対し菅原は弁護士名で「バス旅行に要した費用が参加者等から頂いた参加費等を上回った事実はないものと認識」と、書面で回答した。 7月20日、菅原を刑事告発した東京都内の新聞出版会社社長が、不起訴とした東京地検特捜部の処分を不服として、検察審査会に審査を申し立てた。 11月6日、衆議院厚生労働委員会の与党筆頭理事に就任。 2021年 2月24日、東京第四検察審査会は、東京地検が不起訴(起訴猶予)とした菅原について「起訴相当」と議決した。特別捜査部(特捜部)が再捜査して再び不起訴としても、2回目の審査で審査員11人中8人以上が起訴を求めれば菅原は強制的に起訴される。検察審査会は特捜部の捜査について「対応に疑問を抱かざるを得ない」と批判した。これを受け、山元裕史東京地検次席検事から、「議決については真摯に受け止め、内容を精査し、所要の捜査を行った上、適切に対処したい」とのコメントが出された。 4月23日、東京地検特捜部が菅原を任意で事情聴取したことが、報道により明らかとなった。同日午前、菅原は衆議院厚生労働委員会の与党筆頭理事を辞任した。東京地検特捜部は現金提供も含めて再捜査し、公職選挙法違反罪での立件の可否を改めて検討していると報道された。 5月22日、東京地検特捜部が菅原を公職選挙法違反の罪で略式起訴する方針を固めたことが、報道により明らかとなった。 6月1日、自民党に離党届を提出し、大島理森衆議院議長宛てに辞職願を提出した。離党届は同月2日に受理され、辞職願は同月3日に許可された。 6月8日、公職選挙法違反(選挙区内での寄付)の罪で略式起訴された。 6月21日、「罰金40万円・公民権停止3年」の略式命令を受け、確定。
※この「選挙区民の買収と接待」の解説は、「菅原一秀」の解説の一部です。
「選挙区民の買収と接待」を含む「菅原一秀」の記事については、「菅原一秀」の概要を参照ください。
- 選挙区民の買収と接待のページへのリンク